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コンテンツ備忘録(2020年8月)

8月1日
すでに映画館で2回見たライアン・ジョンソン監督『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』のNetflix配信開始を記念して鑑賞。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は脚本も演出もチープだったけど、『ナイブズ・アウト』は控えめに言って最高。このひとは自分で脚本を書いたオリジナル作品でこそ輝くアーティストなのだと認識。
そのままNetflixで立て続けに『マイル22』『スペンサー・コンフィデンシャル』を見る。どちらもピーター・バーグ監督、マーク・ウォールバーグ主演。この2人は『ローン・サバイバー』『バーニング・オーシャン』『パトリオット・デイ』でタッグを組んでいるから、5作品も一緒に作ってきたことになり、自分もこれで全5作を見たことになる。
この日は映画を見て温泉に入る以外のことはまったくやらず、音楽を一切聴かなかった。
8月2日
映画館で見て以来、Netflixで3年ぶりに『パトリオット・デイ』を見る。ボストンマラソン爆破事件をもとに、警官たちが地道な捜査でテロ犯を追い詰め、危険を顧みずに戦う姿が描かれている。多少デフォルメされている可能性があるとはいえ、こういう現実の英雄譚をきちんと実写化するところが、ハリウッド映画の良心だと思う。
『パトリオット・デイ』の音楽は、Nine Inch Nailsのトレント・レズナー、作曲家のアッティカス・ロスによるコンビで作られている。この2人は、『ソーシャル・ネットワーク』『ドラゴン・タトゥーの女』『ゴーン・ガール』で共作していて、最近だとトレイ・エドワード・シュルツ監督『WAVES/ウェイブス』のサウンドトラックを担当している。
8月3日
Netflix配給作品『クロース:孤独のボディーガード』を見る。この数年なぜかアクション作品への出演が目立つノオミ・ラパスが主役。『アンロック/陰謀のコード』『ジャック・ライアン シーズン2』に続き、今回もシリアスなヒロインを演じている。ノオミ・ラパスのアクションスターぶりがなんとなく好きで、一応チェックしておこうと思って見たけど、脚本の詰めが甘い凡庸な作品だった。いい役者なのに、いつも製作陣に恵まれていない印象。彼女を主役にクールな女性アクション映画を誰か作ってくれないだろうか。
ブレイク直前のシルヴェスター・スタローンが出演し、ロジャー・コーマンが1975年に製作した『デス・レース2000年』のリメイク作『デス・レース』をNetflixで見る。ディストピアと化したアメリカで、民間企業が運営する刑務所を舞台に人殺し上等のレースが繰り広げられるカーチェイスもの。主人公を演じたジェイソン・ステイサムのライバル役でタイリース・ギブソンも出ていて、ここで気づく。2人ともカーチェイス映画の代名詞『ワイルド・スピード』シリーズに出ている。
『デス・レース』が2008年公開、タイリース・ギブソンがはじめて登場した『ワイルド・スピード MEGA MAX』が2011年公開、ジェイソン・ステイサムがはじめて登場した『ワイルド・スピード EURO MISSION』が2013年公開。一方で、続編の『デス・レース2』(2010年)と『デス・レース3 インフェルノ』(2013年)に2人は出ていない。要するに、『デス・レース』は半ばワイスピに吸収・合併されたのではないか。
渋谷・円山町のレストラン〈Sta.〉が毎週更新するプレイリスト「日々がはかどる音楽たち」を聴き、Dal『Those Days』、Piero Umiliani『Tension』、Leah Dou『STONE CAFE』、Raw Humps『The Awakening』をお気に入り登録。
散髪へ行った美容室で流れていたSTUTSのアルバム『Eutopia』が気に入って、温泉宿への帰りの電車の中でSpotifyを開いて聴く。その流れでランダム再生していたら、Shin Sakiura feat. Kan Sano『ほんとは』がかかり、これもいい曲だったからブックマーク。
8月4日
『デス・レース』を見た後、監獄が舞台の作品で見ていなかった『ラスト・キャッスル』を見る。不服従の罪で軍刑務所に収監された伝説の陸軍中将が非人道的な管理体制に抗議し、ナチスばりのサディストの刑務所長に戦いを挑む。囚人たちは軍での経験を生かして、刑務所を乗っ取るため作戦を実行する。囚人たちと刑務所との攻防を描くクライマックスはかなりおもしろい。
Brandyのニューアルバム『B7』、Taylor Swiftが突如リリースした『folklore』を聴く。どちらもとてもクール。Taylor SwiftがBon Iverとコラボした『exile』がかっこいい。
なんとなくファッションドキュメンタリーを見たくなって探したところ、Amazonプライムビデオで『We Margiela マルジェラと私たち』を発見。劇場公開時に見逃していたからちょうどいいやと思って見ることに。これがもう最高にクール。なんでもっと早く見なかったんだろう。
「私の口癖は“負ける覚悟なしに勝利はない”。私のモットーよ」
