月末恒例の古新聞まとめ読み、去年2021年の12月後半から今年2022年の1月の朝日新聞を読んだ。国内で、絶望した人の凶行が続き、コロナは第6波が急激に拡大、そしてウクライナとロシアの戦争の予兆、専門家も当事者さえも、状況を正確に分析予測をしているのに、気持ちでは戦争にならないと信じている。

 月末恒例の古新聞まとめ読み、去年の12月から今年の1月の朝日新聞を読んだ。

 大阪堂島の病院での放火事件が12月にあり、センター試験のときに東大前で高校生が受験生に切りつけ殺人未遂を起こし、1月末に埼玉で訪問医が、亡くなった患者の息子の逆恨みで殺される事件が起きた。1ヶ月の間に、共通性が、あるような無いような、そういう事件が起きた。

 安倍元総理の事件も、「テロ」から、「統一教会問題」へと論点が移っているが、根本構造は「なんらかの家族関係や健康などの不幸で、精神的に追い詰められどん底になった人の暴発的犯行」である。安倍氏事件も「親がカルトの子ども」問題。大阪は「メンタル不調で働けない人の絶望」東大前は「受験競争への過度な自己評価、背景にある親の期待、その崩壊による絶望」。埼玉は在宅治療で死を迎えた親の、その最後の治療方針内容への「無茶な期待」からの理不尽な怒り、恨み。

 こうした「絶望」の多くが自殺に、結びつき、その一部がこうした凶行につながる。自殺と凶行に結びつく絶望を、そうなる前にどうやって掬いあげるか。大阪や埼玉の事件は、そうしたセーフティネットとして最前線で活動していた医師が逆恨み凶行のターゲットになってしまっているわけで問題は深刻だ。単体の犯行を、興味本位に取り上げるのではなく、包括的な対策を国として考える必要がある。

 オミクロン株による、第六波が年明けから急激に拡大した。夏、五輪からその後の第五波デルタ株より重症化はしにくいが感染力は弱いと言っているうちに、医療が逼迫し救急搬送ができないという状態に1月半ばにはなっている。今と同じような状態だ。このときから今回第7波の間に、何が改善されたのだろう。よくわからない。同じような対応が繰り返されている。

 ワクチンを皆が受けている状態では、ワクチンの免疫を回避する能力の高い変異株のみが増殖し、それが大流行するのは論理的帰結だ。毒性がは弱まるのも自然の摂理(宿主を、殺し過ぎないほうがウイルスにとっても生き残り確率が高まる)が、「免疫回避能力が高く毒性が強い」変異株が生まれない保証はない。

 準備としては「従来ワクチン回避能力高く毒性高い変異株」発生した場合の対策を今から用意しておく必要があるはず。やってなさそうで不安。本来は「オミクロン株のワクチン・免疫回避」に対策をした新型ワクチンがそろそろ出てこないと、今のワクチンだと、「打っても効かない」度合いが、変異が起きるたびに高くなっているのである。そして毒性が落ちているので「打たなくてもいいか」の人が増えているのである。

 ウクライナとロシアの関係について、前に同じ時期の日経新聞をまとめ読みしたが、日経新聞よりも朝日のほうが米国という独仏の対応の差を戦争前から詳しく報じている。マクロン主導の独仏ロシアウクライナ四ヶ国の会談が行われている。アメリカは極めて正確に事態を把握していて米英は1月中に外交官も民間人もウクライナから待避を始めている。バイデンは繰り返し、アメリカはウクライナには軍を派遣しないこと、東欧の米軍は増強するが、直接交戦しないことを表明している。1月29日には、開戦後。大車輪の活躍となった小泉悠氏へのインタビューも掲載されており、正確な予測をしている。30日にはキエフ市民が侵攻に備えつつもまだ静観してある様子が一面記事で報じられている。

 全体として、バイデンもマクロンも小泉悠さんもキエフ市民も状況は正確に把握、分析も正しいのに、でも本当に戦争になるとは信じていない。そういう開戦一か月前の空気が紙面から伝わってくる。

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