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"Glam has it all" | ビューティフル/毛皮のマリーズ

もしも一人暮らしをするのなら、部屋とレコードプレイヤーと、ビューティフルのアナログさえあればいいのに。10年越しに7インチ・アナログが発売されると聞いたときにはそんなことを思った。そのぐらい、志磨遼平には、グラムロックには、全てを貰っていた。ボランもボウイも、吉井和哉さえも体感してこなかった僕にとって、ロックは時間に抗うことで、ロックは己を離れてペルソナを演じることだと教えてくれたのは毛皮のマリーズだった。

「人は17歳の頃に聞いていた音楽を一生聴き続ける」らしいが、ビューティフルは10年経った今でも鳴り続けている。「まるで人生のような音楽、まるで音楽のような人生」「私より私と呼ぶべきガールと恋に落ち」は哲学で標だ。音楽と私と貴方、その距離がこの世界の直径だと、信じて疑わなかった。今だってそうだ。

結局マリーズは急に死んでしまうが、グラムロックが時代に負けたわけじゃなかったと信じている。"Who Killed Marrie?"と銘打たれた解散ライブ。鳴り響く最後のフィードバックがシステマティックに止められたあと静かに流れてきたのは"Rock 'n' Roll Suicide"だった。マリーズとグラムロックは誰にも殺されなかった。言いたいことを言ったから、自らその幕を閉じた、それだけのこと。 


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