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演じることを辞めようと思った。 | 田村芽実


これで演じるのは最後になるかもしれない。もうみんなとは会えないかもしれない。だから。

覚悟を決めて発した「助けて」の言葉は、思いもしなかった数の声援になって返ってきた。だから。

歯を食いしばって、現実を背負って、倒れる瀬戸際まで演じた。人生初のソロプロジェクト『ひめ・ごと』は、そうして、一旦の幕を閉じた。

夢見た理想の世界に立って、わかったことがある。やりたいことがたくさんできた。人生の景色が一転した。

今日は、あの人のところへもう一度。

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田村芽実(たむら めいみ)
1998年10月30日生まれ。群馬県出身。
2011年10月、ハロー!プロジェクト、スマイレージ(14年、アンジュルムに改名)としてデビュー。高い歌唱力と表現力で、グループの中核を担うメンバーとして活動。2016年5月30日、かねてからの夢であった女優の道を志すため、日本武道館公演をもって同グループを卒業。卒業後は、女優・ソロシンガーとして着実な歩みを進めている。
話し手:田村芽実
聞き手:赤澤える(Flat Share Magazine)
書き手:ホンダユーキ



田村芽実さん、ようこそ

──この部屋に来るのは2回目だね。
前回の続きを話す前に、服について話したい。今日も私たちの服を着てくれてるしね。今、LEBECCA boutiqueとコラボレーションして「姉と妹ワンピース」を一緒につくっているけど、やってみて、どう?


芽実:生まれて初めてのコラボだからわからないことがたくさんだったけど、現在進行形で楽しい。

──正直、これまでで一番大変なコラボだった。めいめいはうちの服をたくさん着てくれているから、私たちのテイストをわかってくれていて、知り尽くしてくれているからこそ。“レトロ”に対する知識量も段違いだし。昭和の文化をめちゃくちゃ見ているでしょ?

芽実:レトロにも色々あるからね。好きなのは中原淳一先生の絵のなかにある服とか。

──私も中原淳一先生の絵からヒントをもらってる。LEBECCA boutiqueの最初の頃とかは特にね。でもうちのスタッフは中原先生を知らなかったりする。だからこそ、私は今回のお取り組みがすごく楽しかった。最後の最後でやっと原点である中原先生やそのあたりの話ができる人と仕事ができたというか。嬉しかった。

芽実:プロはすごいなぁって思う。絵に描くことはできても、それが立体になって、風に揺れて、太陽の光に当たった時のことを想像するのは難しい。実際あぁいうふうにならないんだよね。あれは絵だから美しくて、モデルさんが苦しい思いをしているから美しいんだなって。

──めいちゃんはあの時代の少女への理解が深いし、そこから生まれているエンターテイメントをよく知っているからこそ、そこにやりたい表現や憧れがあるよね。好きで日々追いかけているぶん、知識というより感覚的に色々なことが分かっているなぁと思った。本当に詳しい。
こちらのチームの知識が追いつかないところもあって、スタッフからたくさん質問されたよ。「めいめいさんの求めているレトロはこれで正解でしょうか」って。良い意味で大変だった。

芽実:えるさんに教えてもらって、服をつくるのはすごく難しいんだって理解したよ。

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発売できなかったかもしれないワンピース

芽実:今回一番こだわったのが、何歳でもどんなタイミングでも着られる服にすること。もしかしたらLEBECCA boutiqueが持っている少女性とは少し離れたかもしれないけど、でも、22歳の時の感覚だけでこの服を終わらせたくなかったの。ずっとクローゼットの中に置いておきたいから、白や水色だけでなく黒が欲しかったりして。これはもう自分のために作った。


──ブランドを始めたばかりの頃に私が思い描いていたレトロと、今私たちが実現できているものは少し違っていて、良くも悪くもやりながらずれていったんだ。振り返ると「現実的じゃない」って言われて諦めたことがたくさんあるなって思う。
だから、今回めいちゃんがレトロへの知見を惜しみなく活かしてくれて、“現実的”という言葉に折れてしまわずにこだわってくれたのが気持ちよかった。「いや、でもこういう感じにしたいです」「これは絶妙に嫌です」「どうしてもそうしたくないです」って。

