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関節に対する基礎運動学と生体力学の原理の適用③ 関節可動域

毎週木曜日は、セラピストが基礎知識をつけるための情報を配信しています。

今週も【関節に対する基礎運動学と生体力学の原理の適用】について深めていきましょう。

関節可動域

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運動器の改善を診る上で、代表的な指標の1つが【関節可動域】(以降ROM)です。

ROMは、年齢差/性差/人種差などにより異なる場合もありますが、統一した基準がないことから、被験者の左右差や時系列を判断材料にするのが望ましいと言えます。

自動可動域(以降A-ROM)

A-ROMとは、被検者が介助されることなく、関節の自動運動を行なった時のROMです。

A-ROMにより、痛みや運動制限が生じるのは⇩が原因と考えます。

・筋や腱の収縮
・筋や腱と、骨への付着部の収縮
・「収縮した」組織の伸長
・A-ROMに伴い伸長させられる非収縮組織の伸長、または挟み込み
  *非収縮組織:靭帯、関節包

他動可動域(以降P-ROM)

P-ROMとは、被験者が脱力した状態で、検者が関節を動かした時のROMです。

正常下では、関節構造の保護機能が働くため、P-ROMはA-ROMよりわずかに大きくなります。

P-ROMはA-ROMと異なり、被験者の筋力や協調性に影響されることがありません。そのため相互を比較することで、ROMの制限因子が特定しやすくなります。

・筋力低下よるもの
・筋力以外によるもの

P-ROMについては、後日もう少し詳しく説明したいと思います。

まとめ

ROMは、施術する上で基礎中の基礎なので、「そんなことくらい知ってる」という方もいれば、「なぜ、あえてROMをテーマにしたんだろう?」と思っていただいた方もいるのではないでしょうか?

おそらくココまで読んでいただいた方は、後者だと思いますので、ROMと施術をつなぐための有意義な情報をお伝えしたいと思います。

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ROMを再考する意義は、3つです。

治療ポイントが絞りこめる
②不要な検査をしなくなる
③正しい患者教育ができる


ROMを上手く活用できれば、治療ポイントの絞り込みが容易になり、使用するべきテクニックも自動的に決まってきます。

つまり、筋治療/関節治療の目星をつけ、どの姿位でどのテクニックを使うべきかが、ある程度ここで決まります。


最初に、ROMの検査結果を正しく読み取れば、徒手筋力検査(MMT)、整形外科テスト(OPT)、神経学的検査(NLT)を省けるか否かが分かります。

不要な検査は、患者さんの負担軽減にもつながります。


A-ROMで記載した「原因」を読み取ることができれば、患部にどのような刺激を入れればいいのか/入れたらダメなのかを、正しく伝えることができ、再発予防に貢献できるようになります。

ぜひ⇧の3つをポイントを参考にROMを極めてみてください。

ではまた

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