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Weekly China 4/19's Articles

皆さんこんにちは!Weekly China編集部です。
第6回目となる今回の記事は:
①武漢市政府、電子決済を活用した消費刺激施策を実施
②広州恒大、中国最大のサッカー場建設始める
③シェアバイクの時代、再度到来か Didi傘下の「青桔単車」10億ドルの資金調達

武漢市政府、電子決済を活用した消費刺激施策を実施

図1

要点
①武漢市政府が消費刺激施策として、オンラインプラットフォームにクーポンを配布
②クーポンの具体的な利用方法とは
③民間もこれに応答、官民一体の経済対策へ
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1、 日本を含む各国で経済対策が連日議論されている中、新型コロナウイルスの震源地である武漢では、4月19日より、アリペイやウィーチャットなどのプラットフォームを利用した、約76億円(5億元)規模の消費刺激施策が始まった。武漢政府は、武漢住民を対象に、武漢市内の指定された飲食店、ショッピングモール、スーパー(コンビニ)、文化観光施設で使えるクーポン4種類を二段階に分けて発行する。

2、 具体的な使用方法や規則は以下の通りだ。武漢住民は、アリババとテンセント、美団点評が運営するプラットフォーム上で「武漢」や「消費券」と検索し、特設ページにアクセスすると、そこでクーポンを貰うことができる。しかし、クーポンは総額5億元分という制限があるため、すべての人が均等に貰える訳ではなく、抽選に参加する必要がある。抽選は、現地時間4月19日の正午から始まったが、ウェイボー上では、クーポンを貰えたかどうかについての投稿が見られた。
  また、4種類のクーポンは、それぞれ金額が異なっており、飲食店とスーパー用には10元と20元相当のクーポン、ショッピングモールと文化観光施設用には50元と80元相当のクーポンがあるといった次第だ。

図2

図3

  クーポンを使うためには、それぞれのクーポンに対応する店舗に行き、オンライン決済をする必要がある。クーポンそのものでは購入できず、ある一定程度の金額を支払う際に、クーポン分の金額が支払価格から引かれるという形だ。
ちなみに、一つのプラットフォームから得られるクーポンの金額は、一人当たり毎月100元まで、施策期間を通して200元までと決められている。

3、 また、政府の動きと合わせて、各プラットフォームも独自にクーポンを発行。総額約270億円(18億元)相当であるこれらのクーポンは、武漢市政府が発行するクーポンと併用することが可能であり、まさに官民一体となった経済刺激策と言えよう。
  人類史上例を見ない規模の都市封鎖を経験し、大きな経済損失を負った武漢。電子決済という最先端の社会インフラを活用した今回の経済対策は、武漢経済の回復にどれほど貢献できるのだろうか。

文/邵鴻成

広州恒大、中国最大のサッカー場建設始める

要点
①浦和レッズなどと戦った広州恒大は中国最大のサッカー場の建設を開始
②FCバルセロナのカンプ・ノウよりも多い観客を収容可能に
③2015年から中国は国レベルでサッカーに力を入れ始める
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  中国サッカー1部リーグの広州恒大は16日、新スタジアムの建設を開始した。10万人の観客を収容できる中国最大のサッカースタジアムとなる。総工費は120億元(約1823億円)にのぼり、2022年末までに完成する予定だ。新華社などが伝えた。

図4

新スタジアム内部の様子。広州恒大ホームページより

  新スタジアムは、FCバルセロナのホームスタジアム、カンプ・ノウの収容人数をわずかに超える。カンプ・ノウは現在、99,345人の観客を収容でき、欧州最大となっている。ちなみに、世界で一番多く観客を収容できるのは、北朝鮮のメーデー・スタジアムで、15万人を収容できる。
  広州恒大は、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)などで優勝経験のあるサッカーチーム。昨年のACLでは準決勝で浦和レッズに破れ、決勝進出を逃したが、中国1部リーグでは史上初となる8度目の優勝を飾った。

図5

広州恒大は史上初となる8度目の優勝を飾った。広州恒大ホームページより

  中国でのサッカー人気は高いものの、実際にプレーする人はあまり多くない。趣味がサッカーと話す人の約8割は観戦専門という印象だ。本格的にサッカーに取り組む人も「大学受験で有利だから」と話していた。スポーツで結果を残すと、大学受験で加点されるという。
  また、中国サッカー、特に男子サッカーのレベルに関しては中国国内でも痛烈な批判が多い。サッカー好きの友人は「男子サッカーには期待しない」と話していた。
  しかし、実は、国レベルでサッカーを盛り上げようとしている。中国政府は、2015年3月に「中国サッカー改革発展総体法案」(以下、法案)を公布。中国政府の見解を代弁するとされる新華社通信は、法案を「中国サッカー史における画期的な出来事」と伝えた。バドミントンや体操などに強い「体育大国」の中国が、「体育強国」になるには国際的影響力の強いサッカーレベルの向上が欠かせないとしている。
  中国が「体育強国」になった暁には、カンフーサッカーばりのスーパーシュートが見られるのではないかと、少し希望を抱いている。

文/田村 康剛

シェアバイクの時代、再度到来か Didi傘下の「青桔単車」10億ドルの資金調達

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要点:
①「青桔単車」が10億ドルの資金調達を実施。
②シェアバイク史上最高の資金調達額となる。
③アリババ、メイトゥアン、Didiと三つ巴の行方は。
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  2017年に、中国の新四大発明として名を連ねたシェアバイク。元祖シェアバイクとも言える黄色の「ofo」や、そのライバルであるオレンジ色の「Mobike」などが一世を風靡し、一時期は日本でも事業展開していた。ところが、2018年に入ると元祖シェアバイクである「ofo」は資金難に陥り、経営再建状態に突入。最大のライバルであった「Mobike」も、前者との激しい消耗戦により、経営体力が徐々に低下し、フードデリバリーサービスを展開する「美団点評」(メイトゥアン)へと買収された。その後は、業界再編が進み、メイトゥアン傘下の「美団単車」(旧Mobike)、アリババ傘下の「哈羅単車」、そして配車サービス最大手の「滴滴出行」(Didi)傘下である「青桔単車」がシェアバイク市場のパイを分かち合っていた。
  シェアバイクサービスは、一時期資本市場から“時代の寵児”とされ、上記の数社以外にも多くの企業がシェアバイク事業に参入したが、ビジネスモデルの破綻や、マネタイズの難しさからことごとく敗退。業界としても、2018年以降は特に大きな変化もなく、三つ巴の状況が続いていた。しかし、今週27日にDidi傘下の「青桔単車」がレジェンドキャピタル(君聯資本)及び海外のファンドから10億ドルの資金調達を実施。2020年のシェアバイク戦争に“資金調達”という宣戦布告する形で幕を開けた。
  多くのシェアバイク事業が経営破綻した背景には前述の通り、マネタイズの難しさがある。しかし、2019年からシェアバイクの賃料は全国で一斉に値上げされ、この問題も緩和されつつある。また、これらシェアバイク事業を有する大手IT企業であるメイトゥアンやアリババ、そして配車サービス最大手であるDidiにとっても、シェアバイク事業は自社内におけるサービスのクローズループを図り、ユーザーの定着といった計らいがあるからこそ、多少の赤字でも事業を存続する意義があるとされる。
  いずれにせよ、2019年に史上最大の冷え込みを見せた中国のシェアバイク市場だが、2020年「青桔単車」の資金調達により市場が再燃し、一波乱起きることは確実だろう。三つ巴の行方は如何に。

文/夏目 英男

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By Weekly China
April 19th, 2020

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