創作

もちねこくんは趣味でライトノベルを書いていて、そういうサイトに投稿もしている。

昔彼が書いたお話に、暴漢に襲われた女友達を救う主人公(男)の話があった。
私は彼がなにか書く度URLを送ってくるので、そのテキストの感想を伝えたり誤字を指摘したり(笑)していたけど、この話はとてもしんどかった。

私がどんな目に遭ってきたか、もちねこくんには話したことがある。
「この話はこれ以上読むの無理」と伝えると、でも物語上必要だったからなぁ、と彼は答えた。

Twitterで誰かが、男が活躍するための添え物として女の被害が描かれる、と呟いていたことがある。
彼の書いたこの話では、まさに女は添え物だった。
そうして襲われた女がそのあとどんな人生を送るか、続きはあるの?と聞いたら特にないって。サンプルとして私が体験したことなら話せるよ、と言ったら、それには興味がないみたいだった。

何より、私があの物語を読んでどんな気持ちになるかにさえ、興味が無いのではないか。

男が活躍するための踏み台。だから、女がその後 最中もそのあとも、どういう状態になるかは知らなくていいってこと。それは男の活躍する未来には関係ない。

男友達が蹂躙されてるんじゃ主人公の怒りゲージは振り切れなかったのかなぁ。

圧倒的に弱いものがいたぶられるからカタルシス?になるということ?
その場合、女が弱いものだ、女はそういう目に遭いやすいって認識があるんじゃないのかしら。腕力では明らかにそうだし、その通りだとも思うけど、しかし普段の生活では女性に対して加害的な発言をもちねこくんはするのだ。主人公がいたら、彼にぶっ飛ばされる側の思考回路を持っている。
自分の加害性についてどう思っているのかいつか質問してみたい。

主人公の活躍のために犠牲になった女友達は、そのあときっと病院へ。トラウマケアのためにカウンセリングに長期的に通うことになると思うけど、彼女を救った主人公へは私のヒーロー的な尊敬と恋愛感情を持つことを求められるんだろう。なんなら、瑕疵のない完璧なヒロインの登場で忘れ去られていくかもしれない。

ヒーローとヒロインが熱く愛し合う世界からは見えない場所で、生きることの恐怖や意味に血を流し続けながら。

私に加害した男は逮捕されて裁かれたけど、その後彼とその周囲の人の人生から私の存在は消えただろうか。
私の世界の背景には、ずっと悪意の人影と今にも向かってきそうなナイフの鈍い光がチラついている。

もちねこくんに限った反応じゃない。
それに男性に限らない。私の周囲で私に起こったことを自分の身に置き換えるように想像する人は、同じような被害に遭ったことがある人だけなんだ。

理解されないことがデフォルト。
だから、別に責めはしないよ。わからないのが普通で、私が普通じゃない場所に置かれただけってこと。
孤独だなぁって思うくらい。

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