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"いわくつき"の肖像画

日本・ポーランド国交樹立100周年記念イベント「ショパンー200年の肖像」に展示された楽譜や絵画のうち、最も印象深かった作品は、仏画家のウジェーヌ・ドラクロワが描いた「ショパンの肖像画」だ。世界的によく知られた絵だが、実のところ、"いわくつき"の名画でもあり、そんなミステリアスなところに興味をそそられた。聞けば、奥さんも同じ感想。似た者夫婦だ。

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金銭目的

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ショパンの肖像画はそもそも肖像画ではなく、ピアノを弾くショパンと恋人で女流作家のジョルジュ・サンドが描かれていたそうだ。ドラクロワの死去後、それを誰かがショパンとサンドにそれぞれ切り分けたらしい。にわかに信じられない行為だ。「それはちょっとないよねぇ」と奥さんもいう。

現在、ショパンの方は仏ルーブル美術館、サンドの方はデンマーク・コペンハーゲンにあるオードルップゴー美術館にそれぞれ保管されている。切り分けられた原因はお金という説が有力らしい。それぞれ肖像画として別々に売りに出されたそうだ。

インターネットメディアによると、「切り分けた方が作品の価値があがると考えたのかも知れない。いずれにせよ、若い2人の恋人を描いた美しい作品が、ドラクロワの意図にそぐわない形で編集され、世に出たことは不幸といえる」とし、残念な思いをにじませる。

哀しい色

ショパンとサンドは10年に及ぶ関係が破局。それもあり、ショパンは生きる気力を失い、数年後に病死した。こうした事情に切り分けられた絵のことを重ね合わせると、イケメンに描かれたショパンの肖像画が、急に悲哀の色を帯びてくる気がした。

ヘッドホンから流れるショパンの曲もどこか寂しげに聴こえる。

(写真〈上から順に〉:切り分けられて売り出された肖像画。左がジョルジュ・サンド、右がフレデリック・ショパン=雑学ネタ帳、切り分けられる前の状態に復元された絵=ウィキペディア)

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