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ウクライナの穀物を世界が必要としているわけ -38-


↓ 今回読んだ記事はBBCのこれ!



2万6千トンの穀物を載せた船がウクライナのオデッサ港からレバノンに向けて出発した。2月以降ロシアが黒海の封鎖をして以降、ウクライナを出発する初の船となる。オデッサ港周辺では、他にも16の船が出発を待っているという。
ロシアによる黒海の封鎖によって、穀物の価格が急騰し、最貧国では穀物不足が問題となっている。

ウクライナにとどまっている穀物の量とは?

現在2000万トンの輸出予定だった穀物がウクライナにとどまっており、今年の収穫期後には75000万トンまで増える見込みである。
通常ウクライナは8600万トンの穀物を収穫しているが、今年はそのうちの30%は収穫ができないと言われている。

穀物不足の他国への影響とは?

ウクライナの穀物輸出量は世界4位である。世界のひまわり油の42%、トウモロコシの16%、小麦の9%を作っていた。加えて世界最大の輸出国であるロシアからの輸出が低下してしまっている。
欧米国による制裁はロシアの農業を対象とはしていないものの、保険料の引き上げが支払いに影響しており輸出を妨害しているとロシア側は主張している。
アフリカの小麦の40%を通常はウクライナとロシアが供給している。しかし今回の戦争によってアフリカの食料の3000万トンが不足し、食料価格は40%上昇した。
ナジェリアではパスタやパンといった必需食品の価格が50%も上昇した。

主要穀物(上からひまわり油、とうもろこし、大麦、小麦)

同様に、イエメンでは通常年間100万トン以上の小麦を輸入していたが、1月から5月にかけて供給量が低下したことで、小麦の価格は42%、パンは25%上昇したと国連は発表している。
シリアではパンの価格が二倍に上昇した。
ウクライナの穀物が輸出されなければ、中東やアフリカの多くの国々は食糧不足となってしまう。そしてパンの価格がさらに上昇し、社会不安を引き起こすだろう。

黒海封鎖の状況

(*:Ukraine and Russia have signed "mirror" deals which will allow Kyiv to resume exports of grain through the Black Sea.)

ロシア、ウクライナ、UN、トルコの4者は協議を開き、黒海にウクライナ産の穀物を輸送する「回廊」を設置することで合意している。

この合意では、イスタンブール海峡までの回廊の距離と幅や、船が移動する間の停戦、国会を通してのロシア産穀物と肥料の輸出などが決定された。

日経新聞より

回廊を通る船の保険は誰が持つのか?

今回出発したラゾーニ号は保険がカバーされている。
ロシアが侵攻を開始してから、黒海を通る船の保険料は急騰した。保険会社によっては一隻の船に対し、その価値の5%や10%の保険をかけるところもあった。
しかし今回安全な回廊が設置されたことで、保険料は低くなる見通しだ。

回廊設置前のウクライナの輸出方法は?

戦争の前は、ウクライナは食料の90%を船で輸出していた。
しかし今回の戦争による港の封鎖によって、トラックや列車を使った陸上輸送にできる限り切り替えていた。
この陸上輸送のためにEUは、ウクライナがバルト海やルーマニアのコスタンタの港から穀物を輸送できるようなルートを設置していた。

このルートはまた必要になる時が来る可能性もある。
黒海回廊の合意が有効なのは120日だけで、再度更新されるかは未定だからである。

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