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気象病外来へいってきました

先日ついに気になっていた気象病外来を受診してきました。

近年メディアでもよく耳にしたり目にしたりすることが増えた”気象病”。低気圧の接近など、急な気圧・気温の変化によって頭痛やめまい、耳鳴りなどの症状が出る状態のことを呼ぶ言葉ですが、未だ医学的に正式な病名と認められてはいないそうです。最近では気圧の変化から不調の予想をするアプリが登場したり、天気痛を抑える漢方薬が市販されるようになりました。

幼い頃から小児科で自律神経失調症と診断され半夏白朮天麻湯を服用し、中学生〜高校生の頃には一家で漢方外来にかかっていた私は、日頃から立ちくらみや頭痛が出ることが多く、社会人になってからはめまいも頻発するようになっていました。例に漏れず、天気の変化でもその症状は増し、前職の頃から日常生活に支障を来すようになっていました。

前職は典型的なブラック企業だったので、私が朝定時に起きられず昼ごろに出勤して、終電間近に退勤する生活を約1年間続けていても不思議なことにクビにはならず、このままだとずっとこんな苦しい生活が続いてしまう…という不安だけが募る一方でした。そんな状況を打破したい一心で、”医師の診断書という力を借りて退職してやる”と動き出したのが、社会人になって3年目の夏でした。

まず結論から言うと、天気の変化で何かしら身体に不調が出る自覚がある人は、真っ先に気象病外来にかかることをお勧めします

と言いますのも、気象病外来を受診してみて私が何よりスッキリしたのが、この身体の不調がどのような理屈で起きているのか、ということについて納得のいく説明を受けられたからです。気象病の原因は、自律神経の乱れにあるというのはもはや常識になりつつありますが、その自律神経の乱れがどのような原理で起こるのか、説明してくれる先生に出会ったのは気象病外来が初めてでした。

私の場合は次のような過程を経て、気象病外来へ辿りつきました。以下にそれぞれの受診についての所感を参考までにまとめておきたいと思います。

脳神経外科→耳鼻科→心療内科→(再就職&再度休職&復職)→気象病外来

(初めに1回だけ寄ってみた脳神経外科では特に異常も見られず、原因についてもはっきりとした説明を受けられないまま何となく偏頭痛持ちだから…という理由だけで薬を処方されて終わったので省略します。)

◆耳鼻科

特に耐えられなかったのがめまいの症状だったので、私がまず駆け込んだのは耳鼻科でした。そこで耳の聞こえをチェックする検査などを入念にしてもらい、左側の聞こえが少々悪いことから”メニエール病”の疑いがあるとの診断を受けました。但し、そこまではっきり異常と言えるほどの数値ではなく、少し値が低い程度のものだったので、耳の問題だけでなく心因性のものもあるだろう…とのことでした。私が通っている耳鼻科の先生は、江戸っ子気質のチャキチャキした若い女医さんで、物事をハッキリわかりやすく言ってくれるので、原因がわからないとモヤモヤしてしまう性格の私には非常にありがたい先生です。女性特有の悩み(PMSや生理中には痛みが酷くなる…など)もよくわかってくれるので、相談もしやすく受診した後はいつも心が軽くなります。

ここで処方されたのは、内耳の水はけを良くするイソバイド(これは飲むと余計車酔いしたような症状が出るため先生に報告後少しだけでやめました。あとクソまずいです)、学生の頃漢方外来でも処方された苓桂朮甘湯とめまいと言えばコレとも言われる五苓散、そして酔い止めでおなじみのトラベルミンです。

◆心療内科

耳鼻科では、長く定期的に通っているならともかく、診断書欲しさだけの人間に休職や退職を促す診断書を出すのは難しい(よくよく考えなくとも当たり前のことですが…)という説明を受け、心因性のめまいの可能性もあることから、耳鼻科の先生に勧められた心療内科に通ってみることにしました。そこは都心近くの病院であるためか、はたまた産業医としても活躍されている先生であるためか、待合室ではスーツを着たサラリーマンらしき方々を見かけることが多いです。この病院にかかり始めた頃は職場の人間関係と業務量の多さ、クライアントとの板挟みなどなど…悩みが尽きず、常に暗い気持ちで布団にこもって出たくない日もあったため、めまいなどの身体症状よりも心の症状を和らげる方向優先で診察を進めることになりました。今も定期的に通っており、休職・退職・再就職・再休職・復職…と、いろいろなタイミングで前向きになれるようサポートしてもらっています。最近は、私の性格傾向的に、常に受け身で、人と対面して話すことに苦手意識があるので、「アサーティブな会話を心がけ、実践してみるように」というアドバイスもいただきました。

ここで処方された薬は、眠りが浅い症状への対処にメイラックスを、そして日々の不安症状改善のためにレクサプロ(SSRI)→途中からサインバルタ(SNRI)に切り替え現在も服用中です。

◆気象病外来

さて、ここまで2つの病院にかかってきた私ですが、心療内科の先生のおかげで不安や焦りなど心因性の症状は治ってきたものの、めまいは天気によって襲ってくることに変わりありませんでした。耳鼻科で処方されてから飲み続けている五苓散のおかげか、気圧の変化が激しい時に頭が破裂しそうになる症状は出なくなりました。それでも、朝起きると目が回る、そもそも起きられない、疲れやすい、などの症状が緩和せず、今度の会社は勤怠もちゃんと厳しくみてくれるところなのでついにイエローカードが出るほどにまでなってしまいました。そこで意を決してずっと気になっていた気象病外来にかかることを決めたのです。

