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100年前のレシピ本を訳してみます31・C. 野菜とジャガイモの料理 I.野菜③
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100年前のレシピ本を訳してみます31・C. 野菜とジャガイモの料理 I.野菜③

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こんにちは!野菜料理の続きです。今回は31番~45番です。豆類などが出て来ます。

31.若いエンドウ豆

 水にバターをたっぷり入れて沸かし、さやから取り出したエンドウ豆を少しずつ入れていき、その都度お湯を沸騰させます。エンドウ豆は大量のお湯で手早く茹でなくてはいけません。茹で時間が長すぎる、あるいは茹でた後お湯にそのままずっと浸けておくと、味が損なわれてしまいます。盛り付ける直前に塩を加えます、ただエンドウ豆は塩気がつきやすいので控えめにします。さらに豆に甘みが足りない場合は砂糖も少し加え、パセリのみじん切りと、水で溶いたデンプンか粉をナイフの先ほどの量で少しずつ加え混ぜます。あるいはこうして粉を混ぜ入れる代わりに、エンドウ豆が茹で上がったら、粉とバターを捏ねて小さな団子を作ってエンドウ豆の鍋に加えます。この団子が徐々に溶けてとろみをつけ、エンドウ豆の味をよくします。最後にキノコか丸パンの団子(Q章)をエンドウ豆の鍋に入れて茹でてもよいです。
 エンドウ豆を、ニンジンの2つ目のレシピの通りに調理することもできます。または塩を入れた湯で茹でた後、クリームソースに入れて温めるか、新鮮なバターで炒めパセリを振りかけるのもよいです。-高級料理ではザリガニのハサミや詰め物をしたザリガニの殻にエンドウ豆を添えます。シュチェチンでは、ザリガニ10匹の肉を取り出して切り、最初の方法で調理したエンドウ豆に混ぜます。丸パンの団子を詰めたザリガニの殻、尻尾やハサミを器の縁に盛り付けます。
 付け合せとして:焼いた鶏(ひな鳥)、子牛のあばら肉、流行のクルステルン、肉団子、ゾマーヴルスト、生ハム、舌(温・冷)、スモークサーモン、焼いた鰻、舌平目、その他カリッと焼いた魚。

アドバイス:エンドウ豆の美味しさやよい香りを保ちたい場合は、摘みたてのものを使い、とりわけ茹でる前にさやから出し、決して前日の晩などに行ってはいけません。
 よく知られる品種は多数ありますが、イギリスのMarkerbseまたはRittererbseが特におすすめで、甘みのある心地よい味を持ち、すぐに火が通って柔らかくなり、他のエンドウ豆と異なり茹でた後すぐしっかりした味がつき、類をみないほど柔らかさを長く保ち、固くなったように見えてもまだ調理ができるからです。

エンドウ豆(グリーンピース)は今でもドイツでよく食べます。スープにもします。最後の「MarkerbseまたはRittererbse」に相当する日本語が分かりませんでした。Markerbseはサッカロースを多く含み、甘みの豊富な品種だそうです。Rittererbseはドイツ語のソースは見つかりませんでしたが、Ritter=騎士でイギリスの品種らしいので、knight peaと検索したらでてきました。さやが大きく、収量も多い品種だそうです。


32.さやえんどう

 小さいサラダ用のさやえんどうがよいです、さやが大きなものは味が劣ります。さやえんどうは豆をさやから出す必要はなく、繊維だけ取り除きます。それをよく洗い、沸騰したお湯にバターと塩を加え、さやえんどうを入れて茹で、最後にパセリのみじん切りと水で溶いたデンプンを入れて火を通します。
 調理時間は1~1.25時間です。
 燻製肉、焼きソーセージ、焼いたレバー、焼き魚などがよく合います。


