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りすのよまい言、大きな木のうろの中から

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「だから、なんなの?」と言われてしまいそうな他愛もないことを綴っていきます。悪しからず。
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2019年11月の記事一覧

秘境と観光地

秘境と観光地

ーオレとアチキの西方漫遊記(11)秘境感あるにこ淵(高知県いの町)で泳ぎたいー。その思いは、この淵を目にした瞬間にあっさり萎えた。確かに景色は抜群だ。切り立つ崖に囲まれた目立たない渓谷。それを覆い隠すように生える緑の木々。白波を立てる滝。澄んだ青の水面。それらが溶け合う風景は、地元の人が神聖視するのもよく分かる。ただ、如何せん観光客が多かった。老若男女、あちこちで写真や動画を撮っている。こんな場所

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俳句で"オレアチ漫遊記"(肆)

俳句で"オレアチ漫遊記"(肆)

"note仲間"のやまきちさんが、連載「オレとアチキの西方漫遊記(オレアチ漫遊記)」の各話から思い浮かぶことをテーマにし、俳句を詠むコラボ企画。今回は初めて複数の句を掲載する。いずれの句も自信はそれほどなかったらしいが、思い切りよく投句してくれた。"失敗は成功の母"である。

老黄忠の句(題材:「オレとアチキの西方漫遊記(7)ー老舗宿の女将と地場料理」)

「矍鑠(かくしゃく)」は年をとっても丈夫

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水神さま、降臨

水神さま、降臨

ーオレとアチキの西方漫遊記(10)にこ淵 (高知県いの町)に向かうクルマの中、ハンドルを握りながら悶々としていた。「仁淀ブルー」と聞いて誰もが思い浮かべるこの淵で泳げれば、間違いなく大切な思い出になる。その一方で、地元の人にとって神宿る場所で泳ぐのは、そこに住む人の思いを蔑ろにしかねない。そんな二つの思いが交錯し、どうするかを決めきれないでいた。そして、道中、この迷いをさらに深めることが起こる。

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INDEX

INDEX

連載『オレとアチキの西方漫遊記』、略して『オレアチ漫遊記』は次回以降、二ケタ台に載る。そのため、これまでの話を整理すべく、INDEX(インデックス、目次)をまとめた。各回いずれも、目次にあるタイトル、あるいはその下にあるカードのトップ写真をクリックすると、そのページに移行するようになっている。

(1)激走2500km(2)淡路SAと大観覧車
(3)四万十川と仁淀川
(4)旅行スタイルと下ネタ発言

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大蛇が棲む淵

大蛇が棲む淵

ーオレとアチキの西方漫遊記(9)仁淀川の支流、土居川ほとりの老舗宿。お腹が空けば、山海の採れたて食材を生かした料理。癒やしを求めれば、部屋の窓を開けて飛び込んでくる爽やかな風、せせらぎ、眼下を流れる川のブルー。実に居心地が良い。もう出かけずに宿でゴロゴロで良いんじゃないの。そんな思いもチラリと浮かぶ。ただ、今回の旅行は奥さんが主役。気を取り直し、奥さんご推奨の「にこ淵」(高知県いの町)、「水晶淵」

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推しの宿と癒しの景色

推しの宿と癒しの景色

ーオレとアチキの西方漫遊記(8)奥さんが選んだ創業100年超の老舗宿。造りは古いながらも清潔感があり、85歳の女将も世話焼きで気さく。料理は美味しくボリュームも言うことなし。その上、部屋からは癒しある景色が眺められる。この宿を100点満点で評価すると、個人的には95点、奥さんは100点。ちょっと斜に構えたところを自覚するわれわれ夫婦にとって、予想だにせぬ、ほぼ満点評価。言わずもがなの"推し宿"だ。

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老舗宿の女将と地場料理

老舗宿の女将と地場料理

ーオレとアチキの西方漫遊記(7)四万十川に別れを告げ、クルマを走らせること約4時間。奥さんが先に予約した民宿に着いたとき、辺りはすっかり真っ暗になっていた。駐車場から宿に向かい、見えてきたのは場末感ある和風な建物。引き戸を開けて声をかけると、この民宿の女将さんが出迎えてくれた。今年で85歳という。ただ、滑舌が良く人当たりも良い。頭の回転も速そうだ。これで食事が美味ければ言うことなしと奥さんに顔を向

