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まつりの時間

夜通しつづく祭。
タイムテーブルはあるにはあるけれど
その通りにいったり、早まったり遅くなったり
でも誰もその情報を発信してもいないし
行かないことにはわからない。

いつもは何時くらいだからとその時間に行っても
もう終わってた!ということもままある。
予定より3時間も遅れていることもある。

単調な舞なのにその所作に見入ってしまう。
舞子を囲む人々、すなわち酔っ払いたちが織りなす
毎年のドラマに大笑いして、祭の雰囲気にひたり
気づけば何時間もたっている。

深夜0時頃に向けてにぎわいは最高潮に
子どもたちが舞うのもその頃。
だんだん眠くなってきて、ふわふわとしてきて、
時間はもう、あってないようなもの。

時間通りに、とか
早く終わらせないと、とか
明日の予定が、とか

思えば、こなごなに切り刻まれているのは
時間に支配されて暮らすのに慣れすぎた
わたしたちの日常。

祭の日、時間はただ、流れていくだけ。
制御不可能。ただ、身をまかせるだけ。
すべてがゼロに戻され、生まれ清まる。

また来年ね〜
田んぼの向こうにポーンと、ボールを投げるように。
受け取るのは、来年もこの場所に立つ、わたしたち。

愛知県北設楽郡東栄町足込
2019

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