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100年前のレシピ本を訳してみます30・C. 野菜とジャガイモの料理 I.野菜②
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100年前のレシピ本を訳してみます30・C. 野菜とジャガイモの料理 I.野菜②

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野菜料理続きます。今回は16~30番です。

16. スベリヒユ

 バターひとかけらを溶かし、潰したラスクかおろした白パンを入れて黄色く炒めます。摘んで洗ったスベリヒユの葉を入れて一緒に炒め、必要量のマギーの固形ブイヨンで取ったブイヨンを注ぎ入れ、生クリームか卵黄1個を溶き入れます。スベリヒユはほうれん草と全く同じように調理できます。調理時間は15分で付け合せにはほうれん草と同じものを添えます。

スベリヒユは私はドイツで知ったのですが、日本でも生育しているんですね。もしかしたら意識せず見たことがあったのかもしれません。栄養が結構あるらしいですね。こちらのリンクに画像がいくつかあります。

17.ローマ風エンダイブ、アスパラガスのサラダ

 人の手で束ねて栽培したエンダイブの内側の葉を選び、黄色いものだけを取り、キャベツやほうれん草のように茹でるか、またはフランスで一般的な以下の方法もよいです。黄色い葉を茎と一緒に湯がき、葉にバターを塗って塩と胡椒を振り、茎のところをまとめて縛ります。器にベーコン、ニンジン、玉ねぎのスライスを入れたらエンダイブの葉をその上に敷き、ベーコンのスライスを乗せ、タイム、エストラゴン、パセリを加え、肉のブイヨンを注ぎます。これをじっくり2時間蒸し煮にし、上品なソースをかけ、肉団子を添えて盛り付けます。太い茎を美味しく調理するには、さらに大きく成長させ、花のつぼみが出る前に使います。肉厚の茎の皮を剥いてスライスし、塩を入れたお湯で茹で、アスパラガスのソース(R章)か、淡い色のルーとサワークリームを合わせナツメグで味付けしたソースで温めて供します。

このレシピの名前は確かに後半が「アスパラガスのサラダ」となっているのですが、「アスパラガスのソース」の間違いではないかしら、とレシピを読むと思えてきます。
「ローマ風」エンダイブとはそういう名前の品種なのか、この料理の何かがローマ風なのか分かりかねますが、エンダイブにあたるドイツ語はEndivie
なのですが、別名がいろいろあり、このレシピではBindsalatと書かれています。Bindは縛る、結ぶという意味の動詞bindenから来ています。レシピにある通り、束ねてつまり糸などで縛って育てることからついた名前です。

18. フダンソウ、またはローマ風キャベツ

 多数ある色のフダンソウのうち、白っぽい緑の葉が一番よいです。若く柔らかい葉はほうれん草のように調理し、レモン汁を何度か加え、茹でた後は水にしばらくさらしておきます。茎は指半分ほどの長さに切って柔らかく茹で、アスパラガスのソースで和え、器に王冠のように真ん中を空けて盛り付けます。
 調理時間は1時間です。付け合せはほうれん草やカリフラワーと同じ物が合います。