33.会食用のいろいろ野菜

 鳩か鶏を4等分に切り、塩を入れたお湯で茹でてアクを取り、バターひとかけらとメース、ルーを入れてゆっくり煮込みます。その間にたくさんのアスパラガスの皮を剥いて2か所切り、カリフラワーも小房に切り分け、両方とも塩を入れたお湯で半茹でにします。ザルにあけて湯を切り、鳩に加えて完全に茹でます。ただし煮崩れしないよう気を付けます。次にザリガニを熱湯で15分茹で、殻を割り尻尾とハサミの殻でA章14番に従ってザリガニバターを作ります。尻尾の身はとっておきます。ハサミの肉は細かく刻み、バターと白パンのパン粉少々、クリーム大さじ4杯、卵1個、ナツメグ少々、塩を加えて混ぜ、ファルスを作ります。これを殻に詰め、小さな肉あるいはパンの団子とともに肉のブイヨンに入れて火を通します。鳩と野菜を器に盛り、ソースは卵黄数個を加え混ぜ、レモン汁少々を垂らし、ザリガニのハサミと団子を入れ、器の縁に殻を美しく盛り、ザリガニバターをその上に添えます。
 この野菜料理はザリガニなしでも大変おすすめです。調理時間はたっぷり2時間を見積もっておきましょう。


34.カブ


 カブは大きめの角切りか、好みで細切りにし、若干苦みがあるので沸騰したお湯で湯がき、煮立ったブイヨンかお湯少々に植物油とともに入れて火にかけ、後から塩を加え柔らかく茹でます。大きなまたはそれより小さいナイフの刃先ほどのモンダミーンを水で溶いたものを加え、あるいは脇の方から粉をブイヨンの中に振り入れ、バターをいくらかその上に入れ、ブイヨンを使わない場合は、リービッヒの肉エキスをナイフの先ほど加えます。カブを盛り付けたらナツメグを振りかけ、茹でたジャガイモを添えます。
 ジャガイモはカブと一緒に茹でてもよいです、カブが半分ほど煮えたらジャガイモを加えます。
 上品な料理では、カブを、塩を入れたお湯で数分間茹でたら、テルトウカブと全く同じように、茶色くまたは白く蒸し煮にします。
 豚か雄羊のあばら肉、焼きソーセージを合わせます。

このカブは原文では「Mairüben」(Mai=5月、Rüben=カブ)と言います。ただこれも日本語に相当する語はなく、学名Brassica rapa subsp. rapa var. majalisといい、画像を見ても日本で普通に流通しているカブと何ら変わりありません。

画像1

           Wikipedia: Turnip-5743_-_Hans_Braxmeier


35.そら豆


 豆は柔らかいのを、またはあまり若すぎないものを取ります。黄緑色の芽を取り除き、豆は洗わずにたっぷりの熱湯に入れて茹でます。その際、1番のように少しだけ水を注ぐように気を付け、あるいは牛乳と水を半々にして、丁寧にアクを取りながら蓋をせずにきちんと柔らかくなるまで火を通します。半分ほど火が通ったところで、お湯に塩を入れます。しっかり柔らかくなったら、陶製の水切りボウルにあけ(ブリキの物は豆に好ましくない色が付いてしまいます)、熱湯をかけて素早く蓋をします。こうすると豆の白さを保てます。熱々に保つことに注意しましょう。盛り付ける前にたっぷりのバターとパセリ、キダチハッカ(セイボリー)のみじん切りを混ぜ入れるか、盛り付ける時に溶かしバターとパセリを熱々の状態で注ぎかける、あるいはそれら両方を添えます。
調理時間は1時間です。
加熱ハム、頭半分、豚あばら肉、燻製したばらベーコンが人気の付け合わせです。

「陶製の水切りボウル」はこんな感じのものです。ボウルよりもっといい言葉があれば差替えようと思います。

 キダチハッカ(セイボリー)はドイツ語でBohnenkraut、Bohne(n)=豆、のKraut=ここではハーブということで、豆料理によく使うハーブです。
 一番最後の分の「頭半分」はよく分からないところで、原文ではhalber Kopfで「半分の頭」なのですが、何の頭なのか書いてありませんし、もしかするとサラダ菜を意味するKopfsalatのことか、あるいはその前のハムを一頭と考え、その半分ていうこと?など考えましたが・・ドイツ人にいつか聞いてみます。


36.そら豆の他の調理法


 燻製ベーコンをサイコロに切り、ゆっくりと炒めて粉をふり入れ、きつね色に炒めます。熱湯、バターひとかけら、塩を加え、柔らかく茹で水気を切ったそら豆を、好みでパセリのみじん切り、またはサマーセイボリーを加え、クールブイヨンで煮崩れないようさっと火を通します。ここでもベーコンスライス(15番カブの葉参照)を黄色に炒め、油脂を溶かしてそら豆を入れて温め、ベーコンスライスを入れます。
 あるいは脂のすくないベーコンを茹で、脂を落とし、別の鍋で加熱したら小麦粉を入れて炒め、ベーコンの茹で汁を注いで混ぜ、上記のように豆を入れて温め、ベーコンと一緒に盛り付けます。
 そら豆が古く皮が硬い場合は、まず半分ほど茹でてから皮を剥き、上のいずれかの方法で調理します。

