ドライフラワーに目覚めるカナメ
私の黒歴史なのだが(汗)。
何を血迷ったか、自分の弱点を克服せねばと思い立って、美的感覚もセンスも一切ないにも関わらず、フラワーアレンジメントの世界にチラッと浸かった時期がある。
が、努力だけでは如何ともしがたいということだけは分かった。当時は、自分の弱点を克服すべく、フラワーアレンジメントの先生の門戸を叩いてしまった。FDFとIHKというドイツ式フラワーアレンジメントの講座である。血迷ったとしか思えなかった。
ところが、この師匠が本当に良い方で、ずるずると通い続けてしまった。結局、最終的には資格はとらなかったが、先生と一緒に花市場にクラス用のお花を買い付けに行ったり(これがまたびっくりするほど大量に買う)、ボランティアで先生の助手として総合病院にお花を生けに行ったりすることが、ただただ楽しかった。でもフラワーアレンジメントの世界が自分にとって大事なものかというと、全然そうではなかった。
ガジェットのトラブルシューティングをやっている方が楽しいのである。
が。
カナメは違った。
めっちゃお花が好きなヤツなのだ。
とにかく家の中にステキなお花を飾りたいらしい。なので、私が自分の美的感覚のなさに凹みそうになりながらも、講座で仕上げた作品を持ち帰る度に、彼は本当に喜んでくれたのだ。
ちなみにドイツ式のアレンジメントは、めっちゃくちゃ大量のお花を使う。そのため、お花を高速で処理する技術は徹底的に磨かれる。ドイツの教育システムは、大学に進学する道と、職人として生きる道を早い時期に決めて、職人として生きると決めた人は、徹底的にそのスキルを教育される。私が受講していたのは、フローリストとして生きる人のための講座の一環であり、その次のレベルになるとデザイナーを目指すことになる。
なので、大量のお花の高速処理スキルだけは磨けたよ。あまり活躍の場がないけど(汗)。
カナメは外出先でお花屋さんを見つけると入っていってしまうしスーパーの隅っこに売られているお花を見ては、「なんかちょっと生けてよ」と言ってくるが、無理だ。
さて。
我が家の近くに見つけたお花屋さんは、今までに見たどのお花屋さんとも違っていたのだが、実はドライフラワーの専門店だった。オーナー社長さんの本業は花農家さんなのだが、なんとドライフラワー専用のお花を栽培しているらしい。
知らなかった(汗)。
最初から、ドライフラワーに向く種類のものだけを栽培して、それをドライフラワーに加工して出荷しているらしい。
「このコロナ禍で、やはり影響ってありましたか?」と聞いてみたら、驚きの答えが。
「なんだろうねぇ。むしろ引きがすごいというか。みんな家にいるからかな。すごく出てるね。関係なしに。増えてる増えてる。」
ええええええええええええ。
ステイホームで活況な業界に、ドライフラワー業界も入ってたのかーっ!!
こういう知見が得られるのが嬉しくて、私はどこに行ってもいろんな方にいろんなことを聞いてしまう。
さて、先日、このオーナー社長さんを花市場でお見かけしてしまった。自社栽培のものだけではなく、他のお花を仕入れに来られたのかな?っていうか、その方がコストが安いのかな?
そしてカナメはその社長さんがピックアップしているお花の種類を脳内にメモしていたらしい。そして同じようにセレクトして購入。すべてを束ねて天井からぶら下げてドライフラワーにするという。テクは盗むものよね。
無造作に束ねて干してあるだけなのに、なぜにオシャレに映るのか。
横にぶら下がっているのも、カナメが購入したニトリのエアプランツ。造花である。
センスは一日にして成らず、である。
それ以来、色々とお花を買っては天井から吊り下げるということを繰り返していたのだが、中にはドライフラワーに向かないものもあったよ。個人的には、ドライフラワーはお花のミイラみたいなものだと思っていたので、あまり積極的に家に飾りたくないと思い続けていたのだが、花の種類によっては、驚くほど鮮やかな色を残しているものもあり、芸術というものは素人では知り得ない深淵があるのだなぁと深く感じ入って以来、飾ることに抵抗がなくなった。
とは言え、ドライフラワーは増えまくる一方なので、今度は飾る場所がなくなってくる。もうずっとこのまま天井からぶら下げておこうかとちょっと考えはじめている。
ドライフラワー作りは簡単なのに、買うとそこそこの値段がするので、ちょっとやってみても良いかも。
ところで、アジアの華道なら、もっと興味を持てたのかなとも思う。素材は少ないのに空間を完璧に演出する。実にエコで、お花に優しい。たった一輪の花を見事に生かし芸術として昇華させる。
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