なんと言うか、ゲストからそんなふうに言ってもらえたら、“現実的”って言葉やこちらの事情が持つ力なんてそんなに強いものじゃなくなるよな、と改めて思ったよ。
私たちもプロとしてできる限りのことをしようと、ちゃんと手を伸ばすし、叶えなきゃって緊張感を持つし、不思議とさらなる努力ができるようになっちゃう。こちらの事情より、ゲストの夢が“現実的”にパワーがあるわけだから。自分たちだけだったらとっくに諦めたはずの課題を、どうにかクリアできちゃうの。外の空気や刺激は、絶対的に内の成長になる。少しの無理がいつも力になるんだ。めいちゃん、本当にありがとう。


芽実:最初で最後だから「まぁいっか」でやらないって決めてた。このワンピースを楽しむのを今年の夏だけで終わらせないためにも、すごくこだわりました。

──LEBECCA boutiqueのメンバーたちも、めいちゃんとやりとりを重ねるごとに「ゲストのやりたいことを叶えなきゃ!」って気が引き締まっていったんだと思うな。こだわるってこういうことなんだと。
でもね、最後の最後までこだわりすぎて、ものづくりがブランド終了までに間に合わなくなる可能性が高まってしまった時があって、本当に危なかったの。中途半端なものを作るわけにはいかないから、次のサンプルでダメだったら諦めるしかないかも......って。今だから言えるけど、それぐらい危険だった。

芽実:そうだったの!

──でも、最後にそんなところまで考え抜けるコラボができてよかった!良い意味でメンバーがしっかり苦悩して、レベルが上がったのが分かったんだ。本当に妥協してくれないから最高だったの!

芽実:嬉しい! LEBECCA boutiqueの服は私にいろんなことを考えさせてくれたから、この先ももっと挑戦したかったな。

──また機会があったらどこかでやりたいね。店舗がなくなるのは寂しいけど、女優としても歌手としても友人としても大好きな人が、こちらの片想いではない形でコラボしてくれた。そうやって終われるのはすごく良い。嬉しいよ。

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「かわいい」って言葉に殴られてきた

芽実:LEBECCA boutiqueの服は、自分のコンプレックスや社会との向き合い方を考えさせてくれたから、なくなるのが未だに不思議な感じ。でもこの機会に、私が大事にしてきた少女性から卒業する時なんだなって思ってる。変わる時かもしれない。脚も、「綺麗だから出した方がいいのに」ってえるさんも言ってくれるし。

──私めいめいの脚、本当に大好きなんだよ。ソロミュージカル「ひめ・ごと」のキーヴィジュアル撮影で初めてちゃんと直接見て、惚れ惚れしちゃった。その時の写真をいくつか紹介させてよ。これ、公開されていないやつかも。

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──あぁ、もう本当に美しい。大好き。でも普段は出さないよね。

芽実:めっちゃ褒めてくれるよね。今まで脚を出してこなかったのは、誰かのコンプレックスを刺激してしまわないか不安だったから。女の子はそれぞれコンプレックスがあるじゃないですか。そのなかでも本当のコンプレックスは口にできないものだし。

──そうか。「めいちゃんが脚を出すなら、自分は隠したくない」とか「同じ露出度で横に並びたくない」って感じる人がもしかしたらいるかもしれないね。本当にびっくりするほど綺麗だから。

芽実:私は「かわいい」って言葉に殴られてきた。私ともう1人女の子がいて、その子は本当にかわくて、その子だけ「かわいいね」って言われるとか。

──そんなことある!?

芽実:この仕事をしていたら、相手には悪気がなくともこういうことはあります。「あなただけかわいいね」って言い方ではなくて自然に。私は人一倍「かわいい」って言ってもらえる職業ではあるけど、反面、自分の見た目で傷ついてきたことがある人間です。でも脚は褒められたことしかなかった。
だから私が脚を出すことで、“常にマウントを取っている”みたいな感覚があるんじゃないかって、自分自身が思ってしまって。実は、私は脚を褒められたくなかったんです。えるさんが褒めてくれるのは私だけの時だから良いんだけど。

──自分がそういうことに傷ついてきたからこそ、気を遣うところがあるんだろうな。きっと、口には出せないコンプレックスを刺激されてきた経験があるんだね、めいちゃんは。

