読めば演奏会が楽しくなる!GRIT流「レ・ミゼラブル」の味わい方 〜第2回 「レ・ミゼラブル」という物語〜
皆さんこんにちは。Wind Ensemble GRITです!
私たちのnoteをご覧いただきありがとうございます^^
私たちは2025年2月8日(土)に開催する第5回定期演奏会にて
C. M. シェーンベルク作曲 福島弘和編曲
ミュージカル「レ・ミゼラブル」より
を演奏いたします。
そこで今回は前回に引き続き、読めば演奏会が楽しくなる!GRIT流「レ・ミゼラブル」の味わい方をお届けいたします🇫🇷
前回の記事はこちらをご覧ください。
今回はミュージカル「レ・ミゼラブル」およびその時代背景となった19世紀フランスについて、解説していきたいと思います!
それでは見ていきましょう(^^)/
「レ・ミゼラブル」ってどんな物語?
「レ・ミゼラブル」は19世紀前半のフランスを舞台に、ジャン・ヴァルジャンという男の半生を描いた物語です。
※詳細なあらすじはこちら↓
飢えに苦しむ姉の子どもたちのためにパンを一斤盗んだことで投獄されていたヴァルジャン。
彼が仮釈放を言い渡される場面から「レ・ミゼラブル」への旅は幕を開けます。
誰も手を差し伸べてはくれぬこの世界。
19年の歳月を監獄で過ごした彼の精神はすでに人間と社会への憎悪に支配されていました。
しかし、同じ時代に愛を持って生きる者たちと出会い、自らもかけがえのない愛を知ることで、
彼の精神は絶望という呪縛から解放されていきます。
そんな中、パリには革命の気運が立ち込めていました。
彼の人生に時代の悲劇が絡みつくなかで、
ジャン・ヴァルジャンはどのような人間となることを願い、
そして、自らに与えられた限りあるその命を何のために捧げていくのか…
そして「レ・ミゼラブル」は、そのようなヴァルジャンの半生を通して味わう、この時代のフランスを生きた人々の群像劇でもあります。
限りある人生の中で
誰かを愛すこと、誰かに愛されることを望み、
そして苦しみの時代において愛する何かのために自らの生を必死に捧げ続けたLes Misérables(惨めな人々、貧しい人々)。
そんな人々の生き様を描いたこの作品はまさに、人間の生と愛を深く称えた究極の人間讃歌なのです。
19世紀のフランスって?
それではこの作品が描く19世紀前半のフランスはどのような時代なのでしょうか。
19世紀のフランスを簡単に言えば
国家のあり方を模索し続けた激動の時代
だと言えるかもしれません。
1789年に勃発したフランス革命で、
それまでの社会のあり方を否定したフランスは
王は必要なのか
誰が選挙を行うのか
そして、そこで人々はどう生きるのか
新しいフランスのあり方に対して答えを出すことを迫られました。
たとえば己が権益を維持するために、社会の安泰を望む人々
たとえば苦境に喘ぎ、政治と自らの明日を変えていきたいと願う人々
それぞれがそれぞれの想いと守るべきものを抱え、血を流しあうなかで
18世紀末から19世紀後半にかけて
第一共和政、第一帝政、復古王政、七月王政、第二共和政、第二帝政、第三共和政
と何度も何度も政治体制を変えていきながら
先の見えない時代の歴史を紡いでいました。
「レ・ミゼラブル」のクライマックスのシーンで描かれるのは1832年、七月王政下で発生した六月蜂起と呼ばれる出来事です。
「革命」になれず、ただ「蜂起」として歴史の波にのまれていった一つの事件。
名もなき歴史の中にも人々の苦しみと明日を願う気持ちが絡みついていたことをこの作品は教えてくれます。
過去という宿命に向き合い「己とは何者か」を自問し続けるヴァルジャンの姿と、
この時代に己の生き方を模索したフランスの人々の想いが重なることで、
この壮大な「叙事詩」は完成するのです。
「レ・ミゼラブル」が人々の心を揺さぶり続けるのは
この一人一人の持つ迷いと苦しみが、そして誰かへの愛とその尊い命が、
時代という大きなエネルギーとなることで
「明日」という希望を感じさせてくれるからだと、私は確信しています。
そのエネルギーを音楽という形で表現できたならば、
そしてそれを聴いてくださる方に伝えることができたならば、
どれだけ幸せなことでしょうか。
以上になります!
最後までお読みいただきありがとうございました。
最終回はGRIT流の目線から、「レ・ミゼラブル」の演奏曲について解説を行いたいと思います!
またお会いしましょう(^^)/~~~
【次回 9月28日(土)更新予定!】
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