vol.26 問いかける人 【飯塚 洋史】

僕がわたるさんとあったのは、僕が大学1年生の2003年くらいだから、もう17年前で、わたるさんと過ごした時間は、ちょうど僕の人生の半分の時間だ。

そして、このnoteを書いている多くの人にとってもそうだと思うけど、僕にとってわたるさんは、自分の人生を変えてくれた一人である。

Blue Bulletsの中においても、1年生で東京Jr.で一緒に戦うところから始まり、Tokyo Towerで一緒にプレーしたり、自分が主将の時にサポートしてもらったり。2007年に一緒に25周年HP作ったり、2010年に僕がHead CoachでわたるさんがHRコーチとして一緒にコーチしたり。色々一緒にやってきた。

プライベートでも、僕が主将終わった後に二人で新潟に旅行に連れて行ってもらってチェーンのついていないレンタカーで雪山を超えて死にかけたり、一緒に九十九里浜まで自転車で旅行したり(そこでは伊部が死にかけるw)、伊豆に旅行して浜辺でラクロスしたり、忘年会ではしゃいだり、色々楽しいことも沢山ご一緒させてもらったし、どんだけおごってもらったかわからない笑(ちゃんと後輩に返して行きます)。結婚式でも乾杯の挨拶してもらって、素敵な言葉をもらって本当に公私共々お世話になってます。

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ラクロスで一緒に戦ったり、楽しく遊んだりということもわたるさんとの思いでだけど、色々振り返ってみると、僕にとってのわたるさんは、人生に対する問いをぶつけあえる人だなと思った。なので、そのことについて色々書いてみたい。

わたるさんとなんとなく共有していることの一つに

  "人生は本質的に孤独である"

ということがある気がする。それは全然悲観的な意味ではなく、そういうものであるということだ。どこまで相手を理解しようと思っても、その人の生きてきた軌跡やその時感じたこと・考えたことを完全には理解はできないし、完全には共有できない。だからこそ、その人が何を感じるか、自分でどう考えかをわたるさんは尊重するし、孤独だからこそ、そんな中で一緒にいてくれる人を大切にしようという優しさがわたるさんにはあるように感じる。

自分が大学3年生の時、浦沢直樹の『PLUTO』を読んでいて、"自分が感じていることや自分の意思だと思っていることが、実は単に物質の反応でしかなく、元から全部決まったものでしかないのかもしれない"と思って、何か自分ではない大きなものの存在を感じ、急に絶望的に怖くなった時があった。そんな時、なぜが急にわたるさんに電話がしたくなり、昼の3時くらいに電話をしてしまった。わたるさんは、嫌なそぶりも見せず、真剣に話を聞いて一緒に考えてくれた。今思えば忙しく仕事をしている時間に、急に後輩から訳のわからない電話がかかってきたのに、嫌なこと一つ言わず話を聞いてくれたわたるさんの懐の広さに驚愕する。

でも、それ以来何か人生で向き合いたい問いがある時に、わたるさんを飲みに誘って、飲みながら語るというのが、一つの僕のパターンになった気がする。

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なんでわたるさんにそういう話をしたくなるかと振り返ると

・大体の哲学的な問いに対して、すでに自分なりの見解をもっていること

・相手がその問いをもった背景も含めて、相手の考えを尊重してくれること

・その上で、フラットに議論できること

なんだなと思った。そして、お互いの人生が進むに連れて、話すこともだんたんと変わって行ってたりするのが、個人的にすごく楽しい。そんなことが今後もできたらいいなと思う。


わたるさんに教えてもらったことの一つに、自分的な言葉でいうと

  "自分の内的な世界を表現すること"

