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グルグルアプローチ パート1 誰しも「バラバラ問題」を抱えている!

タテのものをヨコにしたり、ヨコのものをタテにしたりするだけじゃない。ひとつの起点にこだわらず、いくつかの起点を柔軟に入れ替えながら、「つくって」「こわして」を繰り返して、もっともおさまりのいいアイディアを採用する。「グルグルアプローチ」は、単なるライティングの手法ではありません。ひとつの生き方なんです。

以前、英語のライティングクラスを担当していた頃、自分のクラスに二つのタイプを発見しました。私は、それらを心の中で「マニュアル型」「マイペース型」と呼んでいました。

これって、英語の学習ばかりではないかもしれません。例えば、旅行するにしても、仕事するにしても、あの人「マニュアル型」だなぁ、とか。典型的な「マイペース型」だよねぇ、とか…

一方で、「マニュアル型」は…

• 文法・構文のような「公式」、この場合はこうする型の「ルール」に従って、単語・イディオムのような部分をパッチワーク・切り貼りします。そして…
• 正解できればそれでいい!「解法テクニックを暗記して、設問の解答にあてはめる」を繰り返します。とにかく結果目当てで、「自分」を表現することに関心がありません。

他方で、「マイペース型」は…

• 日本語を通じて身につけた自分の言語感覚に従って、日本語の発想のまま、英語に直訳します。そして…
• 理解できればそれでいい!自分の中で、日本語的な感覚としてシックリいくことが何よりも肝心です。個性的ではあっても、なかなか結果(スコア)に結びつきません。

「マニュアル型」と「マイペース型」の問題は、それぞれのバラバラアプローチです。果たして、何と何が「バラバラ」なのか…

「頭」と「身体」がバラバラ

「マニュアル型」にとって、「英語の学習=頭に叩き込むこと」です。「納得する」とか、「腑に落ちる」というような実感から切り離して、英語の規則を丸暗記することの方が手っ取り早いし、何より「楽」なのです。身体が喜ぶのは、テストで高得点を取った後で十分です。

「マイペース型」にとって、「英語の学習=身体でわかること」です。日本語で言分けされた自分の身体感覚を基準に、「自分がシックリいくんだから他人もそうだろう」という信念のもと、「日本語モード(日本語的な考え方・伝え方)」のまま英語に直訳します。

「外」と「内」がバラバラ

「マニュアル型」は、自己実現よりも、何かに精通したいと思います。それが行き過ぎると、「自分はどうあれ、何かに精通すればそれでいい」という、知識中心的な学習アプローチにひるがえります。すると、「見た目」ばかりで「中身」のない、頭でっかちなライティングになります。

「マイペース型」は、何かに精通することよりも、自己実現(自己表現)したいと思います。それが行き過ぎると、「何かに精通せずとも、自分がよければそれでいい」という、自分中心的な学習アプローチにひるがえります。すると、読み手(他者)を想定しない、独りよがりなライティングになります。

「英語」と「日本語(国語)」がバラバラ

「マニュアル型」は、とにかく、英語のルールを丸暗記して、あたかも数学の公式に数字を代入する仕方で読み書きします。英語の使い方にしても学習方法にしても、日本語のそれらとは全くのベツモノ。もともと関係がないし、関連づけようという発想がありません。

「マイペース型」は、日本語のセンスで、日本語(国語)でやるように、英語を使ったり学習したりします。それらを関わり合わせるのではなく、英語を日本語に一方的に同化させているのです。すべてに日本語を仲介させるから、いつまでたっても「ジャプリッシュ(日本製の英語)」のままです。

何を隠そう、私は「バラバラ人間」

私が、ことさら「バラバラ」を問題意識化するのは、自分自身の問題でもあるだからです。あれもやったりこれもやったりって、正直、苦手なんですよね。それより、何か一つに集中していたい。片輪走行になってもいいから…

ですから、自分のクラスに二つのタイプを発見したのは、「バラバラ問題」を抱える自分自身を、生徒たちに投影した結果とも言えるでしょう。

experience(経験)の語源はexpose oneself to peril(危険に身をさらす)だって、耳にしたことがあります。経験するって、一時、自分を不安定にするもんです。だから、勇気や覚悟がいりますよね。誰だって、自分の世界に閉じこもっていた方が楽だし。

でも、それでは成長がない。そこで、「グルグルアプローチ」の出番です。パート2・パート3へと続きます。


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