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飲食店全面禁煙

4月に入り健康増進法なる悪法によって飲食店などの屋内施設における喫煙が全面禁止となった。この法律はもう2018年の7月に可決されており、いまさらどうこういったところで、この法律がひっくり返ることはありえず、これから数十年は飲食店で喫煙をすることは不可能となるだろう。

これを受けて、いつも楽しんでいるVRChatの友人にケンカを売られた。ケンカ相手の主張の趣旨はこうだ。

「俺たちはコーヒーを楽しんでいるのに煙草の煙で邪魔されるのは迷惑だ。お前ら喫煙者は煙草をやめて健康になるべきだ」

余計なお世話である。そもそも、煙草の煙で邪魔されていると感じること自体が被害妄想のたぐいである。これまでも喫煙席・禁煙席で席が分けられており、禁煙席に座っていれば煙草の匂いで珈琲の味が損なわれることはない。一部の喫茶店では禁煙・喫煙が分煙されていないところもあったが、それが嫌ならその喫茶店に行かなければいい。大半の喫茶店では分煙がしっかりなされていた。

改正健康増進法に好意的な態度を示す人々の主張の趣旨は簡単に言えば次のようなものだ。

「煙草は健康に悪くて他人に迷惑をかけるから規制されて当然」

しかしながら、この理屈には重大な反転可能性がある。例えば、このケンカを売られたのはVRChat内の出来事なのだが、そもそもVRChat自体は目や肩、腰に大きな負担をかけて、健康に良いものとは決して言えないものだ。ケンカをふっかけてきた本人が、VRゴーグルのせいで体調を崩しているのだから、まったくもって救いがたい。

他者への迷惑もある。VRChatの多くのプレイヤーは深夜にログインする傾向がある。21時から翌2時くらいまでがゴールデンタイムといえる。そのような時間では大声ではなくても普通に喋っているだけで騒音問題は不可避である。一戸建て住宅ならまだしも、賃貸であればトラブルになる可能性は極めて高い。トラブルになっていない人たちは周囲の人が泣き寝入りをしているだけで、他人に迷惑をかけている点については煙草とそう変わりはない。筆者にケンカをふっかけてきた人にはそのことを重々承知していただきたいものだ。

現状ではVRChatのプレイヤー人数は極めて少ないため、VRChatを原因とするトラブルの話は聞かない。しかし、今後VRの隆盛とともにプレイヤー人数が増加していった場合、規制の対象になる可能性は決して低くはない。

当然、この問題はVRChatだけのものではない。筆者の予想では、煙草の次にターゲットになるものは、酒、アニメ、ゲームである。それぞれすべてが健康に悪く、暴力、差別の温床である。これを読んでいる読者はフェミニストのことが大嫌いな人が多いと思う。しかし、フェミニストの主張にも理解できる部分がある。例えばアニメの性的(?)な表現についてである。これまで様々なアニメ絵を用いたポスターや企画が潰されてきた。「これは過剰に性的な表現だ!」とか、「女性の体を勝手に使っている!」とか、いろいろな理屈をつけて批判されてきた。

しかし、その中でも「まあもっともだな」と思わされる主張がある。
「そのような表現は女性らしさを社会に定着させ、ジェンダーロールを固定化する社会悪だ」といったものだ。
社会悪かどうかはおいておくとしても、例えばアイマスやラブライブなどの女の子が女の子らしさを全開にしているコンテンツについては「女性らしさを社会に定着させ、ジェンダーロールを固定化」していると言えるだろう。それは間違いなく差別であり、女性に迷惑をかけている行為に他ならない(あえていいますが「だからなんだ?」というのが筆者の立ち位置です)。

ゲームについてもアニメと同じ論点があり、さらには暴力的なゲームも多く、つい先日香川県でゲームの規制条例が可決されたばかりである。

酒についてはすでに規制が始まっている。未成年の飲酒描写は禁止されているし、アルコール類の値下げ販売も禁止されている。酒は暴力を助長し、セクハラの原因になるし、交通事故を増やす原因にもなっている。はっきり言えば煙草なんかよりもよほど社会に迷惑をかけていると思うが、煙草にくらべたら愛好家の人数がずっと多いため規制がゆるい。規制がゆるいのが極めて不愉快である。

このように、煙草だけではなく反転可能性の対象となるものはいくらでもある。煙草規制を対岸の火事だと思っている馬鹿な友人にお灸をすえたいが、筆者は社会性のある人間なのでそんなことはしない。しかし、そういう態度を喫煙者がとってきたから、今の煙草規制が行われているので悩ましいところだ。

自由(喫煙以外にもいくらでもある趣味・行動)のほとんどは他人に迷惑をかけるものだ。すくなくとも我が国では、それが他者の人権を侵害しない限り規制はされるべきではない。他者の人権を侵害していたとしても、その自由は最大の尊重をされるのが民主国家というものだ。現状、煙草を吸う権利の尊重は全く不十分と言っていいだろう。

これまで煙草規制は路上喫煙(外の喫煙)を禁止してきた。そして今度は屋内喫煙を禁止した。内と外、両方の喫煙を禁止した現在、我々喫煙者は事実上家でしか煙草を吸うことができなくなった。これは紛れもなく喫煙者に対する迫害だろう。

我が国は自由と平等を愛する人権先進国のはずだ。全面禁煙の喫茶店があってもいい。喫煙できる喫茶店があってもいい。これが自由のあり方だ。安易に法律で一律全面禁煙にしてしまうことは、自由主義とは全く逆の行為といえる。規制の対象がたまたま喫煙だっただけで、繰り返しになるが、他の趣味に対しても同様の規制がされることも十分に考えられる。

今後、他の趣味に対しても同様の規制がなされないか心配するとともに、「あらゆる娯楽に対して煙草と同様の規制をされてみんな苦しめ」という暗黒なお気持ちが湧いてしまう4月1日の朝だった。

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