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マーケターのバイブル「ハイパワー・マーケティング」の感想

全米で「マーケターのバイブル」と称賛されるマーケティングの本を読んだので感想を。ハードカバーで304ページ、洋書特有の表現が少しありましたが全体的には読みやすかった。日本では2001年に「お金をかけずにお金を稼ぐ方法」というタイトルで発売後に絶版となったが、マーケティングのバイブルとして中古で1万円以上の値段で取引されており、その後2017年に「ハイパワー・マーケティング」として再編集して発売された。原著となる本は2000年に米国で発売されているので、約20年前の本となる。各章で「理論→具体例→アクションプラン」といった実用を意識した構成となっている。

マーケティングの原則は不変だった

本の内容はマーケティングはもちろん、今でいう見込み顧客獲得(リード)から、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセス的な内容まで書かれており、最近発売されたBtoBマーケティング本で有名な「The Model」と通じる部分もあると印象を受けた。

デジタルマーケティングという言葉が出てくるずっと前から、平均顧客生涯売上(LTV)や平均購入頻度などのデータによるマーケティングの必要性を唱えている。さらに、自社の強み(USP)を見つけていち早く打ち出して(ポジショニング)ブランド想起率を上げたり、顧客が購入までに障壁となるリスクを可能な限り取り除いたり、マーケティングテストを小さく始めるといった一連のマーケティング戦略・戦術についても記載されている。つまり、現在でも充分通用する内容、というか、本書にも書いてある通り現在のマーケティングにも大きく影響を与えていることにも納得がいった。

とにかくクライアントファースト

今でも通用する理由は、この本でとにかく強調されていた「自分よりもクライアントの成功をとにかく考えて実現すること」にあると思う。クライアントのためなら、一時的には大きなリスクをとったとしても、結果的に自分に返ってくることが繰り返し書かれている。そして、クライアントの成功のためには、クライアントに加えて社内やパートナーも含めて継続的にコミュニケーションをとってクライアントが必要とするサービスを提供すると。この本が出た当時は米国でもインターネットがちょうど活用され始めた頃のようだが、著者は「この本に書かれているマーケティングの本質をすべて理解してから、インターネットという新しい手段(ツール)の活用に取り組むように」と書いている。マーケティングの本質である「クライアントの成功」を理解していないと、ツールをただ使ってもあまり効果がないということだ。

最後は自分の人生を幸せにするため

本書の最後では、大きな成功をもたらすためのブレイクスルーを生み出すための方法、そして、人が幸せになるためにはどうすればよいのかといった人生論的な内容にまで踏み込む。マーケティングでクライアントを成功させ、社会に貢献して、自分と周りも幸せになるといったサクセスストーリーの秘訣がまとまった本になっていた。

今年読んだ本の復習をすることができた

2019年からビジネス書やマーケティングの本を読みだして20冊くらい読んでいる。ちょうどこの本を読んだことでよい復習をすることができた。まずはアクションするならデータ化されていない部分への取り組み、休眠・失注顧客の掘り起こし、A/Bテストあたりかな。あとは中長期で「強み(USP)の再定義」と「他業種の成功事例の理念や手法を応用」かな。

(おまけ)バーターはこれから普及する?

この本で一部独特な部分があって、「バーター(物々交換)」の章。例えば、ラジオで売れ残りの広告枠とホテルの売れ残りの部屋の宿泊券を交換すると、ホテルはラジオで宣伝ができてラジオは社員に宿泊券を格安で売れるといったWIN-WINを実現できる。つまり、サービス同士を交換することで、現金を使わずにお互いのムダな部分を利益に変えることができる。当時はお互いに直接交渉して交換してたけど、今ではテクノロジーを使うことでもっと手軽にバーターできそうだなと。

以下にリンクを貼っておきます。マーケティングをやろうとしている人、やっている人は読んでみてはどうでしょうか。


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