《マルタン・マルジェラ》の共同創設者ジェニー・メイレンスがこう話す冒頭から、彼女の沈黙に耳を傾けるエンディングまで、ずっと興味深く見られた。
Googleで「ジェニー・メイレンス」と検索すると、SUSANNAH FRANKEL『The Woman Behind Martin Margiela』(邦題:マルタン・マルジェラの影の立役者 ジェニー・メイレンスとは)というT JAPANによる翻訳記事が見つかった。メイレンスとマルジェラの友情を綴った数々のエピソードの中でも、メイレンスがコム デ ギャルソンのデザイナー、川久保玲に東京で会ったときの思い出が美しい。メイレンが語る。
「川久保は『その靴、すごく気に入ったわ』と言って、一足注文してくれたの。自分の部屋に戻ってから真夜中だったけどマルタンに電話したの。『マルタン、レイ・カワクボに靴を一足売ったわよ』。もちろん、マルタンは大喜びよ」
記事を読み終わって、メイレンスの誕生日パーティで抱き合うふたりの写真を見る。胸が熱くなった。
8月5日
POLAのオウンドメディア「MIRAIBI」で、『スタンダードはこうして生まれた。美の歴史的アイコンが織り成す革新のゲノム』という記事を読む。マスカラの原点が、目が小さいというコンプレックスに悩む妹のために兄の薬剤師がワセリンと石炭粉を混ぜて作った化粧品だと知る。妹の名前メイベルと原材料のワセリンの名にちなんで創業されたのが、今ではグローバルブランドとなった「メイベリン」だという。
川上未映子のホームページで『春の耳の記憶』と題するエッセイを読む。アメリカ最大の文学祭「PEN World Voices Festival」のために川上未映子が作ったプレイリスト「JUST PRESS PLAY WITH MIEKO KAWAKAMI」がSpotifyで公開されていて、彼女自身による解説文を読みながら聴く。解説文で最高に素敵なのが、Cyndi Lauperへの眼差し。
「素晴らしいアーティストは無数にいるが、傷ついた人を鼓舞するでも同情するでもなく、ただ抱きしめてくれるのは彼女なんだといつも思ってる。」
Cyndi Lauperを語るうえで、これ以上の表現はないと思った。
Cyndi Lauper以外は、Andras SchiffによるBeethovenのピアノソナタ30・31・32番、The Beatles、Lana Del Rey、Feist、D'Angelo、それにZOO『Choo Choo TRAIN』も紹介されている。
解説文の中では、唐突に1本の動画が紹介される。YouTubeの動画タイトルは「Jon Bon Jovi Park Singing by a Guy」。公園のベンチに座っている男性がひとりでBon Jovi『Livin' On A Prayer』を熱唱し始めると、周囲のひとたちも一緒に歌い始め、大合唱になっていく。
レバノン・ベイルートで大爆発が起きた事実をシャロン・ストーンのInstagramで知る。現場で働く労働者がたくさん亡くなったであろうと想像する。大爆発とはまったく関係ないけど、同地が舞台となるジョン・ハム主演のNetflix作品『ベイルート』は、地道な外交努力に焦点を当てていて、見応えがあっておもしろい。
8月6日
J-WAVEのジャズプログラム『PRESIDENT THEATER』の8月4日放送回をradikoで聴き、ロンドンのジャズシーンで活躍するKamaal Williamsというクールなミュージシャンを知る。Spotifyで検索してアルバムを通して聴いてみると、どの曲もかなりかっこいい。
電車に乗ってSpotifyを開く。Spotifyでブックマークしていたフィリピンのシンガーソングライター、Jason Dhakalのアルバム『lovesound』を聴く。めちゃくちゃかっこいい。
〈Sta.〉がプレイリスト「日々がはかどる音楽たち」が更新されたから最新版を聴く。Andre Gibson, Universal Togetherness Band『Don't It Feel Good』、Liv.e『You the One Fish in the Sea』、Onyx Collective『Manhattan』、TITLE『Don't You Know』をブックマーク。
8月7日
朝起きて温泉に入ってまた寝て、もう一回温泉に入ってオンライン飲み会をやって寝て……。要するに、映画も音楽も本も楽しまず一日が終わった。
8月8日
朝起きて温泉に入ってまた寝て、特に予定がなかったから温泉に入って……。このまま一日が終わるかに思えたけど、なんとなく久しぶりに見たくなって『モリーズ・ゲーム』をNetflixで見る。モーグルでオリンピック出場を嘱望されるほどのスポーツ選手だった女性が、ギャンブルの世界で頂点に立って凋落するまでが実話をもとに語られる。
8月9日
話題のNetflix作品『オールド・ガード』を見る。不死身の戦士が悪と戦う。銃とカンフーを融合したアクション「ガンフー」で戦う主人公を演じたシャーリーズ・セロンがかっこいい。ただ、どの役者もアクション以外の演技は荒い印象。アンドリュー・ニコル監督『TIME』は、遺伝子操作で25歳から年をとらなくなった人類を描いている。見た目は25歳なのに、中身は100歳を超えている登場人物もいた。見た目以上に成熟している印象を与えなければならない役を演じた俳優たちは、見た目が若いのに何十年も生きているように見えた。翻って『オールド・ガード』に出てくる不死身の戦士たちは、不死身になった時点の年齢から歳をとらない。不死身の戦士たちは軽く数百年は生きている設定なのに、『TIME』の登場人物たちに比べて幼く見える。
