コミュニティは当初の思惑通りに行くのか_

理想のコミュニティを考えようVol.3〜コミュニティは当初の思惑通りにいくのか〜

こんにちは。コミュニティマネージャーの長田(@SsfRn)と若月(@wakatsubasa)です。

「理想のコミュニティを考える」プロジェクトの記事、3本目は「コミュニティは当初の思惑通りにいくのか?」というテーマでお送りしようと思います。

◆前回の記事◆

コミュニティを立ち上げる前に、どんなコミュニティにしていきたいのか?どんな機能をつくろうか?など、設計を考えると思います。設計は重要だと言われているコミュニティですが、本当にその設計通りいくのでしょうか?

今回は、そのあたりをコミュニティマネージャーの2人で考えてみようと思います。


コミュニティは設計できる?

長田:今回はコミュニティの設計について話してみようか。コミュニティをつくる際に、よく「設計が大切」と言われるよね。

若月:言われるっけ?コミュニティマーケティングの文脈かな?

長田:よく聞くよ。若月の言う通り、コミュニティマーケティング文脈が多いイメージやね。

若月:マーケティングの視点だと、目的を決めて、ターゲットを決めて、アプローチを方法を決めて、コンテンツを最適化させて...っていうような細かい設計ができると思う。

企業活動のひとつとして、製品やサービスのファンがいる前提のコミュニティマーケティングなら、同じようなことができるんじゃないかなと思う。

長田:そうそう。コミュニティをマーケティング活用する際には、ある程度の枠組みが確立されてきているイメージがある。それは、コミュニティマーケティングの領域で活躍されている方々がいるので、彼らがどんどん情報を発信しているのが大きいと思うなぁ。

若月:マーケティングでみると、フレームワークだったり方法論は確立しやすいと思う。とはいえ、コミュニティみたいな比較的新しい領域だとまだわからないけど。企業のコミュニティマーケティングとして、うまくいっているような事例ってあるのかしら?

長田:そうだね、よく成功例で言われているのは、「ヤッホーブルーイング 」のファンコミュニティ、「AWS (Amazon Web Services) 」のユーザーコミュニティ、「ことりっぷ」のファンコミュニティとかかな?あ!あと「タビジョ」も有名だね。

若月:なるほど、よく聞くかも。じゃあ、前回話したような、「居場所」となるようなコミュニティだとどうなんだろうね?

Wasei Salonで考えてみようか。


Wasei Salonでのコミュニティ設計

長田:「居場所」となるコミュニティの場合は、最低限守ることはあると思う。例えば、余白をつくったり、オフラインとオンラインのコミュニケーション設計とか、そのあたりは必要だよね。

若月:ふうむ。Wasei Salonでも気をつけているよね。

「居場所だ」と認識してからというか、走り始めてからは余白やコミュニケーション設計は「ああ、こういう感じならみんな楽しく過ごせるんだなぁ」とわかってきた感はあるけど。

でも、当初Wasei Salonで想定していたことって違くなかった?

長田:本当にその通りなんだよね。一番はじめキックオフMTGで僕ら2人と鳥井さんの3人で話していたことが、おもしろいぐらい全然うまくいかなかった。笑 

正直「こんなにうまくいかないの!?」って衝撃受けたけど、これがコミュニティなんだなって自己理解した記憶あるわ。笑

若月:笑。キックオフで話したことってなんだっけ?Wasei Salonて、20代中盤〜後半くらいの若者が切磋琢磨しながら成長する、みたいなところが当初の設立目的だったよね?

長田:そうそう。発起人である鳥井さんが「24~27歳でひとつのターニングポイントが訪れる」という仮説のもと、その時に応援し合える関係が必要だ!と考えたのが始まりだよね。 

若月:そうだね。ターニングポイントとなる年代だから何かしようと具体的に落とし込んで設計したわけではないけど、参加したメンバーが2人1組で何かプロジェクトをやっていこうという話はあったよね。

毎月2人1組で1つのプロジェクトを動かして、他のメンバーがそれぞれの専門領域を活かして全力でサポートしていこう!みたいな。

長田:あーそれね!結論から言うと、結局実施せずに終わったよね。笑 これはメンバーから、違うやり方の方がいいのでは?という提案を受けたからなんだけど、唯一考えてた制度的なものだったのに、それすら崩れるのか!という衝撃ね。他は何か想定と違ったことあったっけ?

若月:「悩み相談」の話じゃないかな。Wasei SalonのSlackに「悩み相談」というチャンネルがあるよね。

当初は、メンバーが日々取り組んでいるビジネスやプロジェクト、活動の悩みや課題をメンバーに相談して欲しいという目的で設置したよね。

メンバーが持つ専門性やスキル、いわゆる人脈なんかをシェアして、各人の取り組みをよりグロースさせていって欲しい、といった。

長田:あ、そうやね。それが今や、プライベートなことからコンプレックスのこととか、わりと深いことを相談する場所になっている。

最初メンバーが、自分自身が抱えていたコミュニケーションの問題を告白というか相談というか、そんな内容を「悩み相談」に投稿したことで変わったんだよね。いやーあれはいい投稿やったなぁ。

若月:完全に想定と違った流れになったよね。他には何かあるかな?

