ロミオVSジュリエット

 超人に覚醒したファイターと、彼らが乗り込む人型ロボット、RG(ロボティクス・ジャイアント)の力を競い合うヴェローナ杯は、世界中が熱狂している。
 
 今年の大会参加を表明したキュピレット家は、新型RGおよび専任ファイターのお披露目パーティーを開催した。参列客の誰もがこれから発表されるRGとファイターに期待するなか、ロミオ・モンタギューは一人だけ退屈そうにしていた。

 彼は前大会の優勝者であり、愛機ストライカーを駆って完璧な勝利を上げた。
 そう、完璧であった。それゆえにロミオは情熱を失った。

 無気力になったロミオを心配した友人は、気晴らしにと彼をこのパーティーに連れてきた。
 
「これより当家の新型RGとその専任ファイターをご紹介いたします!」

 キュピレット家当主の言葉に歓声と拍手が巻き起こる。

「いよいよお披露目だな。例の新型はあのパリス博士の開発で、専属ファイターも相当な達人って噂だ。ファイターなら気持ちが高ぶるんじゃないか?」

「そうかもな」

 横で話す友人にロミオは冷めた声を返した。再び闘志を抱くほどの相手などいるはずがない。

「当家が誇る新型RGブレイカーと、専任ファイターにして我が娘のジュリエットです!」

 ブレイカーと共に現れたジュリエットを見た瞬間、ロミオに衝撃が走った。視線の先には彼女の手に浮かぶ紋章がある。
 その紋章はファイターに覚醒した証。当然ロミオにもある。紋章は人によって形は異なるが、しかしジュリエットのそれはロミオと全く同じ形であった。
 自分と同じ紋章を持つ者。それはファイターにとって真の好敵手であることを意味する!

 ロミオの存在に気づいたジュリエットは、彼に挑発的な笑みを向けてきた。
 灰に成り果てたロミオの心に火が戻り、またたく間に炎となって燃え上がる。

 彼は理解した。

 自分と彼女は運命の赤い糸で結ばれていると!
 
 【続く】

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