軽い内容の作品が見たくなってスティーヴ・カレル主演のスパイコメディ『ゲット・スマート』を見る。Rotten Tomatoesの評価はいまいちだけど、自分は楽しめた。
8月10日
Netflixで『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』を見る。人種差別に抗議するBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動の影響で、今頃になって「人種差別主義者」と批判されてしまっているチャーチルだけど、彼が踏ん張らなければ、ヨーロッパ全域に鉤十字の旗が掲げられていたかと思うとゾッとする。チャーチルを今頃になって「人種差別主義者」と批判したところで、彼が世界を破滅から救った事実は揺るがない。
映画はナチス抗戦派のチャーチルとナチス擁護派のチェンバレン&ハリファックスとの構図を中心に描かれる。自称平和主義者のチェンバレンとハリファックスは当時、ヒトラーとムッソリーニのファシストコンビに完全に騙されていた。ハリファックスは政権を追われてアメリカ大使に就いて以降、英米外交の橋渡し役となって名誉を回復した。だが、チェンバレンはナチスにヨーロッパを明け渡しそうになった無能な政治家として認識されたまま、政権を追われた数か月後にこの世を去った。こんな情勢だったから歴史学では大抵、チャーチル英雄論とチェンバレン無能論という歴史観で議論されていて、この映画も同様の歴史観に立っている。ジョー・ライト監督の演出は、ヒロイズムに酔った老人ではなく、リアリズムに徹した政治家としてチャーチルを描いていた。
ナチス擁護派の貴族に仕えた執事を主人公にしたカズオ・イシグロの小説『日の名残り』を思い出し、ジェームズ・アイヴォリー監督による映画を15年ぶりに見る。22歳ではじめて原作を読んだ後に映画を見たとき、あまりに鮮やかに映画化されていて驚いた感動が、17年を経て再び胸に去来した。
ジェームズ・アイヴォリーといえば、フォースターの小説を映画化した『眺めのいい部屋』『モーリス』『ハワーズ・エンド 』が名高い。中でも『モーリス』は男性の同性愛を描いた映画の傑作として知られる。この数年では最も秀逸な同性愛映画である『君の名前で僕を呼んで』もアイヴォリーが脚本を書いている。どの作品も傑作。
この日も音楽を聴くことなく一日が終わった。
8月11日
この10日間でジョン・ハムやヴィンセント・カーシーザーの出演作を頭に思い浮かべ、2人が出ていた『マッドメン』がそろそろアマプラに出ているかもしれない、と思って検索してみると、シーズン7まですべて見られるようになっていた。10年以上前から見ようと思って見ていなかったから、この際一気に見てやろうと思い、早速シーズン1の9話までを見た。噂通り、相当おもしろい。シーズン7の最終話まで残り80話以上……。頑張って見るしかない。それにしても字幕の誤植が多い。どうにかしてほしい。
温泉に入って寝てマッドメンを見て一日が終わった。この日も音楽を聴かなかった。
8月12日
見るのが何度目かわからない『女神の見えざる手』をNetflixで再び見る。劇場公開時に見逃していて今年に入って見たところ、これが超傑作だった。以来、何度も見ている。たぶん10回以上は見ている。いや、もっとか……。ジェシカ・チャスティンが演じる主人公のエリザベス・スローンは、銃社会アメリカで銃規制法案を通すために戦うロビイスト。ラストは痛快。
蒸し暑い東京に嫌気が差し、現実逃避したくなって、2012年の東京国際映画祭で見て以来8年ぶりに『ニーナ ローマの夏休み』をアマプラで見る。夏休みで無人となったローマ郊外で過ごす少女の見る世界が描かれる。というか、こんなマイナーな作品まであるなんて、アマプラの品揃えってすごい。
この日は早朝の浅草を散歩しながら、自分で作った朝用プレイリストを聴いた以外で音楽を聴かなかった。
8月13日
午前3時に起き、温泉に入ってから着替え、4時過ぎから散歩へ。múmのチェリスト、ヒドゥル・グドナドッティルによる『ジョーカー』のサントラを聴きながら、隅田川沿いに歩いて、浅草から汐留まで目指すことに。サントラが終わってそのままランダム再生で流れてきたLavinia Meijer『Tomorrow's Song』、Nils Frahm『My Friend the Forest』、Balmorhea『Behind the World』をブックマーク。
新橋から浅草まで銀座線で戻る途中、Billie Eilishの新譜『my future』を聴く。こんな曲も作れるのかと感心。
ホテルへ戻って温泉に入って、部屋に戻ってからマイケル・ベイ監督『アイランド』をNetflixで見始める。これが、冒頭からしていかにもつまらなそうな感じ。20分見たところで離脱して、『B-Side:エルサ・ドーフマンのポートレート』というドキュメンタリーを見始める。これもなんとなく作品と波長があわず、開始10分で離脱。
