見出し画像

脅威から逃げる 〜弱気スタッツの正体〜

昨年末にFC大阪の東京セレクションを開催してから、その日に参加していたポテンシャルのある高校生・大学生(当時の3年生以下)の中で、今も気になる選手は動向を追ったり、彼らからの質問に対話することもあります。

ちょうど今は総理杯予選の時期で、昨年のFC大阪最終セレクション参加者が総理杯の本戦出場を目指して戦っている姿をYouTube配信で見ることも出来ます。

セレクション時の感覚では、おそらく、「最低でもJFLクラスでは通用するのでは?」というポテンシャルがある選手達でしたが、少し総理杯予選プレー動画を見ていて気になったので、以下のような話をしました。

いったい君は何から逃げているの?

  • 攻撃的なポジションなのに横パスとバックパスが多く感じる

  • Jリーガー(正確に言えば一定基準以上のプロサッカーリーグに所属する選手)になると、出場した全試合のスタッツ(100項目くらいある)が見える化される

  • その横パスとかバックパスの一つ一つが君の平均スタッツとして積み重なる

  • 一方で、J1リーグなどからスカウトされるアタッカーはスタッツが「前方や斜め前」の平均値を示す

  • いったい君は何から逃げているの?

サッカーは本能的な状況判断の連続性なので、強気の姿勢なのか、弱気の姿勢なのか、それぞれがアクションとして積み重なります。

それは試合当日だけではなく、自分の経験上では練習時からその「弱気な現象」には再現性があるはずで、高校・大学サッカーで指導をしていた経験上、J1リーグ以上からスカウトされる選手は、練習時から真逆の特性(アクション・言動)を見せてくると断言します。

弱気ならプロは諦めた方が良いよ

おそらく目の前のアンカーやセンターバックの圧力を感じていたのだとは思いますが、それでも前に行こうとするのか、それともバックパスで逃げるのか、今の時代においてはスタッツとして全て現れ、ビッグデータの一部として記録されてしまうので、「弱気スタッツだね。そんな感じならプロは諦めて、チャレンジしなくても自分らしく生きていけそうな人生を選んだ方が良いよ。」という結論になってしまいます。

プロサッカー選手というのは、常に様々な脅威やストレスと対峙して、打ち勝っていかないと続けることが出来ない職業です。脅威から逃げることが仕事になることなど決してありません。

やるなら覚悟を決めて本気で向き合おう

大学サッカーは期限を意識して覚悟を決めることが出来る最後の機会だと思います。

プロになることだけがサッカー人生でもありません。

社会人として働きながら立派にプレーし続ける選手もいます。

そういう広い視野も含めて、良い状況判断ができるような社会人になってもらいたいと感じます。

やるなら、あらゆる手段で、覚悟を決めて本気で自分自身を成長させる。

一方で、自分の身の丈で、謙虚に慎ましく生きていくのも一つの人生です。

Author

早稲田ユナイテッド代表
岩崎 勇一郎
早稲田大学および大学院修了(工学博士・MBA取得)
 研究職時代は遺伝子改変による遺伝的アルゴリズムの解析など
FC大阪 スポーツデータサイエンスディレクター
サッカー指導歴:國學院久我山や早稲田大学など
Xアカウント: https://twitter.com/iwasaki_wu

いいなと思ったら応援しよう!