
【#Real Voice 2022】 「早稲田を愛する、すべての人と」 3年・平松柚佑
「明日もどうせ負けるでしょ、どうせ負けるなら俺のことメンバー入れろよ」
関東リーグの試合前日、なんとなく聞こえてきたこの言葉。
リーグ戦22試合 3勝5分14敗
だれがどう見てもひどい結果。
だからこそ、こんなこと言われても当然かなんて考えながらこの言葉を聞こえていないふりをした自分に腹が立ったり、勝ててないから当然かと自分を納得させてみたり。
「早稲田らしさとは」、「ア式らしさとは」
入学当初から様々な場面で問われてきた。
そのたびに何度も考えた。
「主体性」 「多様性」 「泥臭さ」 「歴史」 「伝統」
どれもしっくりくるが何かが違う。
シーズン終了後、矢野さんと玉井さん(コーチ)、学生数名でお話しさせていただく機会があった。その際に玉井さんがふと言っていた
「早稲田の特徴は1つになって戦うこと」
これだ、しっくりきた。
自分の知っている強い早稲田はこれだった。
1年生の頃、Bチームの試合時に修世君(令和3年卒・小山修世)が言っていた。「関東に繋げよう」。杉君(令和3年卒・杉山耕二/ヴェルスパ大分)も関東の試合時に言っていた。「勝利を東伏見に持って帰ろう」。
言葉1つ1つが自分だけでなく、試合に関わっていない選手たちとも共に戦っているということを示すものだった。
ただ、今年は個人的にFC(社会人リーグ)の試合で体を張る同期に活力をもらうことはあっても、一丸となって戦っているなと感じる瞬間は少なかった。
特に後期、4年生を中心に戦ったIリーグ(インディペンデンスリーグ)のカテゴリーとは、戦い方も考え方も違い、本当に同じ早稲田大学ア式蹴球部なのかと考えてしまうほどだった。
まるでこのことが悪かのように書いてしまったが、決してこれが悪いわけではない。実際に、部員数が多く同期の名前すら把握していない、他カテゴリーの試合なんて見たことないというような組織も存在するし、そんなチームが結果を出していたりすることもある。
だからこそ、他カテゴリ―同士でのつながりを意識しなくても良いという考えを否定するわけではない。
ただ、自分は一丸となって勝利に向かっているチームがかっこいい、早稲田はそうあるべき組織、そうあってほしいと感じているだけ。
来期以降のア式はしばらく分断の一途を辿るはずだ。
「日本をリードする存在になる」ことを本気で目指す外池体制が作り出したア式の”陽“をリスペクトする一派と、光の裏でどうしても生まれてしまう”陰”への不満や批判の念を持つ一派とで、完全に分かれてしまうだろう。
まさにこれだった。
100人を超える組織。もちろん組織に不満が出ないわけがない。
それでも、相手のことを考えない、相交えない考えだと遮断してしまう人が多すぎた。リスペクトを欠いた発言をする人が多すぎた。
さすがに言いすぎてるなという後輩がいた時、軽く注意した。
でも、「いや、でも考え方は人それぞれだし、これが多様性じゃないですか」
(これになんて返答したかは覚えていない)
「あれ、多様性ってこんなにも難しいものだっけ」
我々早稲田大学ア式蹴球部には、様々なバックグラウンドを持った学生が多く所属する。先ほども言ったが、様々な考えがあるのは当たり前。
それでも、そんな多様な考えを擦り合わせて、組織の目指すvisionに対して同じ方向を向いて進んでいくことこそが、多様性を重宝する我々のあるべき姿であるはずなのに。
返ってきた言葉は、理想とはかけ離れているものだった。
多様性は一歩間違えれば自己中心的な考えとなり得る。
自分の考える当たり前が当たり前ではなかったと気づいた時。
これもまた、多様性なのだろうか。
2022シーズン、ア式蹴球部は外池体制に対して肯定的な一派と、批判的な一派とで完全に対立してしまっていた。
その結果、2部降格という結果に終わった。
それでも、外池さん(前監督)が5年をかけて創り上げた外池早稲田は確実に早稲田大学ア式蹴球部を成長させた。
そして、多くの人々に活力を届け、日本をリードすることのできる人材を社会に排出し続けた。だからこそ、証明する。
外池早稲田はこんなにも素晴らしい組織であったのだと。
しかし、証明するには皮肉にも外池さんが大切にしていたサッカー以外の取り組みだけでは証明することができない。
これまでのア式蹴球部が行ってきたサッカー教室や国際交流などの様々な活動を継続していくことで、一定数評価してくれる人はいるだろう。
結果よりも過程が大事だ。という人もいる。この考え方は間違っていないと思う。
むしろ素晴らしい考え方だ。ただ、結果「も」大事だ。
我々がサッカー部である限り、最終的に周りからの評価を受けるのはサッカーの結果だ。
周りからの評価を受けるためにサッカーをやっていないと感じた人もいるだろう。
ごもっともだ。
自分自身、好きだからサッカーをしていて周りから評価を得るためにやっているつもりはない。それでも外池早稲田が素晴らしい組織だったと証明するにはサッカーの結果「も」重要なのである。
悔しかった。
昨シーズン上手くいかなかったことで、組織の在り方や作り方、個人について多くの批判があった。
「何も知らないだろ」と思うこともあった。
だからこそ、証明したいんだ。
そして、それを証明することができるのは、ア式の歴史を築いたOBでもなければ、これからア式蹴球部の門をたたく者でもない。
外池早稲田を知っている我々のみなのだ。
そのために1つになりたい、なるしかない。それが早稲田だから。
上手い、下手じゃない。
強い、弱いでもない。
いくら上手くても、いくら強くても1人では勝てない。だからこそ、サッカーは面白いし、難しい。
どう繋がるか、どう繋げるか。
自分をどう組織の中にはめ込むか。
かといって無理にはめ込もうとすると不満が出る、自分を見失う。
完璧にはまらなくて良い。
組織にどう向き合うか。
組織の中でどう自分だけの色を出せるか。
自分が組織のために何ができるか。
もう、自分たちで崩壊するのはやめにしよう。
そして、自分たちに向き合おう。
一歩一歩、確実に。
そして大胆に。
新しい兵藤早稲田を創るのは俺たちだ。
強い早稲田を取り戻そう。
ア式のみんな、戦う準備はできているか?
◇平松柚佑◇
学年:3年
学部:社会科学部
前所属チーム:山梨学院高校
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