15時過ぎにまた温泉に入って、部屋に戻ってうとうとしていたらいつの間に寝てしまい、起きたら23時になっていた。なんと怠惰な一日……。
8月14日
昼に寝て夜に起き、温泉に入ってまた寝て、もう一回温泉に入ってボーッとして……とならないよう、無理やり予定を入れて外出することにした。
5時過ぎに散歩へ出て、浅草から東京駅を目指した。1時間の散歩中、radikoのタイムフリー機能でJ-WAVE『Travelling Without Moving』の8月9日放送回を聴く。
浅草のホテルに戻って温泉に入り、少し昼寝をしてから西新宿へと繰り出した。西新宿へ向かう途中、TOKYO FM『山下達郎サンデー・ソングブック』の8月9日放送回を聴き、2週続いての3年ぶりの珍盤奇盤特集でテンションが上がる。
オンエアされた曲の中でも、Cheech & Chong『Sister Mary Elephant』、西郷輝彦『ローリング・ストーンズは来なかった』が気に入った。残念なことにどちらの曲もSpotifyでは見つからない。
西新宿の喫茶店『BBB』で友人にCheech & Chongのことを話したら、The Shaggsというバンドがおもしろいと言うから、美容室に移動する電車の中で『Philosophy of the World』というアルバムを聴いてみた。ただひたすらに初期衝動だけで作られたような曲が新鮮。
散髪を終えて浅草へ帰る電車の中で、J-WAVE『SATURDAY NIGHT VIBES』の8月8日放送回を聴き、DeBarge『I Like It』のサンプリングがクールなWarren G feat. Mack 10『I Want It All』をブックマーク。
8月15日
Gドライブのファイルを整理しながらFm yokohama『Travelin' Light』を聴いていたらBetty Wright『Clean up Woman』が流れてきた。7インチレコードを持っていた曲が懐かしくて、その後しばらくSpotifyでBetty Wrightの曲をランダム再生した。
もう何回か見ているのに、なぜか廉頗と輪虎を見たくなって『キングダム』のシーズン2の14話から21話まで見る。
8月16日
友人から「知ってる?今知ったけど、いい感じかも」と書かれたSMSを受け取って聴いてみたのがWool & The Pants『Sekika』。これがめちゃくしゃかっこいい日本のバンドの曲だった。Spotifyで聴いて何曲かブックマーク。この日に聴いた音楽はこれくらいで、あとはまたキングダムの続きを見て一日が終わった。温泉、キングダム、音楽1曲で終わる一日……。大丈夫か、自分。
8月17日
Netflix作品『THE CROWN』の5、6シーズンでエリザベス・デビッキがダイアナ姫を演じることを公式インスタアカウントで知る。久しぶりに見たくなって、現時点で配信されている全30話の中で最も好きなシーズン2第4話『2人だけの秘密』を見る。何度見ても美しい。この数年で見たあらゆるラブストーリーの中で最も芸術的な仕上がり。マシュー・グード、ヴァネッサ・カービーの恋の駆け引き、流麗なカメラワーク、シックで色気のあるセット、ラストで流れるThe Flamingos"I Only Have Eyes for You"、そしてなにより美しいセリフに彩られた脚本が、本当に素晴らしい。これをきっかけに結局、シーズン2をすべて見てしまった。これだけ見れば、音楽を聴く時間なんてない。THE CROWNを見た以外は温泉に入っただけ。なんたる虚無的な一日……。
8月18日
Netflixで小津安二郎監督『秋刀魚の味』を見る。小津の遺作。原節子は出ていないけど、この頃美貌を極めていた岩下志麻がヒロインを演じている。岩下志麻といえば、『極道の妻たち』シリーズがあまりに有名だけど、1960年代に出演した映画はどれも傑作揃い。特に中村登監督『古都』はまじで傑作で、なんといっても岩下志麻の美しさが半端ない。今の日本で映画やテレビに出ていても違和感がないほど、先進的で普遍的な美しさを帯びている。
小津の映画はクスッと笑える場面をさらっと入れるのが特徴のひとつ。それはこの作品で最大限に発揮されていて、映画好きは凡庸な作品だと切って捨てるけど、自分は小津作品の中で最もおもしろいと思っている。笠智衆、中村伸郎、北竜二のやりとりは何回見ても笑える。
Jack van Pollの曲をランダム再生していたら、Bill Withers "Ain't No Sunshine"をインストでカバーした曲を見つけ、かっこよかったからブックマーク。
久しぶりにAlabama Shakes『Sound & Color』を聴く。何度聴いてもかっこいい。このアルバムを出した翌2016年12月に新木場スタジオコーストで行われた来日公演を見に行った。ライブの内容は今でも目に焼き付いている。
前日にTHE CROWNのシーズン2を見たから、シーズン1も見ることにして、結局全10話すべて見てしまった。この時間があれば、他の新作ドラマを1シーズン見終えていただろうに……。
8月19日
もうこうなったらTHE CROWNのシーズン3も見るしかない!と思い、またも全10話を見る。全30話のドラマを通しで2回も見るなんてどうかしている。温泉に入って、THE CROWNを見て寝る。なんと怠惰な一日……。
8月20日
