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人格の機能評価〜性格? 病気?〜

本日は、人格機能についてお話しします。

性格なのか/病気なのか、それとも今病気の症状があるから、体調が悪いから、心身の調子が悪いから性格が悪く見えているのか、それとも特定の相手だから性格悪くなっているのか、よくわからないですよね。

どこからが病気でどこからが性格なのかわからないと思うんですけど、確かに難しいんです、ここら辺の話は。

まだ研究段階なんです、結論。

人格とはどういうものである、病気とはどういうものであるということがよくわかってないんです。

よくわかってないんだけれども、こういうものなんじゃないかなと考えながら研究したり治療していたりするので、今回は精神科医が人格をどのように考えているのかをお話しします。

基本的に僕らは病気の人、社会的に問題がある人を扱っているんです。

どこからかというとわからないですけど、とにかく問題がある人たち、困っている人たちを研究してるというのが、精神科医だったり精神医学に関係する人たちなんです。

どうしてこの人たちはこういう問題を抱えてるんだろう、脳の機能のどんな問題があるんだろうということを考えているというのが我々でなんです。

そこから、そういう視点から人間とはどういうものであるかということを考えていった結果、こういう形で人格障害というものを認めて考えていこうよ、ということになってるわけです。

基本的には人間には色々な要素があると思うんです。

どういう人がどういうポイントかというのがあると思うんです。

早口なのか、ゆっくり喋る、せっかちの人もいればいるだろうし、のんびり屋さんもいるし。

じゃあどういうパラメーターを重視したらいいのかというのが、このパラメーターなんです。

精神科医はここのパラメーターを見てるんです。

例えば運動神経が良い人、悪い人はそういうパラメーターもあると思うんです、脳の機能としては。

空間把握能力が高い、リョーハムさんは風向きがわかるらしいんですよ。

風向きを把握する力が強い、弱い、方向音痴か方向音痴じゃないのか、そういう色々な能力があるはずなんです、脳みそというのは。

色々なパラメーターがあるんだけれども、精神医学はこのパラメーターを重視しているよということです。

そのパラメーターに対して、ここからが病気で、ここからは病気じゃないという風なカテゴリーではないんですよ、今。

そうじゃなくて、ディメンションと書いてあるんですけど、緩やかに病気になっていく感じなんです。

どこからが身長高くて、どこからが身長低いんですか、どこからが太っていて、どこからが太ってないんですか、とかあるじゃないですか。

連続してるじゃないですか。

どこからがIQ高くてどこからが低いんですか、とか。

そのラインを決めて分けるんじゃなくて、ディメンションモデル、スペクトラムモデルでもいいんですけど、パラメーターの細かい刻み方を見てる感じです。️


◾️基準A

じゃあ人格障害ではどういうパラメーターを見てますか?ということなんですけど、ひとつは自己機能、自分というものの同一性がしっかり保たれてるか、目標設定ができるか、ということなんです。

病気があるとか生きづらい人というのは、自分とはこういうものである、自分と他人の境界線がしっかりしてなかったり、曖昧だったりするんです。

自分とは何なのかよくわからない人たちというのは、やはり病気になりやすかったりするし、パーソナリティ障害になりやすかったりします。

自分はこういうものである、自分はこうなんだ、とわかってる人ほど、自分と他人の距離感が明確にあるほど健康的だと考えるんです。

そして、やりたいこと、やるべきことがわかってる。

わかってないと病的と考える。

何をすべきかがよくわからない、人の言うことを聞かないとわからない、決定できないというと病的だと考えるし、逆に自分はこういう人間であり、こういうことをすべきなんだということが明確でわかっている人ほど健康度は保たれてるということになります。

対人関係機能も注目してるんです。

他人に対して共感できる、相手のことを理解できる、相手が体験した経験を自分のことのように感じられる、自分と他人は違うんだけれども、ああ、この人はこんなこと考えるのね、この人にはこういう事情があるんだなということがわかる力が高い人ほど健康である、逆だと不健康であるということ考える。