サマーセイボリー(summer savory)はドイツ語でSommer-Bohnenkraut、別名の一つにKölleというのがありますが、原文ではこちらが使われています。セイボリーの仲間でもよく使われるもののようです。


37.タマチシャ(サラダ菜)の蒸し煮

 このレシピには固めのサラダ菜を使います。きれいにし、深鍋に入れ十分な水で丁寧に洗い、砂を落とします。次にナトリウムを少々入れたっぷりの熱湯を沸かし、サラダ菜を柔らかく茹で、ザルに取ります。水に1時間浸けて苦みを取り除きます。水気を切り、みじん切りにします。潰したラスクか、良質の油脂で小麦を炒め、熱湯少々、バターひとかけら、マギー調味料10滴、塩、ナツメグを加え、サラダ菜を入れて火を通します。
 付け合せ:冷ました子牛のローストで作ったソーセージ、焼いたレバー、コートレット、腎臓のスライス、焼いた魚、肉のオムレツ、これらに類似したもの

サラダ菜を茹でて調理するのは日本では馴染みがないですし、さらにみじん切りにして火を通すというのもあまり聞きませんね(レタスを炒めるというのはありましたか)。
ざっと検索すると、こんな風に調理するのが多いようです。


38.日常の食卓のための野菜と精麦の煮込み

 小さく切ったコールラビ、根菜、根セロリ、パセリの根、インゲン豆、数等分した玉ねぎ数個を、スープ用油脂を入れた水に入れて火にかけ、塩と顆粒調味料を入れ、半分ほど火を通す。この野菜のブイヨンであらかじめ水でふやかし半分ほど蒸した精麦を入れて完全に柔らかくなるまで茹で、盛り付けの前に小さい角切りにしてきつね色に炒めたベーコンを混ぜ込み、野菜を目玉焼き数個と一緒に盛り、燻製肉、豚のあばら肉か蒸した牛肉を添えます。


39.地上に実るコールラビ

 コールラビは皮を剥いて洗い、固い部分は切り取って細切りかスライスにします。塩を入れた熱湯で柔らかく茹でます。植物油脂と粉を合わせて炒め、好みで牛乳かビーフブイヨン、あるいは両方を注ぎ入れ、パセリのみじん切りかナツメグを加え、コールラビを入れて蒸し煮します。-コールラビが柔らかくなったら、心葉を細かく刻んで単独で茹で、バターと肉ブイヨンと混ぜ合わせ、カリフラワーのように弱火で煮て盛り付けたコールラビをその周りにきれいに並べます。その他ソーセージを周りに並べてもよいし、コートレット、モモ、ルーラーデ、肉団子もよいです。調理時間は1時間半です。
 追記:青いコールラビは白いものより良いです。マイルドで白いもののようにすぐにむっとするようなにおいがありません。


40.詰め物入りコールラビ

 コールラビは丸く皮を剥き、軽く塩を入れた湯で半分ほど茹でます。スライスを一枚切り、残りを器のようにくり抜いて、その中においしい牛肉のファルスを詰め、スライスで蓋をします。蓋を上にして糸で縛り、平たい鍋に並べます。温めた肉ブイヨンを注ぎ、バターを多めに入れ、塩が足りなければ塩を加え、コールラビを煮ます。盛り付けの際、気を付けながら器に移し、糸を切って取り外し、ジャガイモの粉かデンプンを溶いてブイヨンにとろみをつけ、コールラビの上からかけます。
 この料理の調理時間は2時間かかります。

41.型焼きしたコールラビ

 皮を剥いた柔らかいコールラビをスライスにし、塩を入れた湯で10分茹でます。皿1杯分の小さなジャガイモも皮を剥き、茹でてコールラビと合わせたら、バターと肉ブイヨンを少し加え、柔らかく蒸し煮にします。耐熱性のある炻器の型にバターを塗り、まず野菜を入れたらその上に生ハムを敷き、それを繰り返して4分の3ほどまで入れます。卵黄を3個にクリームを少し加えて攪拌し、型の中身に注ぎます。バターをちぎって丸パンのパン粉と一緒に散らし、弱めの火で30分焼きます。


