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100年前のレシピ本を訳してみます32・C. 野菜とジャガイモの料理 I.野菜④
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100年前のレシピ本を訳してみます32・C. 野菜とジャガイモの料理 I.野菜④

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こんばんは。野菜料理続きます。
今回は51~65番まで。豆や根菜です。

51. 折ったサラダ豆

 前のレシピ通りに繊維を取ったあと、豆を指半分の長さに折ります。クーネロールを熱して粉を入れて炒めたら牛乳を注ぎ、豆を入れて弱火で煮ます。塩を振り、コショウも加え、しっかりとろみのついたソースの中でしばらく煮たら、火から下ろします。豆が崩れないよう気を付けながら、酸味がつく程度に酢あるいはレモン汁を加え混ぜ、ジャガイモと一緒に器に盛ります。
 あるいは茹でた豆を新鮮なバターとパセリのみじん切りを絡めて、48番の玉ねぎを円状に周りに添えてもよいでしょう。

料理名は直訳しました。サラダ豆(Salatbohnen)とは今は言わず、Buschbohneがそれにあたるようですが、これはインゲン豆(の一種)です。

52.切り豆

 この豆は茹でないので、筋を取ったらしっかりと洗うことが大事です。そうしたら細くできるだけ長く切り、熱湯にバター少々、玉ねぎ1個とハム1個と共に入れ煮ます。その後両方を取り出し、炒めた小麦粉を入れて混ぜ、潰した砂糖を小さじ1杯、マギー調味料を小さじ半分、パセリのみじん切り、必要に応じて塩を加えます。茹でたジャガイモを添えます。-調理にはおよそ2時間を要します。
 合わせるものはサラダ豆と同じです。

ドイツ語のSchneide(=切る)bohnen(=豆)をそのまま訳しました。ただ、この料理名、正しくはSchneide- oder Bietsbohneとなっています。Schneidebohneは今でもあるのですが、Bietsbohneがさっぱり見当たりません。Bietという名詞はあるのですが、意味が豆とどうつながるのか分かりません。Schneidebohneで見るとインゲン豆の仲間のようです。

ただこのSchneidebohneにはもう一つあり、特にラインラント風として乳酸発酵させた保存食品のことも指します(下リンク)。なのでSaure Bohnen(酸っぱい豆)とも呼ばれます。
このレシピは発酵させているようではないので、ここでは無関係でしょう。


53.切り豆をメクレンブルク風に調理する方法
 

 前出のように下ごしらえした豆を、肉ブイヨンとバター、塩を入れた熱湯で柔らかく茹でます。盛り付ける前にパセリのみじん切りとベンケイナズナをたっぷり加え、豆の量に応じてブイヨンか水で溶いた小麦粉大さじ1ないし2杯を加えて混ぜ、豆を入れてしっかり火を通し、器に盛りつけます。

メクレンブルクにも豆を使った料理はありますが、これに相当するものはまだ見つかってません。でも似たような料理はいろいろあるのではと思います。ちなみにハンブルクなど北部では、エンドウ豆、ベーコン、洋ナシを一緒に煮込む料理があります。

54.牛乳で煮た切り豆

 下ごしらえした豆を熱湯で茹でて水を切り、牛乳、塩、バターと合わせて柔らかく煮る。盛り付けの前にパセリのみじん切りとベンケイナズナ、生クリームで溶いた粉(生クリーム1/4ℓに対し粉大さじ1)を加え、豆を入れてよく火を通します。

ベンケイナズナはドイツ語ではPfefferkrautといい、コショウ草の意味です。でも日本でいうコショウソウは学名がLepidium sativum、ベンケイナズナは
Lepidium latifoliumなので近い仲間だとは思いますが、厳密には違うようです。(写真は下リンク)


55.拾い集め(盲目の鶏)、ヴェストファーレンの地元料理


 燻製ベーコンまたは燻製ハムを半茹でにし、さやから出した白いんげん豆も水に入れて火にかけ、ゆっくり茹で、その間に他の野菜を準備します。インゲン豆は筋を取って洗い、小さく切り、半量のニンジンを洗って角切りにし、洋ナシと酸味のあるリンゴは皮を剥いて4等分にし、小ぶりのジャガイモも同様に皮を剥きます。ベーコンまたはハムが半分ほど柔らかく火が通ったら、茹で汁を少々特別な鍋に入れ、まずは豆とニンジンを入れて半分ほど火が通ったら、ジャガイモと洋ナシを、最後にリンゴを入れ、全体を煮込みます。肉を切り、柔らかく茹でた白いんげんと共に野菜に加え、ベーコン(ハム)の茹で汁を加えてとろみを出します。
 調理時間は2~2時間半です。

