中学の同級生に刺される夢を見た

タイトル通りの内容で多少の流血表現があります。グロテスクなものが苦手な人は読まないでください。


いつか夢の中で見た街の中をこれまで暮らしてきた地元の如く、当たり前に過ごしていたわたしは中学生だったような、大人だったような。でも、学校の先生が出てきていたのでやっぱり学生だったのでしょう。感覚的には高校生のようでもありましたが周りにいた面々は中学の人達だったので中学生だったのだと思います。
出席番号で前後だったから話すことが多かった同じクラスのNちゃんとたまたま道端で出会い、話しながら歩いていました。内容はありきたりなものだったと思います。覚えていないくらいですからきっとそう。
既視感のあるショッピングモール(別の夢で出てきたものでした)のエスカレーターに乗りながらNちゃんはわたしに笑い掛けました。普段みんなの前で見せている人好かれのする笑みではなくて、不敵な笑みというのでしょうか。それを満面に貼り付けてわたしに何かを言ったのです。わたしは緊張と高揚と隠しきれる程度の嬉しさが混じった感情を必死に抑えてゆっくりと頷きました。
突然場面が切り替わり、わたし達はホテルに居ました。たぶんラブホテルで彼女は私服を着ていました。わたしは制服だったと思います。制服のスカートの重さを感じた気がするから。
薄暗い照明、その逆光でNちゃんの表情はよくわからなかったです。わたしは緊張から喉がカラカラに渇いていました。そして、わたしに覆いかぶさったNちゃんは耳元で何かを言い、わたしはしばらく固まってその後ぎこちなく頷きました。Nちゃんはそれを見届けるとそっと離れてわたしの膝の下を包丁で刺しました。夢の中だったから痛みはなくて、生暖かいものが伝う感覚だけが脚に広がります。その生暖かさも本当はわかっていなくて、生暖かいと思っている自分がいるということでそれを理解しました。ドクドクと心臓の音が体内に響きます。それが不快で顔を歪めました。わたしの呻き声をBGMに何度も何度も脚を刺すNちゃんはいつもみたいに後ろの席からわたしに話しかけてくれる時のテンションのまま何かを話しかけてくるのでわたしもなるべく普通に返します。無理矢理笑顔を浮かべてみたり。それでも、流れる血の感触に気を取られて返事はしどろもどろでした。もっとも、その会話内容の全てがまるっと抜けているので全て雰囲気で書いているのですが。だんだんと意識が遠くなっていくのがわかります。彼女もそろそろ危ないと思ったのか手を止めます。わたしはそんな彼女の血で濡れた手に触れて声を絞り出しました。
「ハッピーツリーフレンズ好き?」
そう訊くと、彼女はぎこちなく笑って「知らない」と言い、わたしの肩に手を回しました。夢の中の会話で唯一覚えているのがこのやり取りです。
再び場面は切り替わりわたしは父親と姉と建物の中にいました。ソファに座って何かを話していましたが、わたしは心ここにあらずといった感じで浮ついていました。何かを思い出したわたしはその場からいなくなろうとすると父親の機嫌が悪くなりました。自分が大好きな彼は自分以外の何かを優先しようとするわたしが面白くなかったのでしょう。テキトーに言い訳をして走り出しました。その時、脚には傷一つありませんでした。
わたしはNちゃんと合流してスーパーに向かっていました。会話の中でまた刺したいと言われて背中に熱いものが這い寄ってきたのを覚えています。怖いと思いましたが、不思議と嫌ではありませんでした。それどころか何かを期待していて、でも、その時のわたしはそれの正体についてはよく分からなくてただ胸を高鳴らせていました。たぶん背徳感に酔っていたのだと思います。スーパーの卵コーナーを見ている途中で夢から覚めました。

内容は悪夢と言っても過言ではありません。しかし、現実のわたしはこの夢が嫌だとは思えませんでした。単純に面白かったからというのもありますし、リアルでは絶対に体験できない内容で興味深かったからです。それに興奮もしました。
ちなみに、本当のNちゃんは自分の血を見るのもダメなくらい血が苦手な子なので間違ってもこんなことをするような子ではありません。血が好きでもこんなことする人なんていないですよね。失礼しました。
起きてからしばらく夢のことを考えていました。内容の非現実さとわたしという人間に対する懐かしさから胸が熱くなりました。というのも、中学生のわたしだったら同じことを強く求められれば頷いていたと今のわたしは確信しているのです。今の自分には無い心の動きが中学生のわたしにはありました。夢の中で、もう出逢うことのないその感情に包まれたことが懐かしく、そして嬉しかったのでしょう。事態の残虐さや非現実的さは置いておいて。
以前、星か獣になる季節の読書感想文でも書きましたがわたしには他人からの評価と自分が他人を評価することで自分の価値を見出していた季節がありました。中学生のわたしはその季節の真っ只中に居て夢の中ではありますがNちゃんに求められることで満たされていたのでしょう。これが現実だったとしてもきっと満たされていました。そして、その満たされる感覚に酔っていた。今のわたしはその感覚を求めてもいないから味わうことがありません。時間が流れてその感覚を忘れてしまった、忘れてしまったということすら覚えていないわたしに昔を見せてくれたのがこの夢でした。
目が覚めて夢の内容を振り返った時、わたしはNちゃんのことが好きで好きすぎてあんなことをされても良いと思っていたのかと思いました。行き過ぎた恋愛の夢だと思っていたのです。ラブホテルに居て、彼女に組み敷かれているわたしが居たということが大きいです。しかし本当は違くて、自分が自分であることを確かめる夢でした。自分が何者であるかがわからずただ時の流れに身を任せていたわたしにわたしという人間が存在しているということを刻み込む夢でした。ただ、その季節はもう過ぎてしまったのでその刻印は意味をなさずわたしには懐旧の念のみが残るだけでした。
しかしこの気持ちを忘れるのは勿体ないと思いnoteに書き出した次第です。ここまでお付き合いいただきありがとうございます!楽しかった!

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