「いつもの」って注文したい人へ。

　皆さん、こんにちは。いつもの木賃ふくよし(芸名)です。
　ええ。ワタクシは、いつものって言ったら、「い・つ・も・のフレンドリー♪」しか出てきません。

　はい。早速ですが、アレですよアレ。
　ドラマなんかで、行きつけの居酒屋や喫茶店で「いつもの」って注文するアレ。

　アレね、

　フィクションだから。

　そんな客、ほとんどいないから。

　いや、いない訳じゃないけど、「いつもの」って言う客の、

　９０%は
　面倒臭い
　客だから。

　まあ、98%の客がそもそも「いつもの」とか言わない。言わないから、足繁く通ってれば、誰も「いつもの」とか言ってない事に気付く訳だ。
　馴染みの客だって、概ね体調や気分で同じメニューばかりを注文しない。そんなもんだ。
　そして、２％の言っちゃう客に出くわした時、多くはこう思うはずである。

　うわあ、
　痛い客だ。

　と。
　タイミングにもよるが、その確率は2％程度。つまり、その客に出くわす頃には、他の、言わない客の方が普通だと言う認識になっている筈だ。
　そして、足繁く通っている頃には気付くだろう。

　「いつもの」

　とか言っちゃう客が、

　いつも来てない事に。

　自分の方が通ってて、初めて見る顔が「いつもの」とか言っちゃう訳ですよ。そりゃ滑稽な訳です。
　そりゃ、タイミング的に会ってないだけかも知れませんが、店をやってた側のワタクシに言わせれば、来る人ほど言わないし、来ない人ほど言いたがる傾向にある。

　無論、高級クラブなんかでは「いつもの」の意味が違ってくるし、そもそも払ってる金額が違う。

　文字通り「いつも通りお任せで」って意味の「いつもの」だったり、

　客の好みを、ちゃんと間違えず把握してるって意味の「いつもの」だったり、

　お得意さんの連れがいるけれど、特別なサービス変更を必要としない場合の「いつもの」だったりする訳だ。

　払ってる金額を考えれば、当然要求されるサービス内容であろう。

　無論、バーや居酒屋、喫茶店なんかでも、痛々しくない「いつもの」を注文する人はいる。
　要するに、

　「アメリカンコーヒー最初からマグカップで２杯分淹れといて、砂糖２つとミルク２つ付けてね。値段はキッチリ取っていいから」なんて毎回やり取りするのがお互いに面倒だとか。

　「いつも通りお任せで、ビール２杯とアテをテキトーに出して。値段は¥4,000超えないように。別に超えてもいいけど、超えたら今週はもう来ないよ」とか。

　「いつも通りお任せでテキトーに出して。ただし、貝類はアレルギーだから絶対出さないでね。他は好き嫌いないから何でも食べるよ」とか。

　
　そう言った面倒なやり取りを集約して「いつもの通りで」ってスマートな注文をする人はいる。こーゆー人を見習って欲しいが、コレはなかなかハードルが高い。
　つまり、コレがスマートに行えるだけの財力だったり、通った回数だったり、気遣いだったりがある訳なのだ。
　そもそも「いつもの」なんて失礼な言い方はしない。「いつも通り、生ビールとタコスでお願いします」って言ってくださるし。

　だが、「いつもの」って言いたい人は、お気に入りの店を作ることや、気心の知れた馴染みの店を作ることが目的ではないのだ。

　要するに、
　「いつもの」って
　注文する事が目的
　なのである。

　だから、通わずして「次もコレ注文しますから、いつものって言ったらコレくださいね」とか言ってしまうのである。来店１回目とか２回目で。

　いや、別にいいよ。それで店側が損する訳でもない。その程度の事でお客様に喜んでもらえるなら、喜んで道化を演じるとも。

　しかし、その「いつもの」を言いに来なかったりする。

　ご注文の品が切れてたから、わざわざ取り寄せたのに。宣言だけして来なかった「いつもの」客は何人もいる。そんなモンだ。

　だからね。ホントに言っておくね。

　「いつもの」とかフィクションだから。

　両親が海外出張で一人暮らしの高校生で、巨大な学園都市で、生徒会が絶大な権力を持っている、よりは幾らかマシな程度のフィクションだから。

　そうだな。アイツとは昔から家が隣同士で、幼馴染と言うか、うん。腐れ縁って言うのかな。付き合うとかそーゆーんじゃないよ。異性として見られないって言うか、、、とか言って最後には結婚するラブコメぐらいフィクション。いや、それよりはマシか。

　あー。

　法定速度。

　法定速度をきっちり守っちゃう人ぐらいのノンフィクション。コレはたまにいる。いるし、だいたいビビって速度が出せなくて、かえって事故を起こす系の人だから、それぐらいの確率。割と迷惑。

　前述のように店にもよるし、スマートでスタイリッシュな人はいる。いるけど、ホントにだいたいの場合、「いつもの」って注文はお互い得してないから、オススメしない。マジで。やめとけ。ホント。

　なんでオススメしないかを、端的に言う。

　元飲食店経営者が言う。

　わかりやすく言う。

　つまり、こういう事だ。

　「あ、いらっしゃいませー。

　毎度っス。

　昨日はすごい雨でしたねー。

　えーと、今日のご注文は、

　いつも通りでいいっスか？」

　こーゆーのは店の側から言うモンだから。

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