周りの誰かが「発達障害かも?」と思った際にどんな行動を取れば良いか

こんにちは。

「『好き』で自信を創り、『好き』で社会とつながる」をビジョンに、発達障害児や不登校のお子さん向けにオンラインコミュニティとメンターマッチングサービスと教室運営をしている「Branch」の中里です。


自分の職業柄、

「うちの旦那が発達障害な気がする」
「うちに最近入った社員が発達障害な気がする」

という、大人の発達障害(と、思われる)の方の近くにいる方々からの相談が結構あります。個別にメッセージもらったり、直接相談されたり。

以前、そうなった時にまず最初に考えて欲しいことについて記事を書きました。

上記読んで頂いた上で「じゃあ、具体的にはどうしていけばいんだろう?」と思った方向けに実際にアクションするとしたらこのような考え方、支援先があるよ、対応策があるよ、というのが今回の記事になります。


1.「発達障害かも」と思った最初に行う立ち振るまい方


・まず、考え方として「発達特性はグラデーション」
・人それぞれ感じ方や捉え方が違うという前提で、頭ごなしに否定しない。

と、考えていくのが大事です。

本やネットの記事を読んで、そこに当てはめるだけではなく、その人個人をパーソナルな存在として捉えて欲しいです。


本人の困り感と、周囲の困り感を切り分けて考える


本人が困っていたら、それに対処するのが先。その方が信頼関係を築けて、周囲の人にとっても後々よいです。

これとっても大事です。

「こっちが困ってるのに、全部相手相手かよ、疲れるな」って思っちゃうかもしれないですが、先々のために少しだけ我慢して頂けると!


・本人の困り感⇔周囲の困り感

スタート地点としてあなたは「私が相手の発達障害傾向に対して困ってる」という状態だと思います。

その状態で「私は困ってるから、あなたはこれを変えて欲しい!」と動いていくのはあまり良い手ではありません。

視点を変えて、発達障害傾向にあるその人自身はどんな困り感があるか考えてみるステップを踏んで欲しいです。

周囲の指示、空気感、TPO、そんなことが分からず困っている?

困ってるように自分が思ってるだけで本人は気にしていない?

どっちなんですかね?

「なんだかいつも怒られて嫌だなぁ」など、本人が思っているのであれば、自分や他の方にどんなことを指摘されているのか、それに対して本人はどう思っているのか聞いてみましょう。


これ、大事なんですよ。

本人は
「自分はルール通り正しいことをしているのに、周りが怒ってくる!ひどい!」

って感じている方も多いです。というか、その方が大半なんじゃないかな。

その状態で色々指摘しても関係が崩れるだけなんです。


その困りごとは「本人の特性によるものか」「環境要因によるものか」


・本人の特性⇔環境要因

そして、その困りごとは「本人の特性によるものか」「環境要因によるものか」という切り分けも考えられると良いです。

極端な例を言うと、ものすっっごくルールに厳しい会社があるとします。ほとんどの社員はそれに対して疲弊しているのですが、会社はそれを遵守することを強いています。

そして発達障害傾向のあると思われている方が、「時間に遅れる」「提出すべき資料を提出できなかった」などの事象があるとします。

それって本人の特性によるものなのでしょうか?ルールが多すぎて、他の社員だって守るのにいっぱいいっぱいだったりしないでしょうか?

この辺りは少し鳥瞰的な視点に立って観察してみる必要がありそうです。


個人個人の状態像に合わせて対処を決める

最初に発達特性はグラデーションであると書きましたが、グラデーションでありパーソナルなものなので、対処も個々人に合わせて考えて行く必要があります。

個人個人で認知特性(視覚、聴覚、言語など、どの感覚から情報を得ているかの凸凹な特性)、今いる環境、困りごとが異なるはずなので、状態像に合わせ“本人と対話して”対処を決めていくことが大切です。


・忘れ物が多い
→チェックするタイミングを見直す
→項目は正しいか見直す(多くないか?把握しやすい項目になっているか?)
→アプリなどのツールで分かりやすくできないか?
→他者に見てもらう対応はできないか?