芽実:だから隠すようになったんだと思う。LEBECCA boutiqueはそういうことも含めて、包み隠してくれる服だった。なんで私の服はLEBECCA boutiqueばかりだったんだろうと考えてたんだけど、それが理由のひとつかもしれない。

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田村芽実の戦闘服

──ただレトロな服ってだけなら他にもあるもんね。同じような丈のものあるから、私も嬉しいけど少し不思議だった。

芽実:LEBECCA boutiqueの服は刺さる人には刺さるけど、万人受けするかと言えばそうじゃない。だから童顔でこの声でLEBECCA boutiqueを着ていると「そういう子なんだね」って思われることがすごくあるんです。
でも私は心を通わせることで知ってもらいたい、知りたいって思うから、あえてこの服を着ているところもあるのかなって。私は本当に好きな人にだけ体も心もあげたいって思うし。

──めいちゃんは、自分の中の少女性や女性として持っている性が、現代の人よりもいわゆる"古典的"なところがあるよね。

芽実:ある。あるね。

──古典的って悪い意味ではなくて、昔の人が持っていた奥ゆかしさや慎ましさとか、そういうものを好んで持っているでしょう? 憧れているし、そういう性質を持っている自分のことが好きだって面もあると思う。そこを大事にできていることに愛おしさを感じていて、脚を出していないのもそこが関わっていると思う。“好きな人にだけ捧げたい”っていう感覚もきっとそう。
めいちゃんの話を聞いていると、すごく特殊な話を聞いている気持ちになる時があるよ。昭和の少女と話している感じ。生まれる時代を間違えてるって言われない?

芽実:めっちゃ言われる。

──中原先生が教えてくれたあの少女たちと同じように生きている気がする。

芽実:そこに近づきたいとは思う。そうすることで自分の表現にも繋がると思うから、真摯に向き合いたい。だからLEBECCA boutiqueの服は私の戦闘服。仕事の時は絶対にLEBECCA boutiqueの服を着ていて、戦っているつもりだった。

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芽実:昔、まだ台本読みもしていないのに「あなたは声質や演じ方がかわいすぎて、周りや役と合わない」って言われたの。お芝居も見てもらっていないのに、印象だけで言われたと思って、すごく悔しくて、もう泣きながら帰ったんですよ。そして次の日は一番かわいいLEBECCA boutiqueの服を着て稽古場に行きました。

──かわいすぎて合わないって言われてるのに、さらにかわいくしたの?!

芽実:その日の台本読みでぐっと強く演じたら「今日はよかった」って言われて、結局印象だけで言われてたのがわかって......。すごく嫌なの。声質や喋り方でぶりっ子って言われるの。

──それ前からよく言ってるよね。

芽実:LEBECCA boutiqueの服もぶりっ子の服ではないのに、そう受け取る人もいるからさ。

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かわいい服を着る理由

──“かわい子ぶる”っていうのが“かわいい子のふりをする”って意味だとしたら、それって別に悪くない。かわいい子のふりをしたいから、かわいい子になりたいから、服を選ぶ、服を着る。それってあると思うの。

芽実:ですよね。そんなこと言い始めたら女の子みんなぶりっ子じゃないですか。でも私はかわいく思われたいんじゃなくて、自分のために着てるだけ。着ていると私が楽しくなれるから。だから何か言われて落ち込む子もいるだろうけど、私は「見返してやる!」って思ってた。

──それで反対に目立たない服装を選んだり、周りに合わせたりしたら、今度は「キャラクターと合ってない」なんて言われることもある気がする。でもさ、いいのよ、言わせとけば。私たちは好きにかわいい服を着ていればそれでもういいの。

芽実:そうなんだよね。


──「私が大事にしてきた少女性から卒業する時」って言葉がさっき出たけど、これからめいちゃんがどんな服を着るようになるのか楽しみだな。また戻ってきたって良いわけだし。

芽実:これから着るのもきっとワンピースだと思う。LEBECCA boutiqueの服からはいろんなものをもらったし、5年間ずっとLEBECCA boutiqueばかりだったし。

──とても大事な年代にずっと着てもらっていたの、嬉しいよ。私がまた服をつくるときが来たら、その時もぜひ着てください。

芽実:ぜひ!

