病気で太るとかいう理不尽な出来事

さっき、久しぶりに体重を計った。

体重を計るなんていつぶりだろう。

体重を計るのも一苦労な体になると、当然、体重は計らなくなる。

そもそも、鏡も見なくなる。

意識的に見ていないのではなく、足元を見るのに必死で鏡に視線などやっている余裕はないのだ。

外用の服に着替える機会があれば、うわ、ウエストがパツパツ!とか気付いたのかもしれないが、この2年半で着たのはパジャマだけなのだ。

そういうわけで自分が太ったのか痩せたのかもよくわかっていなかった。

ただ、なんとなく、かわいくなくなったな、とは思っていた。

別に以前の自分が特別かわいいと思っていたわけではないが、年相応の若々しいかわいさはあっただろう。

若い女は若いというだけで年相応にはかわいいのだから。

そういう意味では、この2年半でわたしは急に歳を取ったのかと思っていた。

病気という悪魔は患者の中を流れる時を止めるが、現実の時間は止まらない。

最初の怪我をした時から数えればもう4年近くになる。

わたしは20代から30代になってしまった。

まだなんにも楽しいことをしていなかったのに。

終わった時は帰ってこない。

季節は巡るのに、時は巡らない。

では体重はどうだ。

体重は巡るのだろうか?

体重計に乗って声が出た。

心底驚いた時にしか出ない、短く息を吸うような声だ。

体重は4年前から11kgも増えていた。

当然、その場では引き算なんてすぐに出来ない。

画面に表示された見たこともない数字を目の前に、昔の数字を思い出し、糸をたぐるようにして計算したのが11kgだ。

こんなことがあっていいのだろうか。

かわいかったあの頃のわたしはもうどこにもいないのだ。

病気になって痩せるならまだしも、太るなんて。

きっとこんなことを言うと病気になって痩せて苦しんでいる人や関係者からとやかく言われるんだろう。

だけどそんなこと関係あるかよ。

病気になって太るのもたいがい最悪なんだよ。

原因ははっきりしている。

一つには薬の副作用で満腹中枢が失われたため自分がどれだけ食べたかわからずモリモリ食べてしまうこと。

「病気は食べて治す」という幼少からの潜在意識がわたしにそうさせているのだ。

そして二つめには、寝たきりで圧倒的に消費カロリーが少ないこと。

そこらへんの細かいことは、ここで細々書いたってなんの意味もない。

医療にもわたしにもどうにもできないことがたくさんあるということだけが事実なのだ。

そしてわたしの春は終わった。

乙女心が日々ズタズタに傷付けられている。

このままおばあさんになっていくのかなって毎日うっすら考えそうになるところを理性でグッと堪えてどうぶつの森に打ち込んでいる。


おしまい

HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