【漫才.134】不安な話

井口―はいどーもー、ウエストランドです!

河本―いきなりなんですけど、芸人さんってお喋りですよね。

井口―いきなり何言い出してんだよ!そりゃそうだろ!そもそもそれが仕事で…

河本-それそれ。そんなに喋られたら引くわー。

井口―なんでだよ!喋りを生業としてるんだから。逆にお前みたいに全然喋らない方が引くわ!もっと喋れよ!

河本―何をですか?

井口―おもしろい話を!そんな事いちいち聞き返してくるな!なんか最近のおもしろい話とかないの?

河本―あー。この前、麻雀をやってたときの話なんですけど。めちゃくちゃ盛り上がって、結局朝までやってて、しかも勝ちまくったんですよ。そしたら・・・・

井口―ちょっと、ちょっと待って。

河本―なんですか?

井口―その話は止めようか。

河本―なんでですか?

井口―うーん、ちょっとゾワゾワするから。

河本―え?

井口―いや、大丈夫なんだろうけど。ホントに純粋に麻雀楽しんでただけかなって、ちょっとだけ考えちゃうから。みんなちょっとだけ心配になるから。それですっと話が入ってこないんだよ。

河本―え、麻雀ってダメなんですか?

井口―麻雀はもちろん良いんだよ。でも、麻雀を好きな人ほど、ホントに麻雀だけを楽しんでるのかなって一瞬不安にあるから。この話は止めよう別の話にしてくれ。

河本―・・・そうですか。えー、じゃあ、この前ポーカーをやってた時の話なんですけど・・・

井口―ちょっとやめようか。

河本―なんですか?

井口―ポーカーやってた話も止めようか。ポーカーの話こそ、やめとこう。

河本―え、ポーカーやっちゃダメなんですか?

井口―もちろんポーカーはいいんだよ。ただ、あんまり人前で言う事ではないかな。詳しくきかれたら何かしらのボロが出ちゃうかもだし。そしたら一発で終わりますからね。

河本―ポーカーでめっちゃ熱くなった話ですよ?

井口―ポーカーで熱くなってたらいよいよ怪しいから。

河本―どうしても取り返したくて。

井口―そんなの言ったらもう!

河本―いや、負けを取り返すんですよ。

井口―そうなんだろうけど、聞いてて不安しかないから。内容が入ってこないんだよ。他の話にしてくれ。

河本―この前、パチンコで大勝ちしたときの話なんで
すけど・・・・

井口―それも止めろ!勝ったとこの話になるといろいろグレーだから!不安になって話が入ってこないから!他にの話は?

河本―えー。じゃあ、この前みんなで飲んで、カラオケで大盛り上がりしたときの話なんですけど・・・

井口―それも不安になるなー!!今はマズいだろ。いつの話かなってなるから。飲んでカラオケ行って大丈夫なタイミングの話か?ってみんな不安になって話が入ってこないから!

河本―3年前ですよ?

井口―3年前ね!何やっても大丈夫なときね!懐かしいねー!あの頃が!楽しかった時期ね!ちゃんとそう言え!それくらい言わないと不安で入ってこないから!

河本―めんどくさくないですか?

井口―めんどくさいんだよ!めんどくさい世の中になったんだよ!だれがこんなにめんどくさい世の中にしたんだよ!みんなだよ!もう外に遊びに行った話はするな!家にいたときの話にしろ!

河本―えー、じゃあ、観ようと思ってた番組を見逃しちゃって、どうにか観れないかなーってネットで検索してたんですけど、

井口―不安になる不安になる!!違法視聴じゃないってなるから!TVerね!そう言わないと不安になるから!別の話にしろ!

河本―学生の頃やった悪さの話なんですけど・・・

井口―そんな話言いわけないだろ!他の話は?

河本―女の子を部屋に連れ込んだときの・・・

井口―もうやめろ!!!もう喋るな!!一言も喋んな!

河本―いや、もっと喋れって言ってたじゃないですか。

井口―こんな不安にしかならない入り口の話、どれだけおもしろくても何にも入ってこないから!なんの不安もないほのぼのエピソードだけ話せよ!

河本―それの何がおもしろいんですか?

井口―おもしろくないよ!おもしろさなんてもう必要ないんだよ!安心できるトークをお届けすればいいんだよ!それが芸人だろ!

河本―それが芸人なんですか?

井口―それが芸人だよ!安心安全に常識あるトークをするのが芸人なんだよ!めちゃくちゃやりたいなら一般人になれよ!芸人は一番まともな存在じゃなきゃダメなんだよ!そういう話だけしとけ!!なんか話ないのか!

河本―この前家族で公園で遊んで、買い物して帰ったんですよ。もちろん手洗いうがいもしっかりしました。

井口―そう。それでいいんだよ。いいわけねーだろ!もういいよ!

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