忍たま乱太郎って、室町時代の時代設定がめちゃめちゃすごいんですよ。
忍たま乱太郎ってご存知ですか?
Eテレで放送しているらしい(※ウチ、テレビ受信機ないので最新情報わかんないですけど)結構長く続くアニメです。
アニメーションにせよゲームにせよ、戦国時代を舞台にした作品は結構あるのですが、忍たま乱太郎の背景美術とか、キャラクターの衣装とか、合戦場での風景とかって、かなり当時の風景に近い描き方してるんです。
逆アニメなんですけどね。
たまたまツイッターを見ていたら、忍たまが流れてきたので、(公式のTweetができたのでそちらに変更しました。)他作品の作画資料として添付したのを思い出してちょっと書いてみました。
⬇リンク切れをおこした時用
戦国時代≒室町時代の建物
この時代、建造物は室町時代…もっというと平安時代とそんなに変わらない建て方で、場所によっては竪穴式住居が普通に残っている時代。
竪穴式住居といえば、弥生時代を思い浮かべそうですが、いやいや江戸時代までしっかり使われた建築住居なのです。
で、上記ツイートの一コマから、街の風景が描かれているわけですけど、この町並み、かなり戦国時代のイメージなのです。
入り口に下がっている暖簾、窓とその後ろの木板、竹でできた門扉、木板の屋根と軒の長さ。水路の木板や通りの広さ。
建物の基礎石なんかもしっかり再現されてます。
この1カットだけでもすごい情報量です。
建物は石屋根。瓦じゃないのですよ。戦国系アニメはやたらと瓦屋根が描かれる傾向にあるのですけど、この頃はまだまだ焼き物の技術で瓦の量産は難しかった。また紙も同様。だから障子は少ないんです。
そして衣装も当時は染料が発達していたので、思ったよりも鮮やかだったと言われてます。
上記を踏まえてカットを見てもらうと、実にしっかり町並みが描かれていることがわかります。棟の部分に乗っている萱(藁)もリアルです。
初期の頃は少し粗い感じでしたので、シーズンを重ねるごとに考証も変わっていったんですね。
また乱太郎の友達きり丸が合戦場で弁当を売っている描画も、誇張表現ではあるものの、実際に陣の中で商売をしていた図が大坂冬の陣屏風に描かれています。
原作者の尼子騒兵衛さんも原作、落第忍者乱太郎を執筆時、かなり深くまで時代考証をして、正しい歴史を伝えることに努力した結果が実を結んでいると考えられます。
ものを作る=道具の歴史
戦国時代物がSFに逃げてしまっている作品もあるなか、やはり時代のリアリティを感じられる作品は長く残るのだと感じます。
結局当時の町並みや生活道具・衣装など、それがどれほどの手間で作ることができたのか? という視点で見ると面白い。
特に建造物など巨大なものを作るのには、その手順のほか、道具が必要になるので、それらを作る技術がいつ頃のものだったのかを知らないと、現代の感覚だけで描いてしまいがち。
ボロ屋を板張りで描くパターンが多いのですが、板を作るのはとても大変な作業。それよりも土壁のほうが簡単に施工できるのですが、現代に住む私達はベニア板の存在で、板張りの家をボロ屋のように思ってしまう傾向があります。また上図のような道具の金具部分は鍛冶技術が必要。金属を使う道具そのものが大変高価であることを認識しないといけません。
また木工につきものののこぎりですが、室町時代には大鋸がやっと日本に伝わった時代です。それまでは縦挽鋸が存在していませんでした。
長い板を作るときは鑿による打ち割りだったので、薄い板は作れなかったんですね。
実際、大鋸を扱えるのは大工の中でも限られた家のみでしたから。
絵を描く人もそうですが、物語やゲームシナリオを書く人、モデリングをする人など、少しでもこうしたものの作り方を意識すると、物語の中で道具の扱いや文化背景などを設計しやすくなると思います。
という感じで、忍たま乱太郎に引っ掛けながら、時代考証大事です〜という記事でした。