この料理名が「???」だったのですが、ウィキペディアに説明がありました。
 まず「盲目の鶏」ですが、ドイツに「盲目の鶏も、トウモロコシ粒を見つけることがある。」という諺があります。日本だと「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」になりますが、この料理名はこの諺から生まれたそうで、その意味するところは「誰でもこの料理の中に好きなものが一つくらいは見つかるだろう」というものです。
 で、「拾い集め」の方は、この本の著者ダヴィーディスが命名したそうですが、料理人が菜園に残っている作物をかき集め「盲目の鶏」として調理した秋の料理であることがその理由のようです。

56.型蒸しした野菜

 溝のないエンゼルケーキ型にバターを塗り、白い紙をぴっちり敷いて、その上にさらにバターを塗ります。茹でたニンジンと大根を、同じ大きなの丸にくり抜いて交互に型の底や側面に敷き詰めます。そこに、卵黄数個とパン粉大さじ数杯を混ぜてとろりと煮込んだほうれん草(3番)を詰めて、上からバターを塗った紙を敷き、35分じっくりと湯煎にかけます。盛り付ける際、型を注意深くひっくり返して中身を皿にあけ、紙を取り外し、真ん中の空いた部分にライプツィヒ風煮込み(28番)を入れます。

エンゼルケーキ型と書きましたが、下のリンクのようなドーナツ型のケーキ型のことです。


57.トウモロコシ、アメリカ人の好物料理(いわゆるインディアン・コーンまたはシュガー)


 トウモロコシの粒が完全に熟し、かつまだ白くとても柔らかい状態になったら、葉を切り取り、トウモロコシを、塩少々を入れたお湯で30分茹で、熱いうちに食卓に出します。新鮮なバターを塗って粒を食べます。

シュガーというのは、sugar cornのことかと思ったのですが、indian cornを調べると南米の赤とか黒の粒が混じったやつが出てくるんですよね。でもこのレシピは「白く柔らかい」とあるので、シュガーコーンの方でしょう。

58.トウモロコシをシュヴァーベン風に調理

 上で述べたトウモロコシを、縦に半分に切り、金網に乗せて新鮮なバターを何度か塗りながら焼きます。熱いうちにいただきます。

これは絶対に美味しいと思いますが、シュヴァーベンの料理で探しても見つかりませんでした。今は特にシュヴァーベン風でもないのかもしれません。

59.キュウリの蒸し煮

キュウリの皮を剥き、種をくり抜いて小さく切り、酢と水を半々ずつ合わせて塩を入れた中にキュウリを入れてしばらく煮ます。あるいは酢と塩を加えた水に1時間浸けておきます。それをマギーの固形ブイヨン、バター、ナツメグ、潰したラスクを入れたブイヨンで最大30分煮ます。
 東プロイセンでは、キュウリをサワークリームで煮ます。キュウリを切った後、マリネしたり茹でたりせずに、溶かしバターに加えて玉ねぎのみじん切りと一緒に炒め、小麦粉を振りかけたらサワークリームを半リットル加えて、弱火で柔らかく煮込みます。
 フリカンデレ、コートレット、雄羊のロースト、ソーセージ、子牛のシュニッツェルを合わせます。

下のもそうですが、キュウリを煮るって日本ではあまりなじみがないですが、冬瓜などをイメージするとわかりやすいでしょうか。ドイツのキュウリはとても太いので、真ん中の種も量が多くて結構水っぽいので、サラダにする時も種を取ることが多いです。
 やはり東プロイセンやベルリンではキュウリの蒸し煮が郷土料理だそうです。うちにある東プロイセンの料理本には残念ながら載っていませんでしたが、ドイツ全国の郷土料理を集めた本にはありました。トップ画像がそれです。

60.詰め物をしたキュウリ(軽食向き)

 大きい緑色のキュウリは、柔らかさを失うよう、前日の夕方に皮をむくのがよく、縦半分に切ってスプーンで種をかき取ったら酢に漬けます。昼頃キュウリを乾かし、子牛のファルスを作ります。子牛の挽き肉をいくらか、マッシュルームのみじん切り、冷水でふやかして水気を絞った牛乳パン、新鮮なバターひとかけら、溶き卵1個、ナツメグと塩が材料です。これらをすべてよく混ぜ合わせたら、半量をキュウリに詰めて糸で縛り、たっぷりの溶かしバターで全面を茶色く炒めてその後じっくり蒸し煮にします。キュウリを取り出し、ソースのとろみをつけるに十分な量の粉を残ったバターで炒め、マギーの固形調味料で作ったブイヨンを注ぎ入れ、種を取ったレモンスライス、メース、塩、白コショウひとつまみ、ケッパーを加えます。キュウリを入れ少しの間煮たら糸を取り外し、ソースは新鮮な卵黄一個を混ぜてきれいに盛り付けます。