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あの一大プロジェクトを終えて

──ねぇ、めいちゃん。今日はさ、やっぱりソロミュージカル『ひめ・ごと』の話が聞きたいよ。

芽実:前回「『ひめ・ごと』が終わった時には次のことがやりたくなってると思う」って言われたけど、本当にそのとおりで、もっともっとやりたいことができたの。

芽実:終わってから自分の周りの空気のめぐりが良くなったって肌で感じてる。ぜんぜん違う!

──例えば?

芽実:やりたい仕事しか来なくなりました!

──それはすごいね!

芽実:22年生きてきて、今が一番幸せだって言える。すべてが良い方向にしか変わってなくて、毎日がこんなに幸せだって思うのは生まれて初めて。

──『ひめ・ごと』を進める上では苦しいこともあったよね。「あ、今きつそうだな」「最近ヤバそうだな」とか、見ていてわかったから。それを超えられたことで憑き物が落ちたみたい。

芽実:『ひめ・ごと』を通して、私を支えてくれていた裏方の皆さんへの感謝が何倍にも膨れ上がったし、作品が作られる過程や興行の仕組みもわかるようになったし、世界の見え方が変わったと思います。

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この仕事を辞めたかった

──クラウドファンディングの反響もすごかったよね。支援額は2,800万円以上までいった。

──でもこれ、まるごともらえるわけではなかったよね。

芽実:税金や手数料もあるからね。

──意外と知られてないけど、結構取られちゃうんだよね。

芽実:私は手元に残るリターンにこだわりたかったから、その制作費もかかった。「めいめい金の稼ぎ方を覚えたな」とか「富豪になったな」とか言われるけど、ぜんぜんそんなことなくて。配信公演とリターンの制作費に使って、あとはいつか打つ本公演のための資金を残せたぐらい。
私は皆さんから頂いたご支援や応援の気持ちを、俳優人生をかけて守り抜いていかないといけないし、自分が証明しないといけないなと思ってます。

──クラウドファンディングの最終日、インスタライブをしながら終了の瞬間を迎えているのを見ていたけど、めいちゃんが思わず泣いちゃったのを見て色々な感情や重圧のようなものがあったんだなと思った。

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──この47:30あたりからのところ。あのアーカイブ映像、今でもよく見返すよ。あれを思い出しながら聞くと、今の「俳優人生をかけて守り抜いていかないといけない」って言葉がさらに響いてくる。

芽実:でも、舞台の業界はコロナで本当に打撃を受けていて。もしこのままどうにもならなかったら、実家に帰ってそのうち結婚して専業主婦になりたいな〜なんて思っていたこともあります。

──あったね、そんなことも。一時期は夢に対して弱気になってたね。でも変わったよね。すごく強くなった。実家に帰って…みたいなのも冗談で言うことはあったけど、プロジェクトが進むにつれて言わなくなったもんね。

芽実:だって詐欺じゃないですか! こんなに支援をいただいて、『ひめ・ごと』もこれからですって言って、ソロプロジェクトの公演に一生招待しますってリターンもあって、一生やらなきゃ嘘じゃんって思ったの。
結果的には異例のクラウドファンディングだって言われるほどの結果を残せたけど、正直やる前は“もうこの仕事を辞めてもいいんだ”って腹をくくってた。だから、このプロジェクトに私の人生を懸けたようなところがあった。

──あまりそういう心境を表に出さないよね。SNSだけ見てると「え、そんな感じだったんだ」って感じる人もいると思う。でも、本当にぎりぎりのところだったよね。そんな状況から人生で今が一番幸せってところまでいくのはすごいよ。

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初めて言えた「助けて」の言葉

──私ね、『ひめ・ごと』に関わるなかで「あの2,800万円から皆さんはどれだけもらったの?」って聞かれることが何度もあったの。あぁ、そうだよね、わからないよねって思ったよ、正直。
全員がぎりぎりで仕事を受けていたし、ものすごく切り詰めて、いつだってお客様への還元に重きを置いていたけど、周りから見たら大金を掴んだように見えた人もいるよね、って。


──どこまで話していいかわからないけど、手で作れるものは作ったし、カメラとかリターン制作とかお金をかけなきゃどうにもならないところにはかけていたよね。私も現場の方々にたくさんご意見をいただいて、時には苦しくもなりながら準備してた。