42.カリフラワー

カリフラワーは葉柄を取り除き、ナイフの先を使って小さな葉をこそげ取ったら、花蕾をできるだけ傷つけないよう小房に切り分け、塩水につけて幼虫その他の虫を取り除きます。その後塩、バター、レモン汁を入れたやや沸騰したお湯に入れて柔らかくなりすぎないように茹でます。水切り籠を内蔵した鍋で蒸せば、崩れることなくすぐれた味も逃がさずに加熱できます。
 カリフラワーを花蕾を上にして合う器に並べ、ドイツ風にとろみのあるザリガニのソース、クリームソースまたは酸味のある卵ソースをかけてもよいし、また一方では英国風に溶かしバターのみをかけ、パンをおろしてふりかけ、ナツメグをまぶすだけでもよいです。
 ソーセージ、牛タン、生ハム、焼いたひな鳥、詰め物をした子牛の胸肉、スモークサーモン、モモ、流行のクルステルンまたは腎臓のクルステルン、豚肉のソーセージを付けあわせにします。

43.パルメザンチーズをかけたカリフラワー

 カリフラワーを茹でたら器にきれいに並べ、片手いっぱいほどのパルメザンチーズを加えたかなり濃いクリームソースをかけ、上からさらにパルメザンチーズをおろしてカリフラワーが覆われるくらいふりかけます。溶かしバターをまぶし、高温のオーブンでよい焼き色がつくまで焼きます。
 別の調理法は、茹でたカリフラワーを小房に切り分け、とろみのある卵ソースをからめ、おろしたパンをまぶして油できつね色に揚げます。
 会食用のカリフラワーを用意する時は、茹でたカリフラワーを皿の真ん中に置き、(カリフラワーの茹で汁と肉ブイヨンで炊いた)米を周りに盛ります。酸味を効かせた卵ソースを注ぎ、小さい三日月型パイで飾ります。
 高級な料理ではカリフラワーの代わりに、同じくキャベツ変種のブロッコリの方がよく使われます。ブロッコリの花蕾は、カリフラワーと同じで小房に切り分け、調理します。茎は皮を剥き、切り分けて味の似たアスパラガスのように茹でます。

44.ミラノ風カリフラワー

 見た目のよいカリフラワーを、茎をできるだけ短く切り落とし、塩を入れたお湯で柔らかく茹で、ザルに取って水気を切ります。耐熱性の陶製の器にバターを塗ってパルメザンチーズをおろして散らし、カリフラワーを小房に切り分けて器に入れたら、雄牛の舌を細かく刻んだものを大さじ2杯、同量のマッシュルームのみじん切りを混ぜて振りかけ、トマトピューレ大さじ数杯を混ぜた濃いベシャメルソースをかけて覆います。その表面にパン粉をまぶし、溶かしバターをかけ、パルメザンチーズをおろして振りかけ、温めたオーブンに入れ10分焼きます。

パルメザンチーズをかけるところがミラノ風なのでしょう。料理名を検索すると、レシピサイトのいくつかにレシピが出て来ますが、どれもパルメザンチーズをかけて焼く程度の、材料はシンプルなものばかりです。


45.セロリの煮込み


 きちんと洗った根セロリを4~8等分に切って茹で、根セロリにしっかり味を付け、きつね色のいい色がつくように肉エキスのブイヨンに入れ、バター、塩、ナツメグを加えて弱火で煮込み、仕上げにジャガイモの粉かデンプンでとろみを付けます。
 調理時間は1.5時半です。
 付け合せ:詰め物をした子牛の胸肉、蒸した子牛のあばら肉、フィレ肉、ルーラーデン、焼いた子牛の胸腺、上品なフリカンデル、焼いた雄牛の舌、塩漬けの舌、焼きソーセージ、流行りのクルステルン、あらゆる種類のコートレット
 大きな根セロリはコールラビのように中をくり抜いて詰め物ができます(ただしザリガニのバターは抜きで)し、または軽食として食べることもできます。

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今日はここまで。野菜料理、まだまだ続きます。では


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ドイツの食に関わる仕事です。共訳『ビア・マーグスービールに魅せられた修道士』、著書『ドイツパン大全』(グルマン世界料理本大賞 パン部門優勝)、『ドイツ菓子図鑑』、『フォトエッセイとイラストで楽しむちいさなカタコト*ドイツ語ノート』