長田:あとは、卒業制度かな?始める前は、この21人は1年後に卒業し、別のメンバー21人がまた入ってくるというやり方にしようとしていたよね。

これは2人組みのプロジェクト制度があった上での考えだから、自然と消えていったんだよな。それぞれのプロジェクトを1ヶ月ごとに進めてアウトプットする形を想定していたから、全員プロジェクトを実施したら1年経つので、そこを区切りにしようと。

若月:なるほど。じゃあ、なぜWasei Salonでは上のようなことが想定外の展開になったんだろう。


コミュニティが想定通りにいかない理由

長田:想定外になった理由かー。始めるまでコミュニティというものが、ぶっちゃけわからなかったよね。こっちが想定していたニーズと、実際のニーズが違うかったわけだし。

若月:そうだね。2人1組のプロジェクトに関しても、運営側でメンバーの組み合わせを考えていたよね。この2人なら楽しんでやってくれそうだし、面白いことがはじまるんじゃないかという。

でも実際は「もっと違うやり方がいい」という声が多かった。

Slack内の雑談や飲みながら話している中で、「それ面白いね!やってみようよ!」って形で自然発生的にプロジェクトが生まれるようになった。

運営側が何か決めるんじゃなくて、自然と化学反応、コラボレーションが生まれた。みんな楽しんでいるよね?

長田:そうそう。いい感じに「皆が考えて行動を起こせる余白」ができている感じがする。この余白をつくることが、とても大事なポイントなのかもね。

若月運営側の考えを押し付けないってことだよね。

さっき話した「悩み相談」も同じなんだと思う。当初は、「20代でなにか取り組んでいる若者は、自分の事業やプロジェクトについて相談したいんだ」って運営側の思惑が合った。同じような価値観で生活しているメンバーだからこそ。

でも実際はそんな相談は少なくて、どちらかというとパーソナルな相談が多かった。俺もそうだったけど、普段所属するコミュニティでは言えない悩みを話したいんだなぁと思う。

長田:そうだね。卒業制度の話も、言ってしまえば運営の都合だよね。卒業制度をつくって「新しい風をコミュニティに入れたい」という。でも、メンバーはありがたいことにWasei Salonを気に入ってくれて、もっといたいと思ってくれている。

Wasei Salonというコミュニティの土台は、運営だけではなく21人全員でつくっている。この事実は忘れちゃいけないことだね。

若月:そうだね。とにかく、やってみてわかったことが多すぎる。具体的な「これ」で集まったコミュニティではなかったからだと思う。

長田:うんうん。もし、具体的な「モノ」とか「場所」で集まっているコミュニティだったなら、こうはなってなかったよね。

若月:ユーザーが企業製品を好きという前提のコミュニティなら、運営側のお願い(課題、これやってほしい、こうしてほしい)を提示すると、みんな一生懸命取り組むんだと思う。その企業やサービスのことが好きで集まっているから。

けど、「居場所」となるコミュニティだと、運営者側の思惑は必ずしもうまくいかない。それはメンバーが心の底から求めていることが、運営側の思惑と一致するとは限らないし、何よりメンバーによりけりで多様だから。

「20代中盤で求めている場所」を提供しようとしたWasei Salonは、思惑通りに行っていないっていう。ふだん相談できなかった悩みを相談するのもそうだし、仕事以外で「なにかしたい」って自発的に思ってプロジェクトを起案するのもそうだし、卒業したくないってのもそうだった。

長田:なるほど。好きって気持ちやファン要素が入ってくるのと、そうでないのとでは状況が違ってくるってことやね。

若月:そうだと思う。同じことの繰り返しになるけど、「居場所」となるコミュニティに求めるものは、表立ってニーズとして出ていないし、もしかしたら本人すら最初は自覚していないのかも知れない。

コミュニティマネージャーは、「居場所」となるコミュニティにおいては、運営しながらメンバーが心から求めていることに気づいて、コミュニティのありかたやコミュニケーション方法なんかを調整していく役割なんじゃないかな。

心の動きに気づき、変化していく。ただ、正解を示すわけじゃない。

長田:「正解を示すのではなく、心の動きに気づき、変化していく」これは名言だわ。


最後に

若月:結論をいうと、コミュニティって運営側の思惑通りに行かないもんだよね。

長田:本当にそう。コミュニティは生き物・生命体だよね。最後に若月が言ってた「心の動きに気づき、変化していく」がまさにそれを示しているのかなと思ったよ。

若月:昼からビール飲んで酔いながら書いてました、すいません。すいません。

長田:いや、まじで今日の若月さんはキレッキレだったわ。びっくりした。

若月:辛口のビールみたいだね。お後がよろしいようで。

長田:今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

若月:ありがとうございました〜!


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