クリント・イーストウッド主演『アルカトラズからの脱出』を見る。子どもの頃、テレビで放映された際に一度見たきりだった作品。アメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島の刑務所から脱出したフランク・モリスの実話がベースとなっている。アルカトラズ刑務所は脱出不可能と言われた監獄。モリスは仲間と共に2年がかりで準備し、刑務所長に疑われ始めたことを機に作戦を決行する。映画館で見ればまた違うのかもしれないが、大してスリリングな演出でもなく、「こんなもんか」という感じ。
アルカトラズが舞台の映画なら、ジェリー・ブラッカイマー製作、マイケル・ベイ監督、ショーン・コネリー主演のアクション映画『ザ・ロック』のほうが遥かにおもしろい。マイケル・ベイの初期作品の中でも『ザ・ロック』はエンターテインメントのレベルが群を抜いていて、中学生の頃に映画館で見た頃からまったく色あせない。
トム・クルーズ、エミリー・ブラント主演『オール・ユー・ニード・イズ・キル』をNetflixで見る。6年前に劇場で公開された際、自分がゲームの主人公になったように感じられる映像体験があまりにおもしろくて、映画館で3回も見た。13インチのMacBook Proで見るとさすがに迫力は劣るが、6年前に感じたおもしろさは変わらなかった。
THE CROWNのインスタアカウントでシーズン4の予告が流れ、ひとりホテルの部屋でウォォォ!と声を上げる。シーズン4はいよいよダイアナが出てくる。若きダイアナを演じるのはエマ・コリン。かなり仕上がった見た目で期待大。日本での配信開始日は11月15日とのこと。
スパイをテーマにしたドキュメンタリーを見たくなってNetflixで探してみると、『チャーチルの新・秘密エージェント』という作品を発見。これが結構おもしろくて、全5話中2話まで見た。第二次世界大戦中、ヨーロッパ各地で活躍したイギリス特殊部隊のスパイたちが経験した過酷な選考過程に、14人の一般参加者が挑戦するリアリティ番組。本物のイギリス兵が教官として参加者を訓練し、実際の現場で使える術を授けていく。もちろん、暗殺の特訓も。続きを見るのを楽しみに床に就いた。
この日はほとんど音楽を聴かなかった。
8月21日
劇場公開を待ちに待った『ブックスマート』をヒューマントラストシネマ有楽町で見る。ウイルスの騒動が大きくなる前の2020年1月21日、下北沢の本屋B&Bで山崎まどかと長谷川町蔵による「romanticool が選ぶ2010年代ベスト映画決定戦」が開かれ、そこで2人とも激しく推していた作品。つまり、公開を7か月も待ちわびていた。
こんな映画を待っていた!と心の底から思った。青春コメディ史上最高の超傑作。何がいいって、とにかく腹の底から笑える。洒落た映像と軽妙な演技のおかげで下ネタも軽く受け流せる。主題はあくまで友情。学園モノの映画にありがちなスクールカースト的な流れもないし、とにかく見ていて気分がいい。一人ひとりが違っていて、それぞれに個性があって、異なる輝きを放っている。青春を残酷に描く『13の理由』とは対極をなす、底抜けに明るい女子2人の友情物語。間違いなく2000年代に登場した最高の映画と言える。
浅草への帰りの電車で『Booksmart Official Playlist』をSpotifyで聴く。おもしろい映画はサントラも必ずいい。ブックスマートの選曲も本当にセンスがいい。知っている曲はいくつもあったけど、知らなかったいい曲もたくさんあった。映画を見て新しい音楽を発見できるとうれしい。
アマプラでマイケル・ウィンターボトム監督『天使が消えた街』を見つけ、劇場公開以来5年ぶりに鑑賞。イタリアで起きた英国人留学生殺害事件をモチーフにした作品。とにかくカーラ・デルヴィーニュがかわいくて、映画館で見たときはカーラの美しさにばかり目を奪われていたけど、今回もそうだった。映画自体はそんなにおもしろくないから、カーラが好きなひとにだけおすすめする。
山崎まどかのTwitterをチェックしたら、長谷川町蔵とのコンビでブックスマートを解説する音声ファイルを売っていると知り、早速購入して聴く。なんでこんなにすぐ買ったかというと、もちろんブックスマートのことをもっと知りたいからなんだが、2人の圧倒的な知識に基づく解説を45分も聴けるのに100円で買えたから。十分元は取れたし、いやこれ、本当に100円でいいのかよ、とすら思ったくらい、充実の内容に大満足。2人の解説を聴きながら映画館で買ったパンフレットを読み、ブックスマートの熱にすっかり浮かされてしまっている自分に気づいた頃、瞼が重くなってきて床に就いた。
8月22日
前日にリリースされたDeny Mayのニューアルバム『Late Checkout』をSpotifyで聴く。その流れでランダム再生されたJerry Paper”Cholla”、坂本慎太郎”グット・ラック”、Andy Shauf"Begin Again”、Tennis”In The Morning I’ll Be Better”、Sean Nicholas Savage"Abracadabra"、Matt Duncan"Beacon"、TOPS"Sugar at the Gate"、Kevin Krauter"Toss Up"をブックマーク。
