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水処理と設計

営業は取ってきた仕事の質と量で評価されます。営業をサポートしてシステム設計をしたエンジニアも同じように評価されるでしょう。努力がお金に変わる時です。では、営業が取ってきた仕事を図面により具現化していく設計は、どのように評価されるのしょうか?

設計の評価は、できて当たり前の減点方式です。不具合を起こさず、予算の範囲内で制作できる図面を仕上げていく。予算内にできなければ営業から文句を言われ、不具合やミスを起こせば工事試運転から怒涛の突き上げ。それを当たり前のように数多くこなしていくことで、やっと信頼されて評価されます。

ただ、私は技術会社の屋台骨である設計はもっと違う基準で評価すべきと考えます。

1.ドラフター?設計者?

設計業務も様々な内容があります。いろいろなツールも使わなくてはならないし、単純作業も多いです。昔はドラフターという機器をつかって図面を作成していましたが、今はCADが主流です。そんな名残からか、単に指示された図面を作っていく担当の方をドラフターと呼びます。作業分担は非常に重要なので、ドラフターは設計にとって非常に重要です。しかし、たまーに設計者に対して「あいつは設計エンジニアじゃない、ドラフターだ」と揶揄されてしまうことがあります。

設計業務は、ある程度確立されている会社であれば、案件が変わっても大きく変わる部分は少ないです。ただ、全くすべて同じというわけではありません。その違いを理解しようともせず、指示通りに設計業務をしていると大きなミスの原因になりうるため、前述の言葉をもらってしまいます。自分の設計業務が全体のどこに位置付けられて他のどの部分と影響し合うのか、を常に考えながら業務にあたるのが設計者です。

2.設計とは美しいもの

システムの運転方針を決め、システム設計を行い、配置・配管図を引いていく。この中で無駄は一切不要です。バルブ一つ、一本の配管の分岐、計器の位置と数に至るまで、設計図面においてはすべてのものに意味があるのです。重複しているバルブ、何も正確な値を測れない位置にある計器、無駄な配管取り回し、、、こういったものを徹底的にそぎ落とし、すべての図面における「なぜこうなっている?」について、確実に答えられなくてはなりません。

不思議と、こういった無駄をそぎ落とした目的が明確な図面は、美しいのです。

美しいシステム設計図。美しい配管図。美しい配置図。素人が見ても、これは綺麗だ!と思えるものが、不具合のない設備につながります。私は経験ありませんが、おそらくプログラミングなにかもに通じる概念かと思います。完成検査などで、設備の出来上がりを美しいと感じると安心します。指摘事項が少なくて済みますので。

3.常に100%はいらない

設計は減点方式です。ですが、設計者がその場その場で減点0を目指すと恐ろしく疲弊します。ミスしないことが評価される設計ですが、減点0を目指す行為も人事から評価されない、非常にバランスが求められる部分があります。

減点0を目指さないからミスしていい、というわけではありません。最終成果物は運転に耐えられるものではなくてはならないのは当然です。ただ、ミスを防ごうとするあまりに、その時点での100%を狙うことを見直すということです。例えば、設計初期に詳細設計レベルの検討が必要なのか?という観点です。最終的に100に近くなればいいのですから。その点については、「水処理とシフトレフト」にも記載しましたので参照ください。

4.お金も技術だ

この「お金」とは、設計によって決定されるモノの価格だけでなく、労働時間による賃金も含まれます。真の設計者は、コストへ配慮した設計技術だけでなく、マンパワーとリスクコントロールも考慮した上で、シーンに応じた、みんなが納得するレベルの減点に抑えるマネジメントも重要です。プロジェクトとはヒト、モノ、カネで構成されていることを忘れずに。

評価される設計者とは、常に減点0なのではなく、シーンに応じた程よい減点でコスト・マンパワー・リスクコントロールをしながら設計業務を遂行できるバランスがとれる人物です。

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