というのがある。

表現するものはラクロスでも、楽器を演奏することでも、飲み会で芸をすることでも、なんでもいい。自分が感じたことを外に出すこと。思えば中学生時代にうつになったことがある自分は、感じていることがあるのに、それを外にうまく表現することをしていなかったのだと思う。正確にいうと、表現する手段を磨いていなかったことと、それを受け止めてくれる人が少なかったんだと思う。でも、わたるさんと出会って、色々一緒にやる中で、例えばラクロスでプレーすることは、ある見方をすれば、自分で感じたことを何かで表現することであり、それは自分の感受性を大事にすることであり、孤独な人生で他人との間に橋を渡すことであるというような考え方を教えてもらったような気がする。そして、それと同時に、表現する時には、その表現するツールをどれだけ使いこなせるかが、どれだけ自分の内面を外に出せるかを決める大事な要素であるということも教えてもらった気がする。

(ちなみに余談ですが、自分がHead Coachをやっていた時に大事にしていた考えに「表現するものをもっているチームが勝つ」というのがあります。ラクロスのプレーをうまくなる、戦術・戦略が向上する、運営能力を高めるとかがもちろん前提だけど、強くて勝てるチームは、チームとして表現したいものがある、育てているというのはあると思っていて、上の考えは個人だけではなく、チームにも応用できる考え方だなと思います)

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僕らがわたるさんから受け取ったMEMEがあるように、わたるさんが受け取ったMEMEにも想いを馳せると、その一つにはお父さんの考え方があると思う。わたるさんのお父さんは、ギリシャ古典学の教授で、よくわたるさんにこう言っていたそうだ。

「わたる、人間に大切なのは、哲学と体育と音楽。あとはあんまり大事じゃない。そんなことは古代ギリシャ時代から変わらない。」

https://note.mu/embed/notes/ncc4110134c96

このことを聞くだけで、なんかなんでわたるさんがわたるさんになったか妙に納得するような言葉だけど、これを地で行っている人だなと思う。(ちなみに、「スポーツと音楽と哲学に親しむこと」ってのを我が家の家訓の一つにしてみた)

哲学とは、どう生きるかということを問い続けること。体育と音楽は、もっともprimitiveな方法で何かを表現すること。


そして、これは仕事にも通じるんだなと思う。

2016年ころ、結婚した後に奥さんを紹介がてら、わたるさんを家に招いてご飯を食べた後に、ベランダで二人でお酒を飲んでいた時に言われたことは今でも覚えている。

 "そろそろ飯塚、自分で旗を掲げなよ"

それは、前職で充実はしながらも葛藤を抱えていた自分を後押ししてくれる一言だった。(当時は、そうしたいと言いつつ、すぐにどんな旗立てたいかをうまく表現できずに、なんかすげー悔しい思いをしたけど。)

その後、大学院で研究していたCreative ClassのことやHead Coachをやっていた時の経験をベースに、自分でquodというチームの旗を掲げた。早くも2年強が経とうとしているけど、自分の考えがだんだんと伝わるようになり、仲間も増えてきて、楽しいフェーズに入ってきた。これからも自分なりに表現したいことを問い続け、表現する術をつくり続けていきたいなと考えている。

新たな道を進めば進むほど、新しい人生の問いが見つかるような気もする。今は何かを一緒にやっているわけではないけれど、また、わたるさんと飲みながら、色々な問いを温めていきたいなと思ってます。

わたるさんお誕生日おめでとうございます。これからも素敵な人生を!

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飯塚洋史/Hiroshi Iizuka

・プロフィール
東大ラクロス部 19期 #13 主将
2008年、2010年 Head Coach
quod,LLC 代表社員/Business Conductor

・ワタルさんとの初めての出会い
はじめて強く印象に残ったのは、第1回Tokyo Towerに参加した時に、わたるさんがピアノでどんな曲でも即興で弾けちゃうことを知った時。日本一を目指せるとか、日本代表になれるとか、強いスポーツチームという面に惹かれて入ったBlue Bulletsの中で、スポーツの強さだけではない幅の広さとわたるさんの凄さを垣間見た瞬間だった

・ワタルさんとの一番の思い出
一緒に過ごしてきた時間全部

・40歳を迎えるワタルさんに一言
色々探ってたら、30周年記念の時のわたるさんと僕の書簡のやりとりが出てきたんですが、なんかに使えないですかね?


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