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やまがたワーママ図鑑022

楽しむことが1番!子どもたちには、私を見て自分の人生を楽しんでほしい

庄司愛恵さん(36歳)鶴岡市在住
職業:合同会社つかさや旅館若女将
お子さん:小学4年女の子、小学2年女の子、4歳男の子

<これまでの経歴>
埼玉県出身。大学卒業後、星野リゾートに就職。入社から1年後、職場の先輩であった夫と結婚して退職。結婚を機に家業である旅館を継ぐことを決意した夫とともに、夫の故郷・鶴岡市に移住。現在は、つかさや旅館の若女将として、接客から広報まで幅広く携わる


人も優しく、自然も豊かで、何を食べてもおいしい山形が大好きに

-今の仕事についたきっかけを教えてください
もともと、海外の人と友だちになりたい、海外のことをもっと知りたいという思いがあって、大学では英語を学びました。在学中、留学生の友人に国内のおすすめの場所や宿を紹介したり、逆に私が海外の友人の家にホームステイさせてもらったりする中で、「人が集まる宿って好きだな。うちの宿に来て!と言えたらすてきだな」と思うようになりました。

そういう経緯もあって、就職活動では旅館やホテル業界を中心にエントリーして星野リゾートに入社しました。星野リゾートはとても自由な社風で、何でも「やってみな!」と任せてくれて、新人の私の意見も積極的に受け入れてもらえました。仕事はとても楽しくやりがいのあるものでした。

夫とは、入社後間もなく知り合いました。山形から送られてきた食材で作った料理を食べさせてくれたり、山形に連れて行ってくれたり。私は埼玉県出身で山形には行ったことがなかったので、夫から山形の良さをたくさん教えてもらいました。遊びに行った時は、鳥海山や月山がきれいに見えて、海も近くて田んぼもあって、人も優しくて。食材にも恵まれていて何を食べても美味しいし、自然豊かな山形という土地がすぐに大好きになりました。

まさか自分が女将になるなんて思ってもいなかったですね(笑)。好きな人について行く、そこがたまたま山形で、たまたま旅館だったというだけで。「若女将になるぞ!」と意気込んで来たわけではなく、あまり深く考えず、楽しそうだなというポジティブなイメージを持って山形に来た感じです。短い期間ではありましたが、前職で旅館業の基礎を学んでいたので、若女将業も、それまでの仕事の延長という感覚でしたね。

-仕事のやりがいを教えてください
1番は、お客さまに喜んでいただけること、そしてその姿を直接見られることですね。人とお話したり、人とつながることがすごく好きなので、旅館にいながらたくさんの方のお話を聞いて、いろいろなことを吸収できるというのも大きなやりがいです。
 
今は旅館が自宅でもあるので、プライベートと仕事の境目があいまいで、日常生活の中に仕事がある、プライベートでもあり仕事でもある、という感覚です。「何でも楽しもう!」という信条で、とにかく楽しくやっていますね。

悩み落ち込んだ3年間。子どもの存在と、人とのつながりに救われた

-仕事と育児の両立で大変なことはありますか?
前職の星野リゾートでは、経営不振などに陥っている旅館を「3年で立て直す」というコンセプトで事業運営していて、常に「私たちは何をすべきか」という視点で仕事をしていました。いわば「みんなが女将さん」という立ち位置で、いろんなことをやらせてもらっていたのですが、山形に来て実際に若女将となり、いざ実践となると、学んできたことの半分も活かすことができなくて。慣れるまで、最初はとにかく大変でしたね。女将である義母の仕事や人柄がすばらしくて、それに比べて何で自分はできないんだろうと、落ち込んだこともありました。

新しい土地で友人もいないところからのスタートだったというのもあって、特に最初の3年間は、悩んでしまうことも多かったのですが、長女が生まれたのを機に、少しずつ良い方向に変わってきたように思います。自分を必要としてくれる存在ができたことで以前より強くなれた気がしますし、子どもを通してのつながりが増えたこと、保育園や地域の行事にも出るようになったことなども、私にとって大きな変化でした。

仕事と育児の両立は、胸を張って「できています」と言える感じではありませんが、子どもとの時間は大事にしたいと思っています。子どもって、今話を聞いてほしかったら「今聞いて!今!」という感じですよね。そんな時は仕事を理由に後回しにするんじゃなくて、お客さまのところに一緒に行ったりしています。

育児をしていることを、お客さまも理解してくださっていて。旅館には子どもたちが住んでいるのであれば、お子さま歓迎の宿にしよう、それをPRしていこう、というふうに、子育てとの両立ができるように、旅館自体を少しずつ変えていったというのもあります。

人間は完ぺきじゃない。何でも1人でやろうと思わないで

-仕事と育児の両立で心がけていることはありますか?
先ほどお話したように子どもの話をきちんとその場で聞くことと、あとは完ぺきを目指さないことですね。仕事も、自分で全部できなかったらほかの人に頼っています。何もかもはできないと割り切って周囲に頼りまくる。「もう無理」「できないからお願いー」と、よく言っています(笑)。子どもたちにも、「お母さんできないからやってー」と言うと、結構自分たちでやってくれるんですよね。私がやらないほうが子どもたちは自立するのかもと思っています(笑)。

楽しむことが1番。仕事も育児も日常生活すべてを楽しんでいる私の姿は、子どもたちも見ていると思います。そんな私を見て、子どもたちにも自分の人生を楽しんでほしいと思います。

-これからの夢を教えてください
2020年は、コロナの影響で旅館の形もすごく変わった1年でした。うちも以前は10組お受けしていたところを4組に減らしたり、貸切風呂にしたり。大変な部分も当然多いですが、それでも楽しく順応できたのは、こういう状況でも光を見つけながらがんばっていきたいという思いと、何よりお客さまや地域の方などいろいろな方たちとのつながりがあったからだと思います。自分たちの力でできることは限られています。やはり大切なのは人とのつながりだと思っています。大変な時期は続きますが、これからも地域の方やお客さまなど、たくさんの人たちと鶴岡という地域を盛り上げていきたいです。

-同じワーキングママのみなさんにメッセージをお願いします
何でも自分1人でやろうと思わないで、ということですね。人間は完ぺきじゃない。息抜きできる時間とか、思いをはき出せる人がいるというのも大事だと思います。人に言えない悩みを私に言ってくれるお客さまもいます。誰にも言えず溜め込んでしまうことも、周りに頼りながら、無理のない範囲でがんばっていただけたらなと思います。そしていつでも旅館にも来ていただけたらうれしいです。

<庄司さんの1日のタイムスケジュール>
6:00 起床。女将とともにお客さまの朝食準備
7:00 子どもたちを起こして朝食
7:40 長女・次女を見送る
8:30 長男を保育園に送り、業務再開
15:00 長女・次女帰宅
16:00 保育園お迎え、夕食準備
19:00 夕食
20:30 入浴
21:30 子どもたちの就寝後、事務作業など
23:00 就寝

                             文/takako

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