アリが巣を作った

主がいなくなったお隣さんの塀が、大変なことになっている。
何故こんなに砂が多いのだろう、最近、ほうきを動かしながら不思議に思っていた。よく見るとアリの行列、いつの間にか塀の中に大きなありの巣ができているらしい。働き者のアリは、自分よりも大きな蝶の羽や何かの種などを、セッセセッセと塀の隙間に運び入れている。入り口らしき所に盛り上がる砂を、ほうきの柄でつつくと、出るわ出るわ、中から黒い大群が何事ぞと言わんばかりにはい出してきた。退治してしまいたいが、空き家とはいえ、よそのお宅だ。あまり勝手なことはできない。
子どもの頃から、アリやチョウの動きをじっと見ているのが好きだった私。日差しを背中に受け、座り込んで観察する。シロアリではない。小さな赤いアリでもない。普通によく見る黒いアリ、けっこう大きい。塀の中で、女王アリが卵を産んだのかもしれない。あんまり放置していると、アリの巣に占領された塀は、崩壊することもある。
薄茶色の小砂をかき出し、かき出して、やめた。塀はわが家との境界線になっているだけだし、ブロックではないからバタッと倒れることはない。わが家の庭に新たな巣を作ることがないように、監視しながら、自然に任せることにする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?