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100年前のレシピ本を訳してみます27・B. スープ⑧ IV. 牛乳、水で作るスープ
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100年前のレシピ本を訳してみます27・B. スープ⑧ IV. 牛乳、水で作るスープ

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スープの呪縛からなかなか逃れられません。
次は牛乳や水をベースにしたスープです。長時間煮込んでじっくり出汁を取るようなスープではなく、すぐに簡単にいつも家にあるものでできるお手軽スープです。

前置き 
 牛乳のスープを作るには、牛乳専用鍋を使うことをお勧めします。牛乳は簡単に焦げ付き、その前に鍋に入っていた料理の味を吸収してしまいやすいからです。料理に牛乳を使う時は、あらかじめ鍋の底を冷水でよく洗っておくことが大事です。

 牛乳専用鍋と訳しましたが、元のドイツ語はMilchkocher(牛乳沸かし器)となります。キャンプ用語でコッヘルというのがありますが、それがこのKocherですね。
 画像検索をすると、どうやら琺瑯の牛乳専用の片手鍋が昔からあったようです。その後ステンレス製のダブルウォールのものなども出てきて、焦げ付きにくくなっているようです。

78. 上品なミルクのスープ 温めても冷やしても
 3人分には新鮮な牛乳1リットル、でんぷん大さじ1杯強、卵黄2個、砂糖、レモンの皮、またはバニラ少々、あるいはビターアーモンド少々をつぶしたもの、またはその代わりに新鮮な桃の葉を2枚と塩少々を使います。これらを強火にかけ、沸騰するまで力強く絶えずかき混ぜ、スープ鉢に入れます。卵白を固く泡立て、Q章29番に従って団子を作るか、砂糖を加えて泡立て、熱いスープに混ぜ入れてスープをふんわりさせてもよいです。

注意:暑い季節にはこのスープは冷たくすると、夕食にちょうどよい、食べやすい一品となります。午前中に作っておくこともできます。

桃の葉を使うというのが珍しいなと思いましたが、アーモンドと桃は近い植物なので似たようなニュアンスが出るのでしょうか。ドイツではアーモンドはビターアーモンドとスイートアーモンドを使い分けます。

79. 栄養価の高い牛乳のスープ
 牛乳およそ3リットルを煮立たせます。卵1または2個を溶きほぐし、良質の小麦粉を加えて混ぜたものを冷たい牛乳で薄めます。この生地を、沸騰した牛乳の中にかき混ぜずに入れます。なべ底をスプーンで何度か掻いて生地が鍋底につかないようにし、生地の小さいまたは大きいダマができますが、これにしっかり火を通します。最後にスープに軽く塩をふり、焦げないようすぐに火からおろします。

これは塩少々以外の調味料は使わないようですね。牛乳と卵の美味しさだけを堪能するスープなのでしょうか。

80. 牛乳で作るセモリナ粉のスープ
 セモリナ粉を絶えずかき混ぜながら沸騰した牛乳に振り入れます。塩、砂糖、バター少々を加え、スープにきちんととろみがつくまで火を通します。水250 mlを加えても構いません。一人分のスープの量は250ミリリットルで、セモリナ粉をその質によって15~20g 使います。
 類似のスープは麺を使っても作れます。

麺を使う時は具体的にどうするのでしょうね。麺をすごく柔らかく煮て全体がとろっとなるくらいまでとか?

81. 牛乳で作る米のスープ
 米を洗い、水に入れて火にかけます。お湯が沸騰するほど熱くなったら捨て、一定の火力でしっかり火を通します。全乳を使う場合は牛乳を半量にし、もう半分は水にして、一人あたり1/4リットルと米20gを使います。牛乳の半分を水と一緒に煮立て、シナモンをいくらかと米を入れてゆっくりと柔らかく煮込みます。その後残りの牛乳と砂糖数個と塩を少し加え、もう少し煮詰めます。とろみをつけたい場合は、水で溶いたトウモロコシの粉を加えしっかり火を通します。

お米のミルク粥みたいなイメージをしましたが米の量が書かれていないのでわかりませんね。全乳は脂肪分を減らしていない牛乳、フルファットミルクのことです。

82. 精麦と牛乳のスープ
 精麦を洗い、バターひとかけらと軟水を少し入れて火にかけます。ゆっくりと柔らかくさっと煮込み、必要に応じて水を加えます。次に牛乳と塩少々を加え、とろみのあるスープにし、とろみが十分でない場合はじゃがいもの粉かデンプンを水で溶いたものを加えます。好みで砂糖とシナモンまたは細かくつぶしたメースで味付けします。
 大粒の精麦は前日の夕方に軟水に浸けてふやかします。純正のサゴは同様にすれば美味しいスープが出来ます。
 調理時間は2時間です。材料の量と重さは前のレシピの通りです。

83. ジャガイモのサゴ(パールサゴ)と牛乳のスープ
 サゴは、水少々を加えて熱した牛乳に入れます。でないと崩れてしまいます。15分後パールサゴが柔らかくなったらモンダミーンと塩を加え混ぜ、好みで砂糖とシナモンを入れ、さらに卵黄1個を混ぜ入れてもいいです。
 一人につき牛乳半リットル、サゴ30gを使います。

 82番にある純正のサゴは、サゴヤシの実から作られたもので、こちらはジャガイモで作った類似品です。
 モンダミーンは最初の方に出て来ましたが、ドイツで有名なでんぷんのブランドです。

84.ひきわり燕麦と牛乳のスープ
 ひきわり燕麦は何度か水ですすぎ、水に入れて柔らかくどろっとなるまで煮ます。煮る間よくかき混ぜて焦げ付かないようにします。手早く濾して再度火にかけ、牛乳と塩を加えゆっくりと15分間煮ます。
 1人あたり30~50gの燕麦と全乳1/4リットルまたは1/2リットルの脱脂乳を使います。クノールの調整済ひきわり燕麦と燕麦のフレークを使うと、手早くこのスープが作れます。