最近では日本でもよく見かけますね。スイスチャードという英名の方が馴染みがあるでしょうか。

19. アスパラガスの調理

 アスパラガスは穂先から根元まで薄く皮を剥き、根元が硬いところは切り落とします。皮の剥き方は次のようにするとさらによいです。先の鋭い刃物で根元の厚い皮の下を刺して突き上げるようにしてぐるりと皮を剥くようにすると一度で剥けます。何度が練習すれば手早く皮を剥けるようになります。次にアスパラガスを洗い、束ねて縛り(穂先をそろえ、根元を切り揃えます)、塩を入れた湯で穂先が潰れない程度に茹でます。とても便利なのはボルドーロ・アルボンディの調理器具を使うことで、それを使えば束ねる必要はなく、茹でる時も崩れたりせず、蓋の圧力を利用して鍋から取り出し温めた野菜用の器に移すことができます。砂糖をひとつまみ、ハシバミの実ほどのバターを茹でるお湯に入れると、アスパラガスによい下味がつくので大変お勧めです。根元の方が柔らかくなったら(通常アスパラガスの茹で時間は穂先の方が15分、全体では30~45分です)、アスパラガスの束を温めた器に入れて縛り糸を切り取り、きれいに盛り付けます。
  アスパラガスにはアスパラガスソース(R章)か溶かしバターをかけます。固ゆで卵をおろしたものを加えることもよくあります。南ドイツではアスパラガスにクリームソースを添えるのが大変人気があり、英国ではアスパラガスをトーストしたパンにのせ、卵黄3個を混ぜ合わせた溶かしバターをかけ、時にはパルメザンチーズをおろしたものを散らし、目玉焼きを乗せます。
 アスパラガスに合う付け合せは、あばら肉、焼いた鶏肉、牛モモのマル、スクランブルエッグ、生ハム、スモークサーモン、セルヴェラートヴルストです。
 アスパラガスは水(湯)に長く浸したままにしないよう気を付けましょう。

「ボルドーロ・アルボンディの調理器具」が気になりますよね。この下のリンクに画像があります。アスパラガスをまとめて挟んでそのまま茹でて取り出し、皿に盛りつけられる、いわば大きなクリップのような道具です。
原書には、Bordolo-Abondi(ボルドーロ・アボンディ)となっていたので、見つけるのにちょっと手間がかかりました。
こうした古い情報しか出てこないので、このメーカーは今はもうないものと思います。


20.蒸したアスパラガス


 皮を剥いたアスパラガスを2回切って分けます。穂先はとっておき、残りの部分は苦みがあるので、半分ほど火が通るくらいに湯がきます。肉ブイヨンに多めのバターとメース少々、塩少々を入れて沸かし、アスパラガスを入れてゆっくり柔らかくなるまで火を通します。盛り付ける前に潰したラスクを加え、丸パンの団子をきれいに添え、しっかりとろみをつけたブイヨンをかけます。
 付け合せはスクランブルエッグ以外では上のレシピの通りです。
 とてもお薦めできるのは、アスパラガスの穂先だけの調理です。少量の肉ブイヨンに塩とバターを入れ、アスパラガスの穂先をその中で茹で、同時にベシャメルソース(R章)を、アスパラガスの茹でブイヨンを加えるだけで完成するところまで準備します。温めた器に茹でたアスパラガスの穂先を盛り、熱湯を入れた器の上に置きます。すぐにソースをかけ、アスパラガスの周りに柔らかめに茹でた卵を刻んで散らし、塩漬けの舌を並べます。

21.アスパラガスと若いニンジン

 若いニンジンを好みの量を塩でこすり、きれいに洗って1~2度切り分けます。これを、同じように切ったアスパラガスと一緒に上のレシピのように茹でて調理しますが、卵黄は混ぜません。

22.皇帝のアスパラガス

 アスパラガスを19番のように柔らかく茹でます。次にライン地方のワイン500ml、卵黄8個、バター100g、塩少々と砂糖ひとつまみを合わせて湯煎にかけて攪拌しどろっとしたソースを作ります。茹でたアスパラガスを温めた器に盛り、ソースを添えます。

23.新しいアスパラガス料理(アスパラガスが安価な時期のみお勧めです)

 良質のアスパラガスを穂先から8㎝のところで切り、根元の方は、生ハム少々とパセリの根少しを入れた濃いめの肉ブイヨンで、濾せるくらい柔らかく茹で、卵大の新鮮なバターと卵黄2個を加え混ぜます。穂先の方も柔らかく茹で、水気を切ったら粥状に煮込んだアスパラガスの根元と合わせ、バターをちぎって上に乗せ、丸パンをおろして散らし、熱したお玉で軽く焼き付けます。このアスパラガス料理は大変美味で、小さい子牛のリブと合わせて供します。

