SPACE SHOWER TV Live&インタビュー 藤井 風 HELP EVER HURT “COVER” SPECIALを見て、おとんとして羨ましかった話。

7月11日土曜日、22時30分から23時30分、NHKBSで最新玉置浩二ショーの再放送、23時から23時30分スペースシャワー藤井風インタビュースペシャル、重なってて、玉置浩二ショーはさんざん繰り返し見たので、藤井風君のほうを見たのだが。

 僕が57年生きてきて出会った日本の音楽家の中で、本当に文句なしにツートップ。掛け値なしの天才の二人。両方の番組とも、インタビュー部分があって、そこでは二人ともシャイな感じ、語ろうとすると言葉がちょっと不器用で、言葉で語れることより語りたいことや思いがたくさんある感じが、なんか、とても愛おしい。

 藤井風君の番組は、アルバム初回限定版の、洋楽カバーした楽曲それぞれについて語っている、その横にキーボードが一台置いてあって、ときどき弾きながら解説する、という構成。

 エド・シーランのShape of youを、原曲の「単調なループのコード進行を使っているのに対して、コード進行をがらっと変えて、コード進行が変わると曲の印象がこんなに違うんやでっていうことを、ちょっと、示したかった曲かなあ」と、とつとつと話した後、スタッフの「変えたコード進行を(弾いて)説明して」と言われてキーボードの前に立った瞬間に、表情が、別人みたいに変わった。そのあまりに劇的な表情の変化を見ただけで、ああ、この人、本当に、音楽の中にいるほうが、自由で、楽に息ができて、楽しくて、そういう人なんだと思った瞬間に、観ていて、なぜだか、泣きそうになった。そして、弾き始めて歌い始めた表情の、なんと魅力的なこと。

 「水を得た魚」っていうのは、その前に、水から揚げられちゃって、息できずに苦しそうにバタバタしているのか、あるいはもう身動きもできずに死んだようになっている状態があって、それが、水の中に戻すと、急に元気に生き生きと泳ぎ出すっていうことなんだなあ。いままで、「水を得た魚」っていう言葉の、本当のイメージ、分かっていなかったなあ。キーボードの前に立って、弾き始め歌い始めた藤井風君を見て、そんなことを思ったわけでした。

 あと、「おとんが」「お父さんが」、こんな曲を聞かせてくれて、寝る前にはこの曲をかけてくれて、こんなで、あんなでとわずか30分の番組の中でお父さんに30回くらい言及していた。「姉ちゃんが聴いてて」「家族がみんな好きで」っていうことも語っていて、ああ、なんか、本当に羨ましいなあ。いいお父さんだなあ。俺、「音楽、楽器弾ける人に育てる」子育ては、失敗したかなあ。途中で、いらん口出ししすぎたかなあ。そんなことも思いました。

 藤井家は、兄、姉、四人兄弟姉妹、いちばん上のお兄さんもピアニスト。風君だけ年の離れた末っ子。

 我が家の子どもは、六人中、上五人まで、ギターを弾こうとチャレンジしてくれた子供は4人、最終的にまずまず弾けるようになったり、バンド組んだりしたのは一人だけ。みんなそれぞれ音楽は好きみたいだけれど。

1人年の離れた末っ子が、高校に入ってベースを弾き始めてバンドも組んで、ふと気が付くと、キーボードを一人で何時間も弾いていたりするので、あ、もしかしてこの子は本格的に音楽やってくれるのかな。口出し、しないで、見ないふりして放っておこう。楽器自由自在の人になるといいなあ。音楽の中で、水を得た魚になれるといいなあ。そんなこと、思いました。

※スカパーSPACE SHOWER TV
■Live&インタビュー
藤井 風 HELP EVER HURT “COVER” SPECIAL
2020/07/16 24:30~25:00再放送あります。よろしければ。

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