気象病外来専用の問診票は、ほぼチェックマークで埋まりました。(頭痛、めまい、倦怠感、肩こり、首こり…など)

まず初めに、問診票を元に先生からいくつか質問があり、めまいがあることから立って目を開けた状態と目を閉じた状態でのバランス感覚を確認し、肩や首、顔面などの凝りの状態を触診でみていただきました。元々マッサージなどに定期的に通っておらず体はガチガチだったんですが…案の定コレはひどいと言われるほどの状態で、まず気象病の症状が起きる理屈について説明を受けました。

”自律神経の乱れ”という言い方がありますが、そもそも自律神経とは主に体を活発にするよう調節する交感神経と逆にリラックスさせるように働く副交感神経の二種類の神経のことを指します。そして神経というものは、血液やリンパ液のような液体の流動的なものではなく、血管と同じように全身に渡っているものです。これが”乱れる”…というよりも、二種類の自律神経——交感神経と副交感神経の働きのバランスが崩れている状態のことを一般的に”自律神経が乱れている状態”と呼んでいます。自律神経の働きを乱す原因として挙げられる代表的なものは”肩こり”です。肩や首の筋肉の凝りによって、そこを通る自律神経が圧迫されている状態がよろしくないとのことでした。

さらに詳しい説明を受けるために、首・肩まわりと腰まわりのレントゲン写真を正面と横向きの2パターンずつ撮ってもらいました。その結果わかったのは、まずとにかく、私は姿勢が悪いということです。

人間の骨格は、背骨を形成する椎骨が27〜28個ありそれが連なってできあがっていますが、正しい姿勢では、横から見るとまず首が後ろに反るような状態になり、腰のあたりでS字を描いて骨盤へと至ります。それが私の場合、頭ごと首から前へ突き出すようになっていたのです。(いわゆるストレートネックというものです。)そして正面から見てみると、本来まっすぐ伸びているはずの背骨が鎖骨のあたりで右に曲がり鎖骨そのものにも傾きが出ていました。

この骨格の歪み姿勢の悪さの何が悪いのかと言うと、首の上に乗っている頭部(成人女性で約4キロほどになるそうです)を支えるバランスがうまく取れないことが問題なのです。最初に目を開けた状態・閉じた状態でのバランス感覚を見ていただきましたが、その時点で、私はすでに目を閉じた状態でふらふらと揺れていました。これは、目を開けている時には、本来重力に逆らってバランスをとる器官である内耳が、目(視神経)からの視覚情報を頼りに無理に補正をかけているからで、目を閉じれば当然視覚の情報が入らずバランスが崩れるのだそうです。これが気象病で起こるめまいの原因なのでした。

そこに天気がどう関係してくるのかと言うと、内耳がバランスをとることには体内のリンパ液の浸透圧が関わってきます。(簡単に言うと体内で、内耳の外側と内側の圧が一定になるよう、リンパ液の差を調整することです。)これが気圧によって体外からも圧力がかかればその分内耳もまた無理をします。これが気象病の正体。

今回はその理屈を聞き、私の場合は、長年メンテナンスをしていない身体ゆえに、まずその凝りをどうにかすることになりました。

肩こりへの対処としてスミルスチック(塗り薬)とクロルフェネシンカルバミン酸エステル錠(錠剤)、めまいへの対処としてトラベルミンを症状が酷い時だけではなく夕食後1錠、処方されました。

その他に、耳を引っ張ったりツボを押したりする体操や、顔まわり・肩周りの筋肉をほぐすストレッチも教えていただき、また次回診察してもらう予定です。

最後に

今回気象病外来を受診してスッキリしたのは、長年悩まされてきためまいと天気の悪さによる体の不調が、原因から対処することで改善されるかもしれない…ということでした。めまいとともに耳鳴りがあるから耳鼻科、めまいの症状の原因は耳だから耳鼻科…と思い込んでいましたが、そもそもその耳の不調を生み出す原因が他にあったのです。実際、肩こりの薬を塗布したり服用し始めて数日、気持ち体が楽になってきたような気がします。

とは言え梅雨時の不安定な時期。長いことこのままで固定されてしまった骨格がすぐに戻るのは難しいことなので、毎日気づいた時にストレッチをし、姿勢を正し、規則正しい生活を心がける…当たり前のことを当たり前にできるような心持ちが大事なのだと改めて気付きました。(正直社畜だった頃は全然そんなこと気にしていられなかったので、会社に通えていない今も少し困ってはいますが…)できなくても、やれることから。原因がわかってスッキリした今、気持ちだけは前向きになれたように思います。

今後進展があればまたまとめようと思います。

(※この記事内で触れている医学的な要素については、先生のお話を自分なりに再度調べてまとめ直したものです。門外漢の人間が書いた内容なので、鵜呑みにはしないようにしてください…)

いつか在宅で、文章や絵を描いて仕事をしていきたいと思っています。いただいたサポートはそのための活動費にする予定です。