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#19 Warsaw to Krakow

2019年9月21日

まだ薄暗い空の中、朝5時半頃にそっと宿を出る。中央駅までバックパック・スーツケースと共にてくてく向かい、地下に行くためのエレベーターに乗ろうとしたら、火がついたままの煙草を手に持った呑んだくれのおじいさんが扉が閉まりかける瞬間に乗ってきた。うぅ、降りたい…と思った時には扉が閉まり、しかも降下するのがめちゃくちゃに遅い。ただちょっと下にある地下に行くだけの短いエレベーターなのに本当にのろく、でもよろめくおじいさんが酔っ払いながらポーランド語でニコニコ何か話しかけてくるが、ほんの一瞬で室内は煙草の煙で充満してしまい、苦笑いしながら息を止めるのに必死。最後に何でこんな目に…と思い、扉が開いた瞬間に駆け出した。

少し迷ってしまい、急いで鉄道に乗って隣駅まで。クラクフという街へ行くためバスに乗る。クラクフはポーランド人からもおすすめされていた街なので楽しみにしていた。ヨーロッパ移動で人気の格安バスFlixbusを初めて利用してみる。中は普通の観光バス(バルト三国を走る長距離バスLux Expressの方がクオリティ高めで好き)。私は特に苦痛でも何でもなかったのだけれど、背が高い人が多い欧米人はなかなか苦しそう。近くにいた男の人は足をどういう体勢にしたら楽に乗れるのかごそごそ試行錯誤していた。

ぼーっと乗っているうちに、クラクフに着く。残念ながら今日1日だけの滞在になるので思う存分楽しみたい。ターミナル直結のショッピングモール(かなり大きい!)近くのラゲージルームへ預けに行き、はりきって街へ繰り出す。そして今日はなんと快晴!ヨーロッパに来てから、太陽の暖かい光を浴びることは本当に幸せ、きっとお天道様は居てはるのだ。

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え、もう、クラクフ好き…。

ランチに、とお目当てにしていたレストランはまさかの臨時休業…しかしヘコんでいる時間はない。織物市場(お土産、民芸品、琥珀のアクセサリーなどのお店が連なり見ているだけで楽しくなる有名な市場、買いたいけれど目移りしすぎて選べなかった)を通り抜けた先にあった小さな広場で、何やら楽しそうなイベントが。ぎゅうぎゅうに設営さてたステージで歌やダンスが披露されていて、お店もたくさん。少しお祭り気分で寄ってみる。

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たくさんの屋台があったので、ここで少しつまんでいくことに。オスツィペック(oscypek)という羊のスモークチーズ。ポーランド南部の名物らしいが、ここで食べることができた。初め見たとき、遠くから見たら何を売っているんだ?木彫りの置物?と思うほど、全くチーズには見えない。表面に模様が入っていて素敵(今回撮った写真はこれだけなので、画像検索してほしいくらい)。ベリーソースをつけて食べるのが主流らしいが、今回はシンプルな味を試してみることに。特に臭みなどもなく食べやすいし、スモークされている嬉しさ。

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歩いていると、素敵なカフェ〈Confectionery café Cichowscy〉を発見。Google mapで時間を見てみると、土曜日はお昼過ぎまでしかやっていない。戻る頃には閉まっているだろうし、これは今行かなくちゃ後悔する。早速中に入り、コーヒーとポンチキ(pączki)と呼ばれるシンプルなドーナツを。ポンチキは、揚げパンにグレーズがかかったようなイメージ。そこまで油っぽくなく、ペロリと平らげた。窓際のカウンターに座って、この街で生きる人をただただ眺める、それが出来ただけでここを訪れた価値があるなあ。

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そのあと、間髪入れずピエロギ(食うてばかりやないかい)。すぐ近くにあった〈Przystanek Pierogarnia〉というお店へ。ペーパーナプキンやナプキンホルダー、お皿までピエロギチックなデザインのものを使われていて可愛い。壁にはお客さんからのメッセージが一面に貼られていて愛を感じた。

カジミエシュ地区へ。かつてユダヤ人の住んでいた街で、どこか面影が残っている。今では若者のホットスポットとしてお洒落なエリアとなっているそうでバーやギャラリーなどが多く見られた。フォトギャラリーに入ってみたり、あらゆるところで昼過ぎから乾杯するイケてる人たちを温かい眼差しで通りすぎたりする私。ノビ広場というところでは、土曜日だったからか、ここでも屋台や小さな蚤の市が開かれていた。今日は嬉しいことにめちゃくちゃ温かいので、レモネードを買ってさわやか休憩(先から休憩してばかりでは…)。

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さらに南下し、旧オスカー・シンドラー琺瑯工場を目指す。事前情報を掴まず訪れたのが悪かったのだが、夕方に行くと予約がいっぱいで入ることはできないとの事。そういう人はたくさんいたけれど悔しい、ここを訪れるリベンジをしたい。あぁ、これまで休憩しすぎたかしら…と自分をゆるく責めつつ、隣にある現代美術館〈MOCAK〉へ足を運ぶ。これがなかなか広くて楽しい。発想が意味不明すぎて愉快なものがたくさんあった。

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Kuchnia u Doroty〉というレストランを見つけ早めの夕食を。ひとりで賑やかなレストランに入るのは少し緊張するな、とそわそわしていると、私が通された席はこのあと団体客が入るという誰もいない部屋。ひとりだったというのもあって、きっとすぐ食べ終わるだろうというスタッフの考えにより通された部屋は静けさしかなく。席に座ってから団体客があと30分ほどで入ると聞かされたので、どんなスタンス、と思いながらこちらも慌ててメニューを決める。今までこの旅でまぁまぁな割合でカツレツを食べてきたのに、なぜだかカツレツを頼んでしまう私って一体…。そして、またほんの気持ち程度の彩り野菜に笑ってしまうのだった。

途中、古着屋さんを見つけてふらりと寄ってみる。可愛いチャイナシャツを見つけ購入。「今日はなんと50%よ」とスタッフのマダムが電卓を割る2にして見せてくれる。たしかインドネシア産だったので、この服はインドネシア→ポーランド→日本、と長い年月をかけて大きな旅をしている。前は誰が着ていたのだろうか、そういったことを考えながら買う古着は楽しいものだな。ちなみにあとで気付いたことだが、ポーランドの国旗は紅白が上下に分かれているデザイン(上が白、下が赤)なのだが、インドネシアはなんとその逆(上が赤、下が白)。なんたる偶然。そして日本の国旗も形は違えど紅白の2色。こういった奇跡、めちゃくちゃ嬉しいな…(小躍り中)。

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夜になると、織物会館のある中央広場はがらりと雰囲気を変え、一気に夢の中の世界のよう。1日で魅了され、まだまだこの街を知りたいのに出発時間は着々と近づき、急に寂しくなる。ショッピングモールにあるスーパーで夜食を買ってバスを待ち、次の街へ向かう。ポーランドよ、またいつか。

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