駆け出しセラピストに送る言葉㉗ 「説得力と信頼とは」
今回は、先週コメント欄からいただいたご質問にお答えします。
<質問>
『こちらの目を離れた所で患者さんに意識をしてもらう為には説得力と信頼が必要になります・・・(一部略)・・・こういった場合、何かご自身で意識されている事はありますか?ぜひ教えて頂きたいです!』
自分の体に興味を持ってもらう
僕たちセラピストは、多くの症状を治すことができます。
しかしセラピストには、良い状態を維持させる力はありません。
<治療系セラピストの仕事>
(○)壊れた体を治す
(✕)体を壊れなくする
良い状態を維持させることができるのは、患者さん自身だけです。
今回の問題は、この真実をきちんと伝え、理解していただくことがとても重要と考えています。
そのため、僕が体の状態や、自宅でのセルフケア法を説明する際は、患者さんに「納得」してもらうことを心がけています。
説得と納得の違い
言葉の違いは、使い方のクセもあるので、もしかすると同じ意味で使われているのかもしれませんが、僕は明確に使い分けるタイプですので少し触れたいと思います。
と言っても、ビジネス書や自己啓発本の受け売りですけどね。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、多くの場合、ある旅人の上着を脱がしたほうが勝ちというゲームをした「北風と太陽」の話になります。
要約すると、人の行動を変えるには、自分の考えに近づかせるのではなく、自分の考えに近寄ってこさせる方が効果的だということです。
相手が自発的行動に移りたくなるよう誘導する、先生なりの手法を身につけてください。
ちなみに、僕は今でも練習しています。様々なタイプの患者さんをイメージし、仮想のセッションを繰り返しています。
「今のは伝わらないな」
「ん~言ってることが分からない」
「あれ?さっきと矛盾してるな」
など、やってみると気づく点も多いと思います。
納得を試みてもダメだった場合
患者さん:意思を尊重して欲しい
セラピスト:分かりました
冷たく聞こえるかもしれませんが、真剣に納得してもらうための説明を繰り返して、それでダメなら僕は諦めます。
僕が諦めたら何度も再発してしまう可能性はありますが、諦めたら困るはずの当人がすでに諦めているんです。正直、僕は困りません。
あ・・・もちろんですが、それも正直に患者さんに言っちゃいます。
でもコレって、良く言えば「本人の意志を尊重する」と同じことですよね。
あくまでも、僕たちの言葉はアドバイスです。
相手が押し付けられてる感を感じたら、それはアドバイスではなく、ありがた迷惑にしかなりません。
この言葉は信頼をなくす
患者さんと良い関係を構築する上で、欠かせないのがご質問でもあった通り「信頼」です。
セラピストはこの「信頼」を得るために、いろいろな説明をしたり、施術で結果を出すということをしますが、ココで紹介する言葉は、思いとは逆に作用しまうことがあるので注意してください。
<信頼を失う言葉>
「僕に任せてください」
「僕が治します」
⇧は、とても頼りがいがある先生をイメージする言葉ですが、一部の患者さんには勘違いして取られてしまいます。
任したら治してもらえる = 今まで通りの日常生活でOK
冒頭にお伝えしたとおり、私たちセラピストは治すのが仕事で、壊れないようにするのは患者さんの仕事です。
しかしこの言葉を発してしまうことで、先生に任せてもよいと言うのを、「自分が自宅で意識して何かをする必要はない」と勘違いする方がいるんです。
この言葉を使う時は、できること/できないことも必ず添えることを忘れないでください。
自宅ケアを実行してもらえないケース
治療(施術)後に何かしらの結果が出て、「状態をより良くしたり、継続させるためには、この自宅ケアをする必要がある」ということを伝えると、よっぽどの事がない限り実施してくれます。
ただ治療(施術)内容と、セルフケアに矛盾がある場合は別です。
例えば、治療中は「骨盤が広がっています」と言っておきながら、自宅では「このストレッチをしておいてください」は、矛盾があるので実行してくれません。
骨盤を締める施術で良くなった体を、自宅で悪化させたくないと思うのはあたり前のことだからです。
最後に
患者さんが先生の伝えたことを、自宅で続けてくれるモチベーションはたった1つ。
結果です。
長い時間かけて作った症状を一瞬で良くすることはできませんが、それでもある程度の結果は必要ですし、結果が出ないことは続けてくれません。
ご質問内容的に、稀なケースでの話だとは思いますが、今回の記事で参考になることがあれば幸いです。
ではまた