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俳句で"オレアチ漫遊記"(壱)

俳句で"オレアチ漫遊記"(壱)

夫婦水入らずで東京から高知、京都、静岡をクルマで巡った思い出を綴った連載「オレとアチキの西方漫遊記(オレアチ漫遊記)」。この連載では、俳句修行中の"note仲間"であるやまきちさんと相談し、作中から題材を取り出し、それを基に俳句を詠んでもらうことにした。待ちに待った最初の句が届いたので、早速、紹介したい。

秋空の句(題材:「オレとアチキの西方漫遊記(2)ー淡路SAと大観覧車」)

俳句への造詣は

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さらば四万十、また会う日まで

さらば四万十、また会う日まで

ーオレとアチキの西方漫遊記(6)四万十川にかかる沈下橋(ちんかきょう、ちんかばし)のうち、四万十市内で最も上流にある半家(はげ)沈下橋。最後に立ち寄る予定だったこの橋を発つときには、すでに日が傾いていた。「四万十川らしい風景」(四万十市)をもっと眺めていたい気持ちに後ろ髪を引かれながらも、今回のメーン目的地である仁淀川に向かう。この後、泊まった民宿で、地場の絶品グルメを楽しめることなど知る由もなく

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見える風景と見えない力

見える風景と見えない力

ーオレとアチキの西方漫遊記(5)四万十市によると、「緑の山々に青い四万十、そして沈下橋(ちんかばし、ちんかきょう)がある風景はもっとも四万十川らしい」という。今回が初めての四万十川体験のため、目前に広がる景色に「四万十川らしい」という表現を使うのはおこがましいが、時代劇に出てくる馴染みある眺めにも見え、日本の原風景と言っても差し支えないだろう。今後、外国人を含めて大勢の観光客が訪れるのだろうが、こ

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旅行スタイルと下ネタ発言

旅行スタイルと下ネタ発言

ーオレとアチキの西方漫遊記(4)メーンの目的地が仁淀川になり、四万十川を楽しむ時間は当初想定の2日に比べて4分の1に当たるわずか半日と一気に短くなった。だからと言って、普段よりも朝早く出かけようともしないのが、わが夫婦の旅行スタイルだ。チェックアウトの10時まで、きっちりホテルで過ごす。朝食を取りながら、その日の予定について、のんびり相談する。それはそれで楽しい時間だ。

「オレとアチキの西方漫遊

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四万十川と仁淀川

四万十川と仁淀川

ーオレとアチキの西方漫遊記(3)
高知県の西部を流れる四万十川は「日本最後の清流」と言われて久しい。そこで川遊びなどして自然に溶け込めば、きっと癒しを得られるはずだ。そう安易に考えていた。ところが、そこに待ったをかけたのは奥さん。どうせ川遊びするなら、仁淀川(高知・愛媛県)が良いと言って譲らない。四万十川を遊び尽くそうと思い描いていた当初計画は、早々に崩れることになる。

「オレとアチキの西方漫遊

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淡路SAと大観覧車

淡路SAと大観覧車

ーオレとアチキの西方漫遊記(2)
日本の原風景を見て癒されたい。そんな思いつきで決まった目的地。まず高知・四万十川を目指した。グーグルマップによると、東京都内から予約した宿までは900km程度。スムーズに行っても約半日かかる。せっかくの休み、ぶっ通しで運転して初日から疲れを溜めるのもつまらない。休み休み、行くことに。淡路サービスエリア(SA、兵庫県淡路市)は途中で休憩した場所の一つ。ここには明石海

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オレとアチキの西方漫遊記(1)

オレとアチキの西方漫遊記(1)

ー激走2500km病気から回復した奥さんの快気祝いを兼ね、夫婦水入らずで東京から高知(四万十川、仁淀川)、京都(嵐山)、静岡(伊豆)などをクルマで巡ってきた。総移動距離は2500km超。奥さんに免許なく、全行程を一人で運転したが、大自然あり絶品グルメありで、疲れを上回る満足感があった。帰京後、実父から「無謀に過ぎる」と灸をすえられるも、それはそれ。懲りずに、次の旅行に向けて動きだしている。連載『オ

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