61.キュウリの煮もの

 このいくらか柔らかく、しかしとても消化しやすい煮ものは、15分で調理できてしまうため特におすすめです。まず瓶ほどの太さのキュウリの皮を剥き、指の幅程度に細長く切り、塩を入れた熱湯に入れて数分間柔らかくなりすぎない程度に茹でます。その間に粉小さじ1杯をバター少々で炒め、新鮮な牛乳を注ぎ入れ、ナツメグで味を付け、ざるに取って水気を切ったキュウリを入れて煮ます。カリフラワーのように扱えばよいです。鍋を火からおろした後、サラダ豆のレシピのように酢を少々加えて混ぜてもよいです。
 キュウリと全く同様に、キュウリのレシピは全て、カボチャも調理できます。
 合わせる料理:フリカンデレ、鶏のグリル、塩をして燻製した肉も特によいです。

62.マロン(ヨーロッパグリ)

 マロンはA章47番の通りに調理し、キャセロールに入れて新鮮なバター、塩、砂糖少々、美味しい肉のブイヨンを加え弱火で柔らかく蒸し煮します。ブイヨンをバターで炒めた粉のルーでとろみをつけ、温かいうちに盛り付け、器を肉汁たっぷりに焼いたコートレットを添えるか、マロンをケールに添えて盛り付けます。
 煮たマロンが残ったらピューレに転用できます。マロンを熱湯で洗い流して濾し、バター、リービッヒの肉エキスをナイフの先ほど、薄めのブイヨンを好みの状態になる量加えて混ぜ、できたピューレは芽キャベツ、ザウアークラウト、または焼きソーセージに添えます。

63.秋の根菜(ニンジン)を春の根菜のように調理する

 根菜をきれいに洗ったら薄く皮を剥き、再度丁寧に洗って、春の根菜と同じように先端だけを取って茹でますが、必要な甘さを出すため砂糖少々を加え、最後にパセリのみじん切りを入れます。
 付け合せは若い根菜と同じです。

注意:全ての野菜をきれいにする前と後に洗うことが、よい味を出す調理に大きな影響を与えるなら、根菜の場合は皮の中に強い味を出すものがあるので、水の中で両手の間でこすってきれいな水で数回洗い流します。
 根菜は甘みを失ってしまうので、決して切った後に洗わず、ニンジンやスウェーデンカブはできるだけじっくり煮込むと味がよくなります。


64.秋の根菜の別の調理法


 きれいに洗った根菜をごく細長く切りますが、まな板の上で行うのが一番よいでしょう。これを熱湯少々、みじん切りの玉ねぎ、卵半分くらいの量のパルミンと一緒に火にかけ、後から塩を加えて柔らかくなるよう手ばやく煮ます。次にバターをいくつかちぎって加えて溶かし、簡単に作ったブイヨンにトウモロコシ粉少々を加えてとろみをつけ、パセリのみじん切りを混ぜます。-盛り付ける前に皮を剥いた酸味のあるリンゴを半分根菜の上に置いて蒸し煮し、根菜をリンゴと一緒に美しく盛り付けます。小さい器に盛ったジャガイモを添えます。

65.詰め物をしたトマト

 熟した見栄えのよいトマトの中身を丁寧にくり抜き、くり抜いた中身を濾して、マッシュルームのみじん切り、すりおろした白パン、ふんわり攪拌したバター、塩、コショウを合わせた物、あるいは細かく切った鶏肉の残りや、とても美味しいのはみじん切りの鶏レバー、バター少々、生クリーム、卵数個、おろしたパン、香りのよい香草を合わせてファルスを作り、トマトに詰めます。そのトマトをバターで10~15分焼き、レモン汁を垂らし、軽めの食事として焼いたパンのスライスを添えて、あるいはもう少し大きな中程度の食事の飾りとして食べます。
  南アメリカでは、ほぼ完全に茹で上がった米にバターをたっぷり混ぜ、カレー粉で味付けしてくり抜いたトマトに詰めます。このトマトは焼かずに濃く出したブイヨンでゆっくり煮て、蒸し鶏を合わせます。-ボスニアでは青いトマトを使いますが、とても美味です。私も自分で未熟なトマトで試してみました。ドイツでも天候が思わしくない時によく手に入ります。この青いトマトに、良質のラム肉を細かく切り、バターとおろした玉ねぎを加えて15分炒め、ほぼ完全に茹で上がった米を同量加え、コショウで味付けして詰めます。詰めたトマトを肉のブイヨンで柔らかくなるまで蒸し煮し、たっぷりのサワークリームを入れて作った淡い色のソースをかけます。

南米でカレー粉使う料理ってあるのか分かりませんが、意外な気もしますね。ボスニアで使う青いトマトって、もしかしてグリーンのパプリカではないかと思えるのですが。クロアチアやトルコなどにありますしね。

今回はここまで。野菜レシピもう少し続きます。では

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ドイツの食に関わる仕事です。共訳『ビア・マーグスービールに魅せられた修道士』、著書『ドイツパン大全』(グルマン世界料理本大賞 パン部門優勝)、『ドイツ菓子図鑑』、『フォトエッセイとイラストで楽しむちいさなカタコト*ドイツ語ノート』