mimi.

片想いの妄想。夢の覚書き。出せない恋文。

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最近の記事

無邪気と混濁

賢く愚かな私たちは、 大概自分の都合のいいように物事を解釈できるから、 あの子が泣いてる理由もあの子が笑ってる理由も、 自分の世界の中の、 簡単入手可能素材だけで単純完結させる。 解釈なんて自由だけど。 ただ私はあなたのことだけは、 ほんの少しも違わずに解釈していたい。 ウサギのヒゲほども違わずに。 都合のいいように喜んだり都合のいいように涙したりしたくない。 あなたを私のエゴの世界に巻き込んだりしない。 あなたの肩を濡らす雨の色とか、 眼差しの先の揺れる憧憬とか、 唇が取

    • 2019年ゴールデンウィーク

      わたしの心が空に吸い込まれて淡い雲になる。 その形は怪獣が吠えてるように見えなくもないね。 心はふくよか。身体は痩せっぽっちなのに。 愛してるよ。 あなたを傷つける奴がいたら呪い殺すことだってできそうなくらい。 ゴールデンウィーク。 昼間からお酒を飲みながらそんなこと思ってる。 幸せだな。なんだこれ。 大丈夫か。わたし。 映画でも観に行くか。

      • そっちがわ

        ちょっと違和感を覚えるほう どこか歪だと感じるほう すんなり多くに馴染めないほう 僅かな狂気を孕んだほう 秘めた悲しみが滲むほう 仄暗い海の底に漂う 朧げな光の気配 かすかに紛れた春のぬくもり 徐々に色濃く輝き 縁取られていく輪郭 その存在の美しさ

        • 青い炎

          距離とか時間とか、常識とか理屈とかを超えて、 わたしのこの想いが、あなたの生きる希望の片隅に届くことがあるとしたなら、もしそんな奇跡を信じるならば、わたしはいつまでも慎ましく密やかに、青い炎を燃やし続けるよ。

        無邪気と混濁

          天鵞絨の森

          あなたが耳元で息を吸う瞬間 私は固く重たい軛から解き放たれ 懐かしいあの場所に堕ちていく 甘く湿った波打つ天鵞絨の森の中 私は夢遊病みたいに あなたの声を頼りにひとり あなたのかけらを集めて彷徨う

          天鵞絨の森

          第四夜、

          わたしは知らない電車に乗っている 電車は知らない街を走り 知らない駅に停まり わたしを知らない場所に連れて行く ぎこちなく流れる見覚えのない 灰色の景色に怯えながら それでもわたしは降りることができない 車内はシンとしていて 乗客たちはみんな 黒い顔で俯いている わたしはどんどん不安になっていく 朝なのか午後なのか夜なのかすらわからない 心細くて泣き出したい そんな時 停車したターミナル駅からあなたがふわりと乗ってくる 突然、春の嵐のような風がわたしの中を駆け抜けて 懐かし

          第四夜、

          第三夜、

          濃紺の甘やかな闇をたずさえ その人はゆっくりとあらわれる フードですっかり顔を隠して (胸に抱いているものはなに?) (ウサギ?違うもっと小さくてかたい) わたしは追い詰められ袋小路 その人の纏う闇はなお 濃く青く熱く匂い立つ 首筋がじっとりと甘く濡れる 密やかで狂おしい期待 その人はわたしの唇をその唇で塞ぐ 差し入れられたのは 青い薔薇の花びら 甘く重い痛みがわたしのからだに流れ込み 下腹部を切り裂く わたしはゆっくり地面に沈み込み もう元に

          第三夜、

          第二夜、

          幾つかの山を越えて小さな海も渡った 私は見ている 高いところから あなたは 細長い体をできるだけ小さく纏めて 子供たちに教えている 懐かしい声 あなたはこれから歌をうたう 子供たちと祈りの歌を 私は見ている 高いところから あなたは タオルケットをお腹に抱えて泣いている ベッドは海 静かに荒んでいる (歌いたくない怖い怖い痛い!) (お腹が痛いから歌えないよ!) 茶色の小瓶には手を出しちゃダメ あなたに甘く囁くものが あなたに必要なものとは限らない 私は降りていく あなた

          第二夜、

          第一夜、始まりの夢

          その人は寒い国の針葉樹みたいに 震えながら泣いている 両手を固く閉ざして震わせて 歌うみたいに叫ぶみたいに 大きいからだがまるで小さくて 怖くてあったかくて切ない 記憶の奥に葬られたみたいな 古い木造りの教会 朽ちかけた床板の乾いた音 西に傾いた陽が 私達の足もとに堕ちる もたれかかる 泣きじゃくる身体の重み 秘めやかな胸の軋み (私の声が聴こえるかな) でも私は その人の背中に手をまわすことも 涙を拭ってやることすらできない そちら側に行くことはできない 行けない 私は行

          第一夜、始まりの夢