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Us -アス- ~ワタシル大学オリジナルキャリア小説「ストーリーズ」~採用担当・桃子(28歳)の場合 Vol.9

あらすじ


シンジからの海外駐在の話があった翌日、
仲の良い同期の美咲をリモート飲みに誘った。


「じゃ、かんぱーい」

桃子が白ワインの持っているグラスを画面に向かって傾けると
美咲も梅酒サワーの缶を画面に近づけた。


いきなり本題も気まずいので、
まずは軽く近況から。


「そう言えばこの間の美咲、
できる女って感じだった!」


この間オフィスでばったりあったときの率直な印象を伝える。


「それより、桃子は何してたの?」

あれ?あっさりかわされちゃったな。
触れられたくなかった??


「私は採用コンサルさんのお見送り。
会議室で写真撮影があったの。」

「採用担当か!
すっかり、うちの会社の顔じゃん」

「全然。ひたすら下働きばかりだよ。」


少しだけ、沈黙の時間が流れる。

美咲と飲むのは久しぶり。
以前は飲みに行ってお互いの恋愛相談や、
仕事の悩み・愚痴を毎週末のようにしていたが、

ここ数年はお互い仕事で多忙になってきたこともあり、
飲みに行くことも減ってきた。


持っている白ワインのグラスを
ぐっと飲み切って本題を切り出す。


「え、ボトル、飲みきるつもり?」

「まさか!残りは彼氏が飲むよ。」

「あのね、付き合っている彼が
今度シンガポールに駐在することになったの…
…悩んでるんだ、私…。
仕事を辞めて結婚して彼氏について行くのか、
日本に残るのか…。」


ちらっと美咲の顔を見る。

「え?!迷う必要ないじゃん!おめでとう!」

「…もう、美咲は気が早すぎるって。」


バリバリやっている美咲なら
仕事と結婚で悩む気持ち、共感してくれるかと期待していたけど、


たしかに、フツウの適齢期女子なら結婚して海外に行く方を選ぶよね…。


両親に相談しても、間違いなく「結婚しなさい」と言われるだろうし。


画面の向こうで美咲がサワーをもう1缶空けた。


”フツウ”って、なんだろう。

責任ある立場でバリバリ仕事をしている訳でもない私が
結婚か、仕事かで悩むことってやっぱり変かな…。


何者にもなっていないままに
キャリアを中断することが本当にベストな選択なのか。


そんな心の内を話したいと思っていたが
ふとした瞬間で話題は切り替わり
すっかりその雰囲気を逃してしまった。

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「女性の幸せ=結婚」というステレオタイプな価値観は
すっかり過去のものとなりつつある現代。


一方で、女性のキャリアは選択肢が増え、
逆に判断や決断に迷い、葛藤してしまうということも増えてきました。


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「こんなとき他の人ってどうしているんだろう?」
「彼女が同じ立場だったら、どんな選択をする?」


ネットで検索したり、他の人に意見を聞いたりしても、
結局のところ


「私はどうしたいの?」


これを突き詰めて考えていく以外に近道はないように思います。


前を向きながら、自分で考え、決断する。
失敗を恐れず、一歩前に踏み出してみる。
進みながら、軌道修正する。


頭ではわかっていても、
どこか自分の決断に自信が持てない…


そんなあなたにおすすめしたい言葉があります。


キャリアとは”はしご”のようなものではありません。
そういった時代は終わりました。
ジャングルジムのようなものです。
ただ前と後ろだけを見るのではなく
後ろへ下がったり横に移動したり角に行ってみたり。


Facebook COO シェリル・サンドバーグ氏の言葉です。


現代のキャリアは、はしごのように一本道を登りつめるものではなく、
ジャングルジムのようにジグザグしながら登ったり止まったりするもの。

登ってみて、途中横に行ったり、少し降りてみるのもアリ。
少し止まってそこからの見える景色をしばらく味わってみては、
別の景色を見に移動してみることで、
新しい発見やチャンスが見えてくることもある、そんな考え方です。

そう考えてみると、一見「キャリアの中断」と思えるような出来事も、ポジティブな視点で捉えられることができるのではないでしょうか。

結婚して海外に帯同する。
結婚を選ばずに、もう少し仕事を頑張ってみる。

どちらを選んだとしても、そこで得られるものがあり、チャンスはいくらでもあるはず。

人の意見、世間の一般論、平均値…どれも参考にはなりますが、
結局の所「私はどうしたい?」を突き詰めて考えること。

これをしっかり踏まえた上で選択をすることで、
きっと後悔のないキャリアを歩んでいけるのではないでしょうか。


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