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【松本コーチが回答!GKお悩み相談】ウォーミングアップで必要な想定とは?

大宮アルディージャ・松本拓也GKコーチが小・中学生のゴールキーパーの悩みや質問に回答する無料イベントが、12月27日に開催されました。

本記事では、イベント内のQ&Aの一部を編集して掲載いたします。

質問者:Tさん/小学6年生の質問

GK歴は3年半です。試合前のウォーミングアップのときにいろんなメニューに取り組んでいるのですが、どんなメニューをすれば一番いいか教えてほしいです。

松本拓也(以下、松本) 逆に質問です。試合のときに簡単なシュートが飛んできたら止めることができると思いますが、反対にどういうときによく決められてしまいますか?

Tさん 特に朝ですが、体がよく動かないときやあまり集中できていないときです。

松本 失点するときは、想定外というか、「あ、ボールが突然きちゃった」というように、自分が思ってもみない状況が起きたときに失点してしまうことがあると思います。今、お話していてすごくいいなと思ったのが、ウォーミングアップでいろんなことをやっていると話していたことです。

試合では想定していないようなことがよく起きるので、そこでミスにつながりやすくなります。普段の練習からできることは、コーチに想定外のメニューをお願いすることです例えば、自分のところにボールがこなくて、相手側にボールがいってしまうことを想定していないと、焦ってしまいますよね。

そうしたいろんなシチュエーションを取り入れながら、コーチに練習してもらうことがいいと思います。あとは、自分が不安に思っていること、例えば、速いシュートを受けることやクロスボールが苦手だとしたら、クロスボールがきたときでも自信を持ってプレーできるように、コーチに高いボールを投げてもらったり、蹴ってもらったりするのも必要なことだと思います。

僕が実際にプロ選手に対してウォーミングアップでやっているのは、ある程度決められた動作でGKの選手たちが安心して試合に臨めるようなボールを蹴るということ。例えば、一見取れるか取れないか分からないようなものですが、でも実は取りやすそうなボールをこちら側が蹴ったり、投げたりしてあげることで「今のボールをセーブできた!」と選手を試合直前で安心させるようなことをしています。

ただ、同じウォーミングアップのなかでも一つくらいは想定していなさそうな状況も取り入れます。例えば急にクロスを上げたり、コントロールしてからシュートを打つところでダイレクトで打ってみたりとか、一つだけ想定外なものを加えるようにしています。そうすると「試合中、違うことが起きるかもしれない」という準備にもなるので、ぜひそれも参考にしてもらえればと思います。

質問者:Nさん/小学5年生のお悩み

GKは1年弱くらい。試合では、どうしても焦ったり緊張したりして、いつものプレーができなくなってしまいます。そんなときはどうしたらいいですか?

松本 具体的にはどういうときに慌ててしまいますか?

Nさん 1学年上の6年生の試合に出るときは冷静にできるのですが、5年生の試合では同じ学年同士なので、いい成績や結果がほしくて、体がこわばってカチカチになってしまいます。

松本 そういう気持ちの部分については、トレーニングしづらいところもありますよね。ただ、今、話してくれたように6年生だったらうまくいく、5年生だったらうまくいかないということがすでに分かっていることは、自分の課題をはっきり自覚できているということなので、素晴らしいと思います。

緊張しないでプレーすることは実際には難しいと思いますけど、緊張することでうまくいかないのであれば、割り切って「やられてもいいか」みたいに思ったりするのも一つの手です。

大宮アルディージャは今シーズン残留争いをしていましたけど、リーグ戦の最後に監督が「守ろうとしたら守れないから、とにかく攻撃的にいこう」と話をしていたんです。よく「攻撃は最大の防御」と言われますけど、点を取られないようにガチガチに守備を固めるよりも、「相手より1点でも多く取りにいこう」と監督が話したことで、選手の気持ちが前向きになっていきました。

だからもし、自分がやられてしまったら、その分たくさん点を取るためにもっと味方にコーチングしたり、どんどんパスを前に出したり、もっと声を出して気合いを入れて味方を励ましたりしていけば、意外と守れたりすることもあります。

GKは、自分の味方は前にしかいないですから、前の人たちに声をかけたり、もっと盛り上げていくことで緊張がほぐれ、いいプレーにつながっていくことがあるので、そんな気持ちを心がけてもらえるといいのかなと思います。


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