【掌編】赤と白、それからオレンジ。
母と腕を組んで、買い物へ出かける。
元旦から営業しているスーパーは乏しく、駅前まで足を伸ばさなくてはならない。足腰の弱った母と連れ立つとなると、相応の時間を要する。三十センチに満たない歩幅で、ずりずりと一歩、また一歩。青信号の時間を目一杯使い、横断歩道を渡る。
「かまぼこが無いの」
そう母が騒ぎ出したのが、朝の六時。私も弟も布団から飛び起き、それを諫めた。なくてもいいではないか、と言っても聞かない。弟がネットで調べ、駅前ならば午後からやっているというので、こうして出向い