前日にブックスマートを見たからか、コメディが見たくなって エドガー・ライト監督『ホット・ファズ』をNetflixで鑑賞。言わずと知れた「スリー・フレーバー・コルネット3部作」の2作目。映画館で見てDVDを借りて見たこともあるから、これで見るのは3回目だったけど、やっぱりおもしろい。映画俳優として駆け出しの頃のオリヴィア・コールマンが端役で出ていることに気づき、どんな役者にもこういう時代があるんだなと感慨深くなる。
村上春樹がDJを務めるTOKYO FM『村上RADIO』の8月15日放送回をradikoで聴く。この番組は数か月に一度放送され、放送開始以来欠かさず聴いている。村上春樹は声が良くて、聴いていて心地いい。今回は一曲目でLana Del Rey"Doin' Time"をかけていたのが印象的だった。リスナーのメッセージを受けて、カート・ヴォネガットの「愛は消えても、親切は残る」という言葉を紹介し、こう語った。
「含蓄のある言葉ですよね。愛が消えた後でも、親切心は残ります。そして、その親切心の中から、また新しい種類の愛が芽生えてくることがあります。そういう再生って、考えてみたら素敵ですよね」
村上RADIOを聴いてLana Del Reyの近況を調べていたら、スポークン・アルバムを9月にリリースするとのこと。Jack Antonoffが伴奏を担当しているとか。Jack Antonoffといえば、Taylor Swift、Lorde、St.Vincent、Carly Rae Jepsenに曲を提供しているミュージシャン。アメリカのテレビドラマ『Girls』のクリエイター、レナ・ダナムの元彼でもある。そんなことはいいとして肝心のLana Del Reyのアルバム先行曲を聴いてみると、いつも通りの悲しみを帯びていて、これはライブでどう演奏されるのだろう、と今から楽しみになった。
8月23日
TOKYO FM『山下達郎サンデー・ソングブック』の8月16日放送回をradikoで聴く。達郎がオンラインライブについて語っていたことが印象的だった。彼いわく、テレビの生放送ライブは何時間もかけてリハーサルを行うのに、なぜかネット配信は即興でやることが持て囃されている。ネット配信はただでさえ不安定になりがちなのだから、なおのこと慎重に準備を重ねる必要がある。だから、わたしは事前収録のライブ配信しか今後もやるつもりはない。じゃあ、DVDやBlu-rayを出せばいいではないというと、そういう話でもない。なぜならDVDやBlu-rayは音質に限界があり、ちゃんとライブを再現できない。その反面、事前収録のネット配信なら音質を高めたまま伝えられる。だからネット配信に興味を持った。正確な引用ではないかもしれないが、おおよそこんな感じだった。
友達とLINEをしていたらHaimの話になって、”Summer Girl”のMVをYouTubeで見る。これを見て思い出したBOY”Little Numbers”のMVも久々に見る。どちらも夏に聴くには最高の音楽。MVも洒落ててよい。
ブックスマートの脚本家ケイティ・シルバーマンが手掛けているという理由で、Netflix作品『ロマンティックじゃない?』を見る。配信された頃に話題になっていたのは知っていたが、時間が経ってマイリストに埋もれたままになっていた。まさかブックスマートと同じ脚本家の作品だとは。仕事も恋もいまいちのプラスサイズの女性が強盗に襲われて頭を打ち、目覚めるとなぜかロマンティックコメディの世界へ。ロマコメの王道ストーリーを茶化しながら、ロマコメ的に物語が展開される。主人公は建築家で、駐車場の設計を任されている設定。この伏線も最後に回収されて、物語はスッキリ終わる。ケイティ・シルバーマンの脚本は、軽妙洒脱なギャグで観客を笑わせて油断させ、伏線を回収して何かしらのメッセージを込める。新作が楽しみになる脚本家のひとりになった。『ピッチ・パーフェクト』『マイ・インターン』に出ていたアダム・ディヴァインが主人公の同僚役で出ていて、今回もコメディアンぶりが素晴らしかった。彼も出演作が楽しみの俳優のひとり。主演のレベル・ウィルソンは、『キャッツ』の演技が酷すぎていい印象がなかったけど、なんだいい役者じゃん!と思った。あれは監督のトム・フーパーが悪かったんだな、きっと。
8月24日
山崎まどかのTwitterで知った川本恵子著『魅惑のいう名の衣装 ハリウッドコスチュームデザイナー史』が手元に届く。著者の川本恵子は映画評論家・川本三郎の妻であり、2008年に亡くなるまでファッション評論家として活躍したという。繊維工場の娘として育ち、武蔵美を中退後、アパレルメーカーでデザイナーを務め、ファッションライターとして独立。両親が熱狂的な映画好きだったことから、幼い頃から映画とファッションが身近な存在だったのだそう。
アカデミー賞では1948年に衣裳デザイン賞が設立された。この本は出版された1993年までに上映された映画を分析し、コスチュームデザインの始まりから『乱』でワダエミが受賞するまで、さまざまな逸話を紹介する内容。目次を読むだけで映画好きにはたまらない内容が満載であることがわかる。すぐに読みたいと思ったが、あとがきだけ読んで積読することに。積読本はかれこれ300冊以上……。なお、この本が出版された1993年はおろか、日本アカデミー賞にはいまだに衣裳部門がない。邦画がつまらなくなって久しいが、衣装を日陰の存在として扱っているようでは、まだこの先も邦画の夜明けは遠いのかもしれない。