芽実:苦しかったし、今話しているだけでも思い出して苦しくなる......。自分で公演を打つのはすごく大変なこと。

──そう思えていることが本当にすごいよ。お金にちゃんと向き合う表現者ってどれだけいるのかな、と思う。そんな機会を持つこと自体がなかなか難しいことだよね。1円単位で切り詰めている様子を見て「こういう側面のある世界なんだ」と思った。

芽実:少し前に配信タイプの作品に参加させてもらったんだけど、セットを作っていた人たちが「自分たちで作ってやる!」って意気込みが強い人たちで、すごいものができてたの。職人ってこういうことなんだって思った。その作品に携わりたいって思う人がいるからこそ、舞台の世界は回ってる。
『ひめ・ごと』もそういう人たちが関わってくれてたから本当に良かった。

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──お金のことで心無いことを言われることもあったと思う。知らない人からも。そのなかでやりきるのは本当に大変だったよね。

芽実:現場にいた人が本当に良い人たちで、作品が作れるのが楽しいって思っている人ばかりだったから乗り切れた。予算が足りないから道具を借りれないって状況のなかで、それでも好きだからと準備に携わってくれている感じがあったから。人に恵まれ過ぎてた。
ただ、クラウドファンディングってリターンを送ったら終わりで、そこに対して不完全燃焼感はあったの。サインを書いたら終わり、とかも。応援してくれている皆さんの反応が見れない。「あ、こんな感じなんだ…」って思った。

──それずっと言ってるね。「え、送って終わり?」って。舞台上だとお客さんに届くところまでが見れるけど、リターンは直接相手の顔が見えないもんね。

芽実:コロナの影響でお会いできないからしょうがないけど、「この終わり方で良いのかな?」と思ってて。Twitterを見てると「リターンきた!嬉しい!」って反応が見れるけど、もっと頑張らないとって思っちゃう。やっぱりイベントがしたい。何回も。会場費とご飯代だけでわいわいできる場を設けたい。

──会場費とご飯代だけってところにめいめいの人柄が表れてる。イベントをするときに見栄がない。自分のエゴだけで作ろうとしないところあるよね。今回の『ひめ・ごと』で、お金のことがわかるようになったんだって思う。

芽実:「助けて」ってファンの皆さんにお願いしたことがなかったの。「ライブに来てください」はあるけど、「CD買ってください」とかなかなか言えなくて。
でも今回こんなに多くの人が助けてくれたから、信頼関係ができていることがわかった。だから自分が着飾るよりは会場代に回して、もっと皆さんと一緒にいられるようにしたいと思う。
コロナの時代が終わったら一緒にその場を作りましょうって気持ちを込めて、スタッフパスのリターンを作ったんだけど、「これがあるから、また会いましょう」って約束をみんなとしてる感じがある。いつか来るその時がすごく楽しみ。

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今、演劇をやる意味はあるのか 

──舞台の業界はコロナで打撃を受けているって話があったけど、今めいちゃんはそれについてどう考えてる?

芽実:マスクを外さないと演じられないから、コロナと舞台はどうしても相性が悪くて。舞台上には消せないリスクがある。1週間に1度はPCR検査を受けるけど、それでも陽性者が出てしまう。
この現状のなか演劇をやる意味は常に考えていて。私は皆さんに夢を届けたり元気になってもらうために演じているけど、私のやりたいって気持ちと、やる意味はあるのかという疑問と、この2つを天秤にかけて自問自答している毎日ではあります。

──それでも『ひめ・ごと』をやってよかったって思えるポイントはある?

芽実:さっきも言ったけど、いろんな流れが逆転したこと。「今そこまでしてやる意味ある?」「私はそこまでの人間じゃないよね?」って考えて、仕事を辞めようとしてたから。それは生活が苦しいって理由ではなく、「誰かを危険に晒してまで表現をするべきなのか?」って理由で。今はそれでも絶対に舞台に立たないといけないって思うようになりました。

──待ってくれている人がいるから?

芽実:それもあるし、制作サイドの皆さんの舞台を守ろうとする心がわかるようになったから。公演を打っても中止にせざるを得なかったり、できても赤字になったり。それでもやり続ける。

──理解の幅が広がったんだね。

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0から1を作ることができない

芽実:『ひめ・ごと』は、自分ができないことに気づけた作品でもあったの。


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