親密さです。

親しみを感じる力、他人と深く親密になれる、関係性を深めることができる、相手の欲求に対応できたり、我慢したり、応えてあげたり、そういう配慮ができる、そういう力が高いほど健康であるし、低いと健康ではないという風に考えるということです。

次いきますよ。

こういう能力がどれぐらいあるのか、と。️

◾️基準B

あとは否定的な感情が強すぎるかということです。

不安を感じやすかったり、情動が不安定だったり、誰かに服従したい、たとえ自分にとって不利益であっても服従したい、敵意を向ける、怒りを感じやすい、それにずっと固執してしまう、新しいところに行けない、変化を嫌う感じ、うつっぽい、疑いやすい。

自分の中で感情の幅が低い、何か感情が乏しいのは、それが酷ければ酷いほど病的であるし、それが豊かであったり安定していれば安定しいるほど健康であるという風に考えるんです。

あとは社会的な回避、社会から距離をとりたい、一人になりたい、それが強ければ強いほど病的であると考えるし、仲良くしていこうよ、人と交流をとっていこうよ、社交的であると健康であるという風に考えたりしてます。

どうしてそうなの、それは好みでしょう、と疑問が湧くかもしれないですけど、これは複雑なディスカッションがあるのでまた説明します。

この背景にあるのは、うつ病、うつの人は孤立しがちだし、孤立を好むし、統合失調症やそれに準ずるようなパーソナリティ障害、妄想性の人は隔離する、離れることを好むんです。

疲れていると一人になりたいじゃないですか、人間て。

そういう意味で隔離(vs外向)の要素は病的なものであるという風に定義してるということです。

あとは対立です。

人を思いやるのではなくて、対立に持っていく、喧嘩したくなる、自分の自尊心を守るために対立したり喧嘩をする、他人に対して無関心だったり敵意を向けたりする、嘘をついたりする、そういう感じです。

そういう力が強いと病的であるし、相手と仲良くしていこうというのが強いと同調性が高い、健康であるということだったり。

服従とはまたちょっと違うんですけどね。

似てるんですけど、似てるけどちょっと違う。

あと脱抑制です。

自分の感情、衝動、欲望に忠実であればあるほど無責任だし、衝動的だし、注意は変わりやすいし、無謀だったり完璧主義だったりするので、病的である、と。

逆だと誠実であったりする、利他的だと健康であるという風に考える、と。

あと精神症性、いわゆる幻覚妄想を持ちやすい感じということです。

異常さ、奇異である、変わってるという感じですけど。

わかりやすく言うとスピリチュアル系です。

スピリチュアル系のことや陰謀論を信じやすいと、この水準が病的であるという感じになります。

逆に透明であるというか、しっかりしてるというか、目に見えるものだけをちゃんと判断できるというか、科学的である、そういうところが健康であるということにしてます。

何でですか?と言われたら、色々なディスカッションがあった上でこうなっているということです。

精神医学はそういう考え方をしますよ、ということです。

これらがパラメーター的に把握してるということです。️

◾️その他の基準

あとはパーソナリティ障害と言われるには、どこでも、いつでもそうなんだということです。

特定の場所ではネガティブになるとかありますよ。

特定の場所ではそうだけど、そうじゃないところだと別に普通なのであれば、パーソナリティー症というよりは、その時の一時的な変化でもあるし、いつでもそうだとやはり病的ということになります。

他の病気のせいじゃない、うつ病の結果孤立を好むとかではなくて、やはりずっとそうなんだというと、やはりパーソナリティ傾向ということになるし、薬やドラッグの影響ではないというのも大事だったりします。あとは子どもや発達段階です。

子どもの時はやはり喧嘩しがちなので、じゃあ子どもがみんな病気かというわけじゃないので、その年齢に応じた、発達段階に応じたところから逸脱してるかしてないか、社会的状況にちゃんとそぐうのか、そぐわないかというのもあります。

例えば災害があった時に否定的な感情やネガティブになってるといって、それが病的かというとそういうわけじゃないじゃないですか、生理的にそうだし。

軍隊やそういう場面の時に冷淡だったり威圧的だったりすると、上官が、それが病的かというと、まあその場TPOに合わせた変化とも言えるのである意味、そういうのは病的とは判断しないということになってます。