この日はおよそ1か月ほど滞在した温泉ホテルをチェックアウトし、別のホテルへ移る必要があったため、映画も見ず音楽もほぼ聴かず、疲れてしまって夕方過ぎには床に就いた。
8月25日
ふとYouTubeを開いたら、『ラ・ラ・ランド』のパロディ動画『Another Day of Hell - La La Land Parody - TightFive comedy』が表示されていて、久しぶりに見る。海外文学の情報をチェックするため、翻訳家・岸本佐知子のTwitterを時々見ていて、いつだったか彼女がこの動画をリツイートしたのがきっかけで見た。これが最高に笑える。この動画を見たのを機に、ラ・ラ・ランドのパロディ動画を見まくってしまった。中でも傑作だったのが、第74回ゴールデン・グローブ賞オープニング映像。ジミー・ファロンがスターと一緒にラ・ラ・ランドの曲を歌いながら笑いを誘う。
パロディ動画をかれこれ30分見てから、そもそも見ようと思っていたTiny Desk(Home)Concert『Tom Misch and Yussef Dayes』を見る。Jordan RakeiやJohn Mayerもゲストで参加していて、最高のセッションだった。リモートでもこんなにクオリティの高いライブができるなんて、さすが世界最高峰のミュージシャンはレベルが違う。どのミュージシャンも素晴らしいけど、やっぱりYussef Dayesのドラムがすごい。ここ5、6年くらい、ジャズドラマーと言えば、Chris DaveかKendrick Scottだった。ここに食い込んできたのがYussef Dayes。今っぽいというか、ジャズでもヒップホップでもネオソウルでもなんでも叩ける感じ。音の粒が小気味よく鳴るドラムは絶品。
マンションを内見したり、荷物の配送を手配したり、書類を作成したりして忙しなくて、映画を見る暇もなく、23時過ぎには寝てしまった。
8月26日
前々日に過分に運動してしまった影響で体が重くて頭も動かない。なにもやる気が出なくて、ホテルの大浴場で汗を流し、また寝てしまった。マンションの内見を予約していたから見に行ったけどいまいちで、ホテルに戻ってまた大浴場へ行って、もう一回寝た。予約を入れていた美容室で散髪すると、汗を吸う髪の毛が減ったおかげで頭が急に軽くなり、少し気分が良くなった。その後、原宿駅の前にあるAUX BACCHANALESへ行った。かつて再開発が始まる前は、竹下通りの出口、つまり信号を挟んでムラサキスポーツの向かいに店があったから、久しぶりに原宿に復活したことになる。ところが、名物のフレンチフライもカフェオレもまずく、しかも、ファミレスのようにボタンで店員を呼ぶシステムになっていて、とても失望した。銀座店にはよく行っていて、いつ行っても美味しいのだが、このまずい食事は同じ系列の店が出したとは思えない代物だった。すっかり気分も胃袋も害されてしまい、あらゆるやる気が削がれた。
帰りの電車に乗ると、メッシがバルセロナに退団希望を出したニュースを思い出し、YouTubeでバルセロナ黄金時代の映像集を30分くらい見た。もう二度とあんなサッカーは見られないのだなと思う。サッカーファンの間ではジョゼップ・グアルディオラ監督時代が評価されるけど、個人的にはフランク・ライカールト監督時代が一番好き。後ろにマルケス、プジョルがいて、中盤をデコ、シャビ、イニエスタが固め、前線をロナウジーニョ、エトー、メッシで築いたチームは、おそらく最も個性の強いメンバーが揃った布陣だった。グアルディオラ以降の選手たちは、どことなく優等生的な選手が多くて、派手なタイプの選手はチームの中で埋もれていった。ライカールトのマネージメントは今思い返しても光っていたと思う。突出した個性を尊重して、スタンドプレーを生かしながらチームワークを機能させていた。対するグアルディオラは選り好みが激しいというか、暴れん坊タイプの選手を嫌う傾向にある。どことなくエリート主義っぽい印象を受ける。大企業の役員みたいに見えて、どうも好きになれない。というか、苦手。とはいえ、クーマンに比べれば遥かにまし。クーマンのバルセロナなんて、誰が見たいのだろうか。まったくワクワクしない。でも、たしかにメッシのプレースタイルは現代サッカーにあっていない。ハイプレス主体のバイエルン・ミュンヘンに負けたのがいい例。移籍したところで、守備を拒否するメッシを受け入れるチームなどあるのだろうか。いずれにせよ、もうあの黄金時代は訪れない。いつか見ようと思っていたけど、これでメッシの勇姿をスペインで見る機会は失われてしまう。残念。
8月27日
大統領選の結果をめぐって混乱が続くベラルーシで、独裁者で知られるルカシェンコ大統領の辞任を求める大規模なデモが行われたとのニュースをBBCで見る。デモにはノーベル文学賞作家のスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチも参加していたとのこと。アレクシエーヴィッチの主著は『戦争は女の顔をしていない』。第二次世界大戦に従軍した500人以上の女性に話を聞いた大著。これは本当に心を打たれる本。今年に入って、小梅けいとが同書を漫画化した本を出していて、これも積読本の山にある。いつか読もうと思ったけど、そろそろ読もうかと思い始めた。
