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新しい農業を目指して種をまく―ホールアース農場

ホールアースのキャンプに来てくださった方なら一度は口にされているホールアース農場の野菜。
じゃがいもやたまねぎのような定番の野菜から、スイスチャードやバターナッツかぼちゃといったスーパーでは見かけないような野菜までその数80種類にも及びます。無農薬で作っており、皮ごと食べても安心。イベントに来てくれた子供がモリモリ食べてくれるので、「家では食べないのに」と驚くお母さんも少なくありません。

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洞窟探険のインタープリターから農業者へ

そんな農場が生まれたのはちょうど8年前。現在、農場長の平野が一人で切り盛りしています。平野は今いるスタッフの中でも一番長くホールアースに在籍しており、今でこそ農業一筋ですが、元々は樹海や洞窟探険のインタープリターから始まり、富士登山など数々の企画を作ってきました。単なる農業者としてだけではなく、組織のことを深く知っているからこそ、変わりゆく時代の中で組織がどうあるべきかということも常に念頭に置いて目の前のことに取り組んでいます。

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ゼロから事業を作り上げていくこと

今でこそ、年間通していつでも野菜が収穫できるようになりましたが、もちろん最初はゼロからのスタートでした。平野は農家に生まれたわけでもなく農業経験もなかったので、何をどれだけ作付けするのか、誰に販売するのか、どういった栽培方法にするのか等、全てが試行錯誤でした。保存方法を間違えて、収穫したじゃがいもを全て腐らせてしまったことや、人参の種まきに失敗して全く収穫できなかったことも。あらゆる失敗を繰り返したことで、“上手くいくやり方”ではなく、“やってはいけないこと”をたくさん学んだといいます。「その方が応用が効く」と今では笑って話します。


実践者となり“リアル”を伝えること

私達、自然学校のスタッフは自らを「インタープリター」と称していますが、それは“自然と人との仲介となり自然解説をする”つまり“人と自然をつなぐ”ことを生業としている人物のことを指します。前述のように平野も長い間インタープリターをしていましたが、その中で次第にある違和感が生じてきたといいます。それは“自分の伝えていることにリアリティはあるのか?”ということ。知識というのは先輩から伝え聞いたり、本で蓄えたりすることはできますが、それは自分の実体験によるものではありません。伝える内容にリアリティがなければインタープリターとして欠格だ―平野にはそんな思いがありました。だからこそ、自ら手を動かし続ける“実践者”である農業者に平野は向いていたのです。ゼロから畑を耕し、上手くいかないことに対し仮説を立て、実践、検証し、改善していく、そのプロセスの中で得たものというのは全てリアリティがあり、納得して他者に伝えることができると今、平野は感じています。

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自然学校が農業をやる意味

元々妄想好きな平野。農業をもっと面白く社会の中に組み込むアイデアの種がいくつもあります。
例えば、
・飲食店のホールスタッフを野菜インタープリターにしてしまうための現地講習会
・遊休農地活用のための人材としてサラリーマンを巻き込む副業プロジェクト
・これ以上の鮮度はない。畑で野菜を採って、出荷場で調理してむさぼり食べる。ただそれだけの野菜マニア向けプログラム
・お楽しみなし!農作業して、収穫して、調理して、食べて、寝る。というスパルタ系こどもキャンプ
等など…

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「農業体験以上、就農以下」の関わりを求めている人は多いと平野は言います。「農業やってます」というと「大変ですね~」という反応が多いそうですが、もっとハードルを下げて開かれた農業であるべきで、そのためには苦労話よりも面白がられる様々な仕掛けが必要だと平野は語ります。


美味しい野菜を生産販売し、イベントも行い消費者との距離を縮める―それだけでもやりがいはありますが、それだけでは自然学校が農業をやる意味がありません。私たちは社会運動体である以上、自分たちのやっていることを社会に還元させていく必要があります。アイデアは形にし、試行錯誤して上手くいったことは、モデル化して横展開していく必要があると平野は考えています。他の地域、他の農業者に伝えていかなければ意味がないのです。
農業者にしかできないこと、農業者だからできることがある。生産し販売して終わりではなく、農業という仕事にはまだまだ可能性があると平野は感じています。


問題に対して、答えは必ずある

どの仕事もそうですが、課題は次から次へとやってきます。ホールアース農場に限らず人手不足も日本の農業の課題の一つです。しかしそういった問題に対し、頭を抱えて悩むというよりも、いかに早く答えにたどり着けるか、平野は常に考えを巡らせています。なぜなら、「答えは必ずある」と信じているから。アンテナを張りながら頭の中で考え続け、一旦抜いて、考えない時間をつくる、そうすると何かの拍子にアイデアが浮かぶことがあるのだと言います。

来年1月には新しい出荷場もできる予定です。働く人が快適に過ごせるように、そしてイベントでお客さんも呼べる空間にしようとデザインされたそうです。その先でやりたいことも、妄想好きな平野ならどんどん湧いてくるでしょう。
これまでの農業のイメージを変えていきたい―自らの手を動かしながら、そんな思いを胸に1歩ずつ確実に新しい農業へと近づいています。

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“日本一快適な夢の出荷場”

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