これはどの辺が「新しい」のかよく分かりません。上のレシピもそうですが、アスパラガスの量が明記されていないので、量によってできあがりの質感が変わりそうですね。

24.アスパラガスパン(前菜にうってつけの一品)

 皮を剥いたアスパラガスの穂先だけを使います。塩を入れた湯で湯がき、パセリのみじん切りを入れた子牛のブイヨンをルーでとろみを付けてソースを作り、アスパラガスの穂先を入れて火を通し、卵黄数個をクリームで溶いたものを加え混ぜます。小さな牛乳パンの端を切り取って中をくり抜き、アスパラガスのフリカッセを入れて、切り取ったパンの端で蓋をしてきっちり閉じ、溶かしバターで茶色く焼きます。残ったアスパラガスの根元の方は、リービッヒの肉エキスを少々入れた穂先を茹でたお湯で茹でて、美味しいスープを作れます。

「アスパラガスパン」というと、アスパラガスを生地に入れて焼いたパンのようなイメージを持たれるかなと思ったのですが、とりあえず原書のSpargelbrötchenを直訳しておきました。フリカッセと書いてあるので、アスパラガスのフリカッセパン、とかの方が分かりやすそうですね。

25.アスパラガス卵

 折れてしまったもろいアスパラガスは塩を入れた湯で茹で、色の薄いルーを作り、アスパラガスの茹で汁を加えてソースにしてナツメグとマギー調味料で味付けし、そこへアスパラガスを入れて温め、全卵6個を溶いてアスパラガスに混ぜ入れ、卵に火が通るまで熱いコンロにかけておきます。アスパラガス卵はこんもり盛り付け、加熱ハムのみじん切りを散らし、周りに小さいローストポテトを並べます。

26. ハマナ(シーケール)

 生育地は浜辺で、イギリス、スウェーデン、フランス、フランドルの海岸に見られますが、今では南ドイツでもたくさん温室栽培されています。ドイツの白キャベツの葉脈のように長く伸びた部分を料理として使います。ハマナはきれいにしたらアスパラガスほどの長さに切り、アスパラガスのように束ねて縛って茹で、どろっとしたバターソースかアスパラガスソースをかけて供します。
 ハマナは、カリフラワーのようにスープにも使えます(B章53番)。茎をサラダにして食べてもよいです。

ドイツ語でMeerkohlあるいはSeekohlといい、意味は「海のキャベツ」です。英語のSeakaleと同じですね。アブラナ科クランべ属の植物で、葉はキャベツというより色や質感がケールに似ています。

Wikipedia CC BY-SA 2.0

27.ラードまたはバターキャベツ

 この収益性の高いキャベツはとても健康でおいしい料理になります。一般的な野菜として栽培するにふさわしい野菜です。
 葉はよく洗い、まな板の上で細かく刻み、柔らかく茹でます。このキャベツのでんぷん質?は、夏は茹でた後ザルにとって水に浸けることで取り除きます。その後穴杓子で強く水分を押し出し、次の2つの方法で調理します。
  熱したバターで粉を炒め、熱湯を混ぜて塩を加え、キャベツを入れてしんなり炒め、盛り付ける時にクリームを少々混ぜ、茹でたジャガイモと好きな肉、例えばハムや燻製肉、焼いたレバー、焼きソーセージ、フリカンデルなどを入れた器を添えます。
 あるいはベーコンを茹でて、その茹で汁でキャベツを茹でるか、または水に脂と塩を入れて沸騰させ、ジャガイモを入れて茹で、茹でたキャベツをその上に乗せます。ジャガイモに火が通ったら、汁気たっぷりに茹で上がった野菜を混ぜます。ジャガイモだけでは十分にとろみがつかなければ、生のジャガイモ1~2個をすりおろして加え混ぜるとこうして調理した野菜をうまくつなぐことができます。
 調理時間は1.5時間です。