それに異論があるという、いついかなる時もそれであってはいけないだろう、と言われたらそうかもしれないですけど、まあそこら辺は考慮した上で、パーソナリティ障害というのを定義してたり、パーソナリティを評価してるということなんです。

️◾️努力でどうにかなることではない

こういうところから思うのは、これが仕方ないんだよね、これができない人たちというのが。

例えばこれは努力でどうにかなると思いがちなんだけど、実際はそうじゃないんですよ。

生まれ持った性格であって。

例えばパーソナリティ障害の人がずうっと空虚である、自己同一性が保てなくて、目的を持ちにくくて、衝動的で、他人に対して不安を感じやすくて、怒りをコントロールできなかったり、空虚であるというのは、一見性格の問題でコントロールできそう、できるでしょうという感じがしますが、実は違うんです。

これもIQや算数の得意・不得意と似ていて、生まれ持ったものの要素が大きかったりするんです。

もちろん育て方の問題など色々なものが絡むけれども、やはり生まれ持った体質みたいなところもあるんです。

それが長年の研究の末にわかったりするので、やはり生まれつきそういう人たちがいるということなんです。

こういう力が弱い人たちが生まれつきいる。

それは発達障害の人が不注意が多かったり、自閉的であるのと似ていて、パーソナリティー障害の人たちも生まれつきこういうところの力が弱かったりするので、それは人間理解のために必要な知識なのかなという風に思います。

そういうものってあるんですよね。

太宰治みたいなことですよね。

何となく生まれた時から変で、私は人間失格なんじゃないかみたいな。

空虚感があって否定的で、何かうまくいかなかったり、わがままなように見えちゃう。

実際、わがままな行動をしていることもあるんですけどね。

見えちゃう、抑えられなかったりする。

こういう生まれ持ったものというのはあります。

もちろん太宰治に関して言うと、色々な社会背景の影響も受けてたりしてますけど、そうは言っても同時代の人に比べてやっぱこういう風な要素強いよねということだったりします。

パーソナリティ障害は数%いると言われてますし、精神科の外来患者さんの10%弱ぐらいは何かしらのパーソナリティー障害、境界性パーソナリティ障害と診断され得るみたいなデータもあったりするのでよく見るなという感じです。

この要素を忘れがちですけど、ここもシビアに受け止めていくのも大事だなと最近思いました。

こういうことを、これらの一個一個のパラメーターごとに能力を伸ばしていくということになるんですけど、やはり難しいので、そう伝えると。

誤解が生まれたりとかしやすいんです。

今説明してる中でも、多分誤解されている人がいると思うんですけど。

なので僕は仕方がないと思えるようにする、生まれてきてよかったと思える瞬間を増やす、みたいな形で、日本バージョンですよ、これ、世界中の人がこれで理解できるとか世界中の人がこの美徳を追求しようとは僕は思わないですよ、東アジアを中心に日本人だとこういう言葉だとイメージしやすいかな、治療のゴールをイメージしやすいかなということで、暫定的にこれを決定しているんですけど。

こういう要素があるので、人格を成熟させるというのは、こういう要素の一個一個のパラメーターを上げていく、それはどういうことかというと、こういうことであるということなんです。

ちょっと駆け足で、時間がない中駆け足で説明しましたが、ChatGPTなどを使いながら、人格の機能評価、DSM-5のディメンションモデルを検索してもらうと、より詳しいことが載っていると思うので、勉強してもらったらいいかなと思います。

もちろんAIは誤情報も含めたりすることが多いので注意は必要ですけど、要約してくれる分わかりやすくなったりするので、色々な情報、一次情報、AIを使いながら理解を深めていってください。

️◾️本日の宿題

本日の宿題は、自己同一性と自己志向性について、自分はどういうところが弱いな、じゃあどういう風にしていけばいいのかな、を書いてもらうといいかなと思います。

他にも動画の感想など入れてもらうといい学びになるかなと思います。

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