85. とうもろこし粉のスープ
 この栄養価の高い安価なスープを作るには、水と牛乳を半分ずつ火にかけゼアニン(ドイツのとうもろこし粉)を入れて、ほどよくとろみがつくまで煮込み、塩で味付けします。

86. チョコレートのスープ
 チョコレート125gをコーヒーカップ1杯分の水と一緒に火にかけ、完全に柔らかくなったらかきまぜ、牛乳2リットルと砂糖を好みの量加え、沸騰したらバニラまたはシナモンと卵黄1~2個を入れてかき混ぜます。卵白を固く泡立てて団子を作り、スープの上に浮かせてもよいし、さらに砂糖とシナモンをふりかけてもいいです。このスープは5人分で、バターで焼いた白パンのスライスを添えます。

87. ひきわり蕎麦粒のスープ
 ひきわりの蕎麦を水少々と火にかけて茹で、次に粉少々を溶き入れたバターミルクを加えて煮立たせます。塩と好みで砂糖あるいはシロップを加えます。同じようにして細かい精麦を使えば、病人向きのスープを作ることもできます。

88. セイヨウスモモまたはレーズンが入ったバターミルクスープ
 乾燥セイヨウスモモ(プルーン)を水で柔らかく煮込み、アニスシードと好みによって細くおろした黒パンを加えます。細くおろした白パンに、固まるよう粉を加え混ぜたバターミルクを注ぎ、絶えずかき混ぜながら煮立たせます。盛り付ける際塩、砂糖、シナモンを混ぜ入れます。生のセイヨウスモモやレーズンを入れて煮ても良いです。

 セイヨウスモモはPflaumeですが、実は(Zwetsche)でもよい、と書いてあります。Zwetsche(ツヴェッチェ)はセイヨウスモモの亜種ですが、日本語名が分からないので入れませんでした。
 パンはとろみ付けのために今でも使います。

89. パン入りバターミルクスープ
 古くなった黒パンを乾燥させてつぶし、皿1杯分を取り、砂糖、シナモン、塩ひとつまみ、バターひとかけらと一緒に水1/4リットルに加え、柔らかくどろっとするまで煮詰めます。1.5リットルのバターミルクに牛乳で溶いた粉30gを入れ、かき混ぜながら沸騰するまで火にかけ、強く混ぜながら煮たパンを入れて砂糖で味付けし、すぐに盛り付けます。

90.茶色く炒めた粉のスープ
 小麦粉を、バターを使わずにA章5番に従ってきつね色に炒めます。牛乳を熱し、炒めた小麦粉を冷たい牛乳で溶いて熱した牛乳に混ぜ入れ、スープにとろみをつけます。砂糖、シナモン、卵黄を入れてかき混ぜ、バターで黄色く焼いた白パンのスライスの上に盛り付けます。

茶色くなるまでローストした粉の香ばしさを味わうスープでしょうか。

91.白く炒めた粉のスープ
 卵半分程度の量のバターを熱し、小麦粉大さじ3杯を入れて、そぼろ状になり盛り上がるまで混ぜます。よくかき混ぜながら熱湯をゆっくり注ぎ入れ、粉を溶いてスープにダマができないようにします。 しっかり火を通したら塩、メース、またはパセリのみじん切り、こしょう少々、新鮮な卵を一個を加えて混ぜ、マギーの粒状肉ブイヨン小さじ1を加えます。 

92. 麺または団子のブイヨンのスープ
 玉ねぎを細かく切って良質の油できつね色に炒め、そこへ水を加えて小さく切った根セロリを入れ柔らかく煮ます。次に麺のスープと塩、アロイロナートスプーン4杯を入れます。沸騰した後も十分なとろみがついていなければセモリナ粉を少々入れます。どちらも火が通ったら、量に応じてリービッヒの肉エキスをナイフの先少々あるいはもう少し入れて混ぜます。根セロリの代わりに最後にパセリのみじん切りを入れても良いです。

麺のスープ、がちょっとよく分かりませんが、簡単に麺を茹でたシンプルなスープでしょう。どこかにレシピ出てたかな・・・?
根セロリの代わりにパセリのみじん切り、というのもちょくちょく出て来ますが、代わりになるのかな?とちょっと不思議です。

93.パイクラストのスープ
 パイクラストを小さく割って水に入れ火にかけます。ドロッとしてきたらバターか良質の油を少々加え、熱湯を少しずつ注ぎ入れます。盛り付ける前にパセリのみじん切りをスープに入れ、スープ鉢に卵黄1個とサワークリームを入れ、かき混ぜながらスープを注ぎ入れます。
 リービッヒの肉エキスやオキソブイヨン、またはマギーの固形ブイヨン加えて、肉で作った美味しいスープと区別がつかないほど素晴らしい水のスープは、ハイルブロンの会社クノールが作る様々なスープの粉やフレーク状のスープ、スープの実を使うと作れます。

パイクラスト、としましたが、ドイツ語ではPastetenteigです。Pasteteはパテのことで、パイ生地やタルト生地に包んで焼くこともあります。この生地(Teig)を使ったスープ、ということです。残ったものの再利用法ということでしょうか。

あと一回くらいでとうとうスープが終われるかなと思います。では

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ドイツの食に関わる仕事です。共訳『ビア・マーグスービールに魅せられた修道士』、著書『ドイツパン大全』(グルマン世界料理本大賞 パン部門優勝)、『ドイツ菓子図鑑』、『フォトエッセイとイラストで楽しむちいさなカタコト*ドイツ語ノート』