・空気が読めない(臨機応変な対応ができない)
→その都度具体的かつ端的な指示を出す
→場合分けして対応をあらかじめ決めておく
→ルーティンがメインの仕事や部署を担当する、など


・空気が読めない(言葉遣いなどが失礼にあたる)
→本人が気づいて必要性を感じればソーシャルスキルトレーニング的なことがよい可能性がある
→顧客に対してはまずいけど同僚内では許容していく、という文化を形成する
→接客ではない仕事を担当する、など


2.発達障害かも、となった際の支援先/相談先を自分の住んでいる地域で探す方法

次に支援先、相談先についてです。

こちらは以前子ども向けに書いた記事にも重複する点がありますので、よろしければ下記も御覧ください。



職場なら、部署内での対話で解決が難しい場合、まずは産業医やカウンセラーが在籍していれば頼ってみましょう。

企業によっては、福利厚生の外部サービスの健康相談・カウンセリングなどもあります。

また、いきなり本人に伝えるのではなく、困っている上司が相談をしに行ってもよいです。
周囲が困っているからいきなり「病院受診して」は言えないですよね。


職場でも家族でも、本人が悩んでいたりメンタル不調があれば医療にかかると良いと思います。大人の発達障害専門のクリニックなどだと通いやすいです。


その他、情報を得られそうな場所

その他に、情報を得ることができそうな場所を記載します。
近くにあったら、伺ってみても良いかと思います。

・医療機関、PSW(精神保健福祉士)

・発達障害者支援センター
※自治体によって支援の対象や内容が異なるので、事前に調べたり問い合わせたりしてみてください。

・Facebook、Peatix(イベントサービス)などで「発達障害 地域名」と検索してセミナーや講演などに参加して、似た課題を持つ人を見つける

・漫画や本で理解を深めたり対処法を探すのも良いです
子どもの発達障害(など)についてですが、漫画のリエゾンはオススメです


3.発達障害の方に対する対応方法

まとめていきます。

いろーんな考え方、やり方がある中で、特に経験上効果が高そうなものだけ書いていきます。

認知特性については先に書いていますが、どんな情報も、視覚・聴覚両方で得られたら誰しも理解しやすいんです。
なので、普段「口頭だけ」で伝えてるものを「視覚化/ビジュアライズ化」してみると、解決されることが多いです。
スケジュールを大きめで分かりやすいカレンダーに分かりやすく記載するようなやり方です。(「発達障害 カレンダー」などで検索してみてください。たくさん出てきます。)


その際、対象に注意が向く、見通しが立つということが重要です。
(見通し、というのは、「次に何をすればいいか分かる」「先に何があるか分かる」などの意味で発達界隈の間ではよく使われる言葉です。)

重要なことを伝える際に有効なのが、前置きをすることですね。
「質問があります」「依頼があります」「3つあります」などです。

本人からの表現・発信の手段や、タイミングも重要です。
例えば、部下から報連相や質問ができないのは、よくある問題だと思います。
同じ場所にいても口頭よりチャットがいい人もいるだろうし、1日の中で報告・質問タイムをつくるなどで、発信しやすくなるかなと。

発達障害の特性を持っている方は疲れやすい

また、発達障害の特性を持っている人が陥りやすいのが、「疲れやすい」ということも知っておいて欲しいです。

■背景
・音や光などの感覚刺激に過敏な部分があり、人が多い場所にいるだけでエネルギーを消耗してしまう

・認知特性として苦手なことに対しては、大多数の人が20%くらいの労力で楽々できることを、100%フル回転でなんとかこなしている、あるいはそれでもできない場合がある

■対応方法
・刺激が少なく落ち着ける環境で仕事をできるように環境調整する。

・極端に苦手なことはやらない、あるいはツールや周囲のフォローで補うというのが合理的です。

・こまめに休息がとれる環境にする。あるいは休息のタイミングを決めておく。



いかがでしょうか?

分かりやすいように、詳細ははぶいて書いていますが、「周りの人が発達障害かも?」と思った最初の一助になれば幸いです。



※現在Branchでは、オンラインコミュニティの入会や面談などが期間限定で無料になってます。発達障害や不登校について悩んでいたり、「何が分からないかも分からない」という状態でしたら登録してみてください。


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