PhotoshopやIllustratorを使って印刷物を作る仕事に就きたいと考えている方へ
DTPオペレーターとデザイナーは違う仕事です
印刷物は、営業、制作、印刷、製本それぞれの工程を経てかたちになります。営業がPhotoshopやIllustratorを使う会社もあるというのはたまに聞く話ではありますが、それらを使って印刷物のデータを作っていくのがDTPオペレーターやデザイナーの仕事です。
DTPオペレーターとデザイナーでは仕事の内容が違います。PhotoshopやIllustratorが使えるからデザイナーになれるというわけではないですし、それらを使えるけどデザインは向いてないからオペレーターになろうという考えではオペレーターとしても一人前にはなれないと思います。
デザイナーとオペレーターの違いについては、とても分かりやすくまとめてあるnoteや他のサイトを見つけたのでリンクを貼らせていただきます。
前回のnoteでも書きましたが、このnoteはデザイナー向けの記事を書くことはありません。DTPオペレーターになりたいという方のためのnoteです。わたしが印刷会社勤務なので「印刷会社のDTPオペレーター」なりの記事になると思います。
印刷会社のDTPオペレーターには、お客様から入稿いただいたデータを問題なく印刷できるかたちにするという役目があります。データに問題がないかしっかりチェックして、きちんと印刷物が仕上がるようにしなければなりません。これは印刷事故を防ぐというとても大切な役目です。
DTPオペレーターになれば印刷物をつくる仕事ができると思われるかもしれませんが、DTPオペレーターといっても職場によって作業内容はさまざまなので仕事内容をきちんと調べておいた方がよいでしょう。
DTPオペレーターよりデザイナーの方がカッコいい?
わたしは今年45歳になりましたが、20代の頃はDTPオペレーターよりもグラフィックデザイナーという仕事の方がカッコいいと思っていました。だから25才の時にグラフィックデザイナーに転職しました。
当時の面接では「デザインやったことないんでしょう?本当に大丈夫?」と聞かれ、何の根拠もなく「できます!大丈夫です!」と言い張って採用してもらいましたが、デザインのことを何も知らなかったわたしは、入社後にとても苦労しました。
5年ほどデザインの仕事をやりましたが、とくにタイポグラフィに興味があり、とてもはまりました。職場の仕事だけでは満足できず、自主制作でレタリングの本を出したりしてました。当時あった『DTPWORLD』という雑誌の「Judge the Design」というコーナーにも何度か作品を載せて頂きました。そういえばTDCの年鑑にも作品を掲載していただいたこともあります。フォント制作も途中までやっていたのですが、3人の小さな子供を育てながら、時間を見つけて制作を進めるのはわたしには無理でした。
余談ですが、これらを持ってあるデザイン会社の面接を受けに行ったときに、こんなのなんのアピールにもならないよと一蹴されたのは苦い思い出です。
結局、紆余曲折して30才で現在の職場にDTPオペレーターとして転職。今だから言えるけど、DTPオペレーターという仕事を甘く見ていたと思います。DTPオペレーターからデザイナーになることはキャリアアップではなく、逆にデザイナーからDTPオペレーターになることはキャリアダウンではない、というのが私の持論です。
DTPオペレーターという仕事に誇りを持ちましょう
一般的にグラフィックデザイナーとDTPオペレーターがいる会社ではデザイナーの方が給料が高めに支給されることが多いと思います。それはその会社の仕事内容にもよるのかもしれませんが、もしかしたら経営者側がDTPオペレーターの重要性を理解していないのかもしれません。ちなみにわたしの職場は全員がDTPオペレーターという立場です。もちろんデザインもやります。正直なじみがないのですが、いわゆるDTPデザイナーという言い方の方が正しいのかもしれません。
もしDTPオペレーターという立場が恥ずかしいとかデザイナーより下とか考えてる人がいたら、次にあげることがきちんとできているか考えてみてください。できているなら、DTPオペレーターであることに誇りを持ってほしいです。できていないならできるようになればよいだけの話です。
例えば…
修正に強いデータ作りができる
色調補正がきちんとできる
きちんと段落スタイル・文字スタイル・正規表現を使って組版ができる
スクリプトを使って作業を自動化できる
バージョンアップで新しく追加された機能をきちんと使える
印刷の知識をもっている
下版後の工程のことも理解している
ここまで読んでいただきありがとうございました。これから印刷物を作る仕事に就きたいと思っている方に、自分はデザイナーになりたいのか、DTPオペレーターになりたいのかと考える上で、少しでも参考になれば幸いです。
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