光が丘のABCマートでランニングシューズを見ていたら、店内音楽でValerie Carter”O-o-Child”が流れてきた。かつてアナログレコードを持っていた名盤を久しぶりに聴き、SpotifyでValerie Carterをランダム再生した。すると、なぜかBen Sidranのことを思い出し、こちらもランダム再生して、名盤『The Doctor Is In』を聴く。ジャズやR&B、ソウルをクロスオーバーさせる音楽は、今では当たり前になったけど、Ben Sidranこそ、先駆者だったのではないかと思った。FKJもTom Mischも、Ben Sidranの後輩と言えるのかもしれない。
友人たちと焼肉を食べた後、デニーズでだべっていたら、萌え文化の話になった。「萌える」という感覚を持っていない自分の疑問に対し、萌え文化に多少理解のある友人2人に質問を浴びせ、いろいろ解説してもらったものの、結局まったく理解できなかった。試しにNetflixで『らき☆すた』という作品を見てみた。正直、キモッ!としか思えない。美少女アニメを愛する男を普段から白い目で見ている自分の偏見は、友人たちの解説をもってしても覆らなかった。美少女アニメを見る暇があったら、ほかにすることなんていくらでもあると思うんだが。とにかく、自分とは一生縁のない世界だということだけはよくわかった。
8月28日
しばらく中断していたマッドメンの鑑賞を再開し、シーズン1の10話から13話まで見て、やっとシーズン1をコンプリート。噂に違わぬ最高のドラマだった。シーズン2も楽しみ。それにしても字幕に誤植が多すぎる。シーズン1だけで30か所以上もの誤植を見つけた。DVDがリリースされた頃からこうなのか、アマプラの配信映像だからなのかわからないが、とにかく字幕のクオリティが著しく悪い。
用事があって池袋まで行った際、ランニング用のスポーツウェアを買おうと思って入ったSOPH.で、Heavy D & The Boyz"Now That We Found Love"を耳にして、帰りの電車の中で『Blue Funk』をアルバム通して聴いた。やっぱ90年代前半のヒップホップは最高。
8月29日
渋谷のレコード屋「Coco-isle Music Market」でJah9『Note To Self』というアルバムを知り、レコードを買わずに店を出てSpotifyで聴いたところ、これがなかなかかっこいい。
幡ヶ谷の居酒屋「兆治」で刺身と日本酒を堪能し、駅近くのビストロ「will o wisp」でシャーベットを食べた帰り、NiiaがインスタのストーリーズでシェアしていたGnarls Barkley『Live From Soho』を聴いた。大ヒット曲"Crazy"しか聴いたことなかったけど、こんなにかっこいいミュージシャンだったとは。
8月30日
この日はいくつか用事を済ませ、ホテルへ帰った後に大浴場で汗を流して部屋へ戻ったら寝てしまった。外が暑いせいで集中力を奪われてしまい、映画も音楽も本も堪能するエネルギーをはぎ取られていく。昼間の外出はほどほどにしないといけない。
8月31日
安倍晋三が総理を辞任する報道が出てから数日が経ち、相変わらずネット上の議論はレベルが低くて、特にSNS上では、便所の落書きレベルと言われた2ちゃんねると何ら変わらない下劣な言葉の応酬が繰り返されているようだった。ネトウヨが安倍を持ち上げる投稿を繰り返しているとの報道を見て、奴隷根性の抜けない連中の多さに辟易した。そこで思い出したのが大杉栄『奴隷根性論』。青空文庫で久しぶりに読んでみると、現代人にも参考になる言葉が並んでいる。
「奴隷は常に駄獣や家畜と同じように取扱われる。仕事のできる間は食わしても置くが、病気か不具にでもなれば、容赦もなく捨てて顧みない。少しでも主人の気に触れれば、すぐさま殺されてしまう。(中略)けれども彼等奴隷は、この残酷な主人の行いをもあえて無理とは思わず、ただ自分はそう取扱わるべき運命のものとばかりあきらめている」
「奴隷のこの絶対的服従は、彼等をしていわゆる奴隷根性の卑劣に陥らしむるとともに、また一般の道徳の上にもはなはだしき頽敗を帰さしめた。一体人が道徳的に完成せられるのは、これを消極的に言えば、他人を害するようなそして自分を堕落さすような行為を、ほとんど本能的に避ける徳性を得ることにある」
「かくして社会の中間にあるものは、弱者を虐遇することに馴れると同時に、また強者に対しては自ら奴隷の役目を演ずることに馴れた。小主人は自らの奴隷の前に傲慢なるとともに、大主人の前には自らまったく奴隷の態度を学んだ。強者に対する盲目の絶対の服従、これが奴隷制度の生んだ一大道徳律である」
「野蛮人のこの四這い的奴隷根性を生んだのは、もとより主人に対する奴隷の恐怖であった。けれどもやがてこの恐怖心に、さらに他の道徳的要素が加わって来た。すなわち馴れるに従ってだんだんこの四這い的行為が苦痛でなくなって、かえってそこにある愉快を見出すようになり、ついに宗教的崇拝ともいうべき尊敬の念に変ってしまった。本来人間の脳髄は、生物学的にそうなる性質のあるものである」
およそ100年前から日本人の習性は変わっていないかもしれない。

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編集者。1982年生まれ。思いつきでたまに書きます。