まず名前ですが、最初ラードやバターで調理したキャベツだと思ったのですが、どうやらそう呼ばれる種類のキャベツがあるようです。バターキャベツ(Butterkohl)は見つかりました。ちりめんキャベツ(サボイキャベツ)の仲間というか亜種というか、そんな位置づけのようです。下のリンクに写真があります。

4行目の「でんぷん」は?を付けています。原書にはDas Starkeとあるのですが、これが何を意味するのか分かりません。「でんぷん」ならDie Stärkeとなるのですが・・。昔はこう言っていたのでしょうか。

28. ライプツィヒ風ごった煮

 この料理はアスパラガスの時期が一番美味しくできます。以下の旬の野菜を同じ量ずつ用意し別々に茹でます。アスパラガスは塩を入れたお湯で、小さいニンジンは牛肉のブイヨンで、さやえんどうまたはエンドウ豆はバターをひとかけら入れたお湯で、コールラビは塩少々入れたお湯で、カリフラワーも同様に。全て茹で上がったら、カリフラワーが一番上に来るように器に入れ、その間にザリガニのハサミと尻尾を並べます。ザリガニの殻はザリガニの肉と丸パンの団子の生地を混ぜた詰め物を入れ、A章39番にならってアミガサタケを準備します。盛り付けの準備をする間、熱い蒸気にかけた野菜に、生クリームとザリガニソースを半々ずつ卵黄で混ぜ合わせたバターソースをかけ、最後にアミガサタケ、詰め物をしたザリガニの殻、黄色い小さな丸パンの団子を見栄えよく器に入れます。

この料理はドイツ語でLeipziger Allerleiといいます。直訳すると「ライプツィヒのいろんなもののごったまぜ」といった意味になります。言い伝えによればナポレオン戦争の後に発明されたとされ、文豪ゲーテも食べたとか。今でも食べられている料理です。
写真は下をどうぞ。

原文のドイツ語で最初「?」だったのが、ザリガニの殻を表す言葉。ドイツ語でKrebsnaseと言います。Krebs(ザリガニ)のNase(鼻)って何?と思ったら殻のことでした。不勉強でしたね。他にもFelsennaseといえば、岩鼻、つまり岩の突出部という意味になります。

29.若い根菜(ニンジン)

 若いニンジンをお湯でさっと湯がき、冷水にとった後、滑らかできれいな形を損なわないように薄い皮をナイフで剥きます。きれいに洗い、ただ水に浸けっぱなしにしてはいけません。そしてニンジンを砂糖少々、バター、塩少々(塩がきつくなりやすいため)が入った沸騰したお湯に入れ、ブンツラウの鍋で柔らかく茹でます。盛り付ける前にナイフの先ほどの粉を振り入れ、パセリのみじん切りを加えてニンジンを炒めます。
 若いニンジンは最初にバターで10分、鍋を振りながら蒸し煮にします。砂糖、パセリ、塩、薄い色のルーを少々加えて柔らかくなるまで火を通します。盛り付ける際はパセリは取り除きます。調理時間は1時間です。
 付け合せ:様々なあばら肉料理、焼いたフリカンデル、焼いたソーセージ、燻製または塩漬けの舌

30.若い根菜とエンドウ豆

 根菜を上のレシピ通りバターを入れた熱湯に入れ火にかけます。そこにさやから出したエンドウ豆を入れ、それぞれの根菜から半分を取って上のレシピ通りに調理します。盛り付ける直前に、ジャガイモの粉少々でとろみをつけたブイヨンをたっぷり用意し、丸パンの団子をいくつか入れます。

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野菜料理、まだまだ続きます。ちなみにサラダは別の章になるため、ここでは加熱した料理だけです。
ドイツ人も結構野菜食べていることが分かりますでしょうか(笑)

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ドイツの食に関わる仕事です。共訳『ビア・マーグスービールに魅せられた修道士』、著書『ドイツパン大全』(グルマン世界料理本大賞 パン部門優勝)、『ドイツ菓子図鑑』、『フォトエッセイとイラストで楽しむちいさなカタコト*ドイツ語ノート』