3.11 ホットクックとヘルシオが生活を変える

 子供が独立してカナメと二人暮らしをするようになってから、お肉中心のガッツリ系のメニューを大量につくる必要がなくなった。ちょっとだけ、でも色々と食べたい、そして野菜が食べたい。そういう欲求があって、毎日ちょこちょこと複数のお惣菜を作るようになった。

 そんな時に「つくりおき食堂」のまりえさんのレンジを使うレシピに衝撃を受けた。以前から彼女のレシピは参考にしていて、塩加減がちょうどよく、クックパッドの濃い味付けに辟易としていた私にとっては、パーフェクトに美味しいと感じられるものであった。その彼女がレンジだけで作れるレシピをバンバンと公開するようになった。私はその「レンジだけでできるレシピ」を毎日のように色々と作るようになった。

 中でも大根の煮物は衝撃的だった。レンジから取り出してすぐに味見してみたときには、「まぁレンチンだからこんなもんか」と思いつつ、粗熱をとって冷蔵庫にしまい込み、翌日に食べてみて絶句した。何時間もコトコトと炊いた大根と遜色ないほどの美味しさだったのだ。

っていうか私が過去に色々と試してみた煮物に比べても、各段に美味しい。こんなに簡単に確実に美味しいものができるとは!!

 その当時は海外在住だったので、4個口のコンロ、大型のガスオーブン、電子レンジオーブン、エアフライヤーなど、フル装備のキッチンがあったのだが、次第にコンロを使う頻度が減ると同時に、コンロの掃除が一気に楽になった。子供がいて、同時進行で大量のものを作る必要がなくなると、ガッツリ系ではなく、いくつかの「お野菜の炊いたん」(関西弁かな)と少量の玄米ご飯、具沢山の味噌汁、で十分贅沢な食卓だと思うようになった。

 そして日本に帰国してからは、アマゾンのセールで念願のヘルシオとホットクックを購入した(いずれもサイズは小さい方ね)。

実家の掃除をしながら、製品に同梱されていたクックブックのレシピを一つずつ試していった。特にホットクックの衝撃は大きく、簡単なのに超絶美味しいことに驚きまくり「私の過去の調理時間を返してくれっ!!!」と思うほどだった。私が時間をかけて、焦がさないようにと時間をかけて調理したものよりも、確実に美味しいものが出来上がる。再現性もある。何度作っても焦げないし、ハズレがない。野菜一つ茹でるにしても、無水調理した野菜は、どれも完璧な歯応えを残していて味が濃厚で、もうお鍋で茹でようなどと二度と思わないような仕上がりとなった。大豆を蒸しておくと、サラダにも煮物にもポンポンと入れられる。そしてこの「蒸し大豆」の美味しいこと美味しいこと!

 ヘルシオの方は、焼きそばなども簡単にできてしまうし、レンジとしても使えるので、この二台があれば、コンロはなくても良いと思うほどであった。

 もともとコンロの掃除を嬉々としてするタイプでもなく、料理が趣味でもない私に、コンロは複数いらない。っていうかIHでいい。一個口のIH程度があればいい、と思うようになった。

 そして私の上を行く超合理主義のカナメは、キチンと素材からダシ取れ!的な妙な精神論を振りかざすこともなく、ただ「美味いもの食いたい」だけの人なので、素材の旨味たっぷり、野菜消費たっぷり、の食卓に大喜びであった。

 食材さえ揃えておけば、確実に美味しいメニューが一品できるという安心感から、逆にキッチンに立つのが楽しくなった。ザクザクと食材を切るだけで調理が終わったも同然なら、かける時間コストも低い。毎日毎日化学実験をする子供のような気持ちで、できあがりを待った。

 ちなみに、ヘルシオとホットクックがあれば、コンロはいらないと思ったのだが、餃子を焼く、炒飯をつくる、お好み焼きを焼く、揚げ物を作る時にはコンロを使うようになった。色々と試してみたが、ヘルシオと言えども万能ではない。でも逆に言うと、この程度だ。

 今では、麺を茹でるのも、温泉卵つくるのも、豆や野菜蒸すのも、玉ねぎ炒めるのも、お味噌汁つくるのも、全部全部ホットクックさんだ。

この状態になると、キッチンに求める条件は、一般的なお料理好きのご家庭のそれとは大きく異なって当然だ。

そう。前提が違うなら、キッチンについてはイチから考えないといけないのだ。

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