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小児保健:予防接種

こんにちは!yanagiです。
情報だけでなく、背景にある想いやストーリーを伝えること。
最近、その大切さや難しさを痛感しています。

さてさて、本日は「予防接種」について学んでいきたいと思います。

【問題】小児の予防接種について、正しいのはどれか。
a. 流行性耳下腺炎は定期接種の対象疾病である
b. B型肝炎ワクチン接種後、次の予防接種まで4週以上の間隔をおいた方がよい
c. MRワクチンは2か月の乳児への接種が推奨されている
d. 慢性肉芽種症の患児にBCG接種は禁忌である

《問題の正解は一番下にあります》

概要

予防接種の意義は、接種を受けた個人が免疫を獲得できると同時に、接種を広く行うことにより社会全体の感染症の流行を阻止することができることにあります。1948年に予防接種法が制定され、日本では接種を強制する形で始まりました。その後、予防接種事故による被害への救済制度の導入や未接種に対する罰則規定の廃止など改正を重ね、1994年の改正では、感染症の流行を防止する社会防衛の面よりも個人の健康の保持増進のための個人防衛の面を重視する考え方に変わりました。

予防接種の分類

予防接種は、『予防接種法』に定められ市区町村が主体となって実施する定期接種と、希望者が個人で受ける任意接種に分けられます。原則、定期接種の費用は公費で支払われますが、任意接種の場合は個人が負担します。こちらは制度上の分類であり、重要性に差はありません。効果やリスクを考慮した上で「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」が作成されています。

また、ワクチンはその成分の違いから、生ワクチンと不活化ワクチン・トキソイドに分けられます。生ワクチンは生きた病原体の毒性を弱めて病原性をなくしたもの(弱毒化)を原材料につくられ、その病気に罹患した状況に近いため抗体の持続期間が長い傾向があります。一方で不活化ワクチンは病原体を処理し、感染能力を失わせたもの(不活化)を、免疫を獲得するのに必要な成分だけを取り出してその毒性をなくしたものです。トキソイドは細菌が出す毒素を取り出して、その毒性をなくしたものです。不活化ワクチンやトキソイドは生ワクチンに比べて抗体の持続期間が短い傾向にあります。なので追加接種が必要なものが多いのですね。

接種間隔については、2020年10月1日より変更になっています。
注射生ワクチン(ロタウイルスは経口生ワクチン)を接種した場合、次の注射生ワクチンは27日(4週間)以上の間隔をあけて接種します。その他、不活化ワクチン(トキソイドを含む)同士や、不活化ワクチンと生ワクチンとの接種間隔の制限がなくなりました。ただし、同一ワクチンを複数回接種する場合、接種間隔の制限は添付文書に従います。

不活化ワクチンや経口生ワクチンについて、他のワクチンとの接種間隔が有効性・安全性に影響を与えるという報告はなく、注射生ワクチン同士の接種間隔以外に制限を設けていない国が多いことから、ワクチンを効率よく摂取できるようにするため、接種間隔の変更が行われました。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000588558.pdf

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接種不適当者と接種要注意者

以下のような方は接種不適当者として、接種を行ってはいけません。先天性免疫不全の患児には生ワクチンの接種が禁忌になりますね。
・明らかな発熱のある者
・予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシーを呈したことが明らかな者
・明らかに免疫機能に異常のある者、免疫抑制をきたす治療を受けている者
・麻疹, 風疹, 流行性耳下腺炎の予防接種の対象者について、妊娠していることが明らかな者

また、接種を受ける方の健康状態や体質を勘案し、注意して接種しなければならない接種要注意者も定められています。

解答

【正解】d(慢性肉芽種症の患児にBCG接種は禁忌である)

*参考文献
・STEP 小児科 第3版
・国試小児科学 第6版
・日本小児科学会「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=138

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