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トップアスリート達の世界から逆算する文武両道の本質的価値

トップ0.1%が集まるアスリート達の世界がある。

己の武器を磨き、鎬を削り、競争に打ち勝つ。
圧倒的な競争環境の中で、自分の弱さと向き合い、乗り越えていく日々。

そうして、0.1%の中の更なる高みへと挑戦し続ける。

早稲田ユナイテッドでは2016年頃からJリーグクラブやBリーグクラブなど、プロスポーツ界との人材育成・スカウト連携を始め、競技を引退する多くのトップアスリート達と時間を共有しながら、文武両道の本質的な価値を見出してきた。

本稿ではその一端を紹介しようと思う。

競争の日々で見えなくなる景色

日々の過酷な競争環境下で生き抜くためには、99.9%の敗者達が生まれているという側面や、敗者達が送るその後の人生に対して、彼らが想像力を働かせる余裕など現実的には皆無に等しい。

また、圧倒的なスキル・能力で、何の迷いもなく0.1%への階段を駆け上がる天才においても、自分が怪我で引退していく未来を想像することは非常に難しい。

もしも自分から◯◯が無くなったら
いったい自分に何が残るのか?

この◯◯の世界で0.1%への高みを目指し続けたアスリート達の多くは、ある日突然、この社会の現実や厳しさに直面することになる。

そして、突然「◯◯以外に何もできない人」という社会の物差しで、己の社会性や人間性を評価される。

とあるアスリートが社会で独立していくプロセス

早稲田ユナイテッドでマネジメントさせてもらったある選手は、Jリーグ引退後の一年目も正社員として働きながら、関東リーグでプレーをすることとなった。

毎週早朝に練習をこなし、昼前から出勤し、社会への順応を図った。彼はサッカー面においても知性やコミュニケーション能力が高く、その能力は一般社会の中でも通用し、社会的信用も自然と勝ち取っていく。

今では多くの経営者人脈も築き、その後の独立にも成功。彼のトップアスリート界の引き際は「仕事と競技の両立」を経ながら、段階的に次の夢へと向かう。

多くのアスリート達に足りないのは ”覚悟”

もちろん、彼のようなストーリーを描けるトップアスリートは少ない。

引き際を自分で作れるアスリートと、そうでないアスリートには明確に違いがある。こちらの中田英寿氏の言葉がその本質を捉える。

環境を変えるために必要なのは、勇気ではなく覚悟。
何に対しても「覚悟と責任」を持つからこそ「自由」を楽しめる。

0.1%の世界に昇れない選手達の中には、何歳になっても夢を追い掛け続けてしまう選手達もいる。

中田氏の言葉を借りるとすれば、彼らに足りないのは「自分の人生への責任と、競技引退後の世界への覚悟」なのかもしれない。

前述の彼も、デュアルキャリアに取り組みながら「自分がJリーグの世界に戻ることは無い」と、Jリーグに戻れるであろう能力と若さがありながらも、その覚悟を宣言していた。

"文武両道" の本質的な価値とは?

「文武両道」と聞けば「勉強と競技の両立」と認識する人も少なくはないが、本質的な価値は「引退後の人生に向けた覚悟」の体現であり、「知的好奇心の醸成」による社会性向上と言える。

スポーツ界の外側には大きな社会構造があり、99.9%がその社会の中で長い人生を過ごす。それは、0.1%の世界に昇りつめたアスリート達にも同じことが言える。

アスリート達の生きるスポーツ界も社会の一部でしかない。

プロを目指す過程においても、一般社会に対する知的好奇心の醸成が無駄になることはない。

Beyond the dream 〜夢を超えろ〜

もちろん、叶えたい夢があれば、人生において一度は本気で挑戦すべきであろう。そこに何の疑う余地もない。

けれども、夢は「叶える」か「諦める」ことでしか昇華することは難しい。そして、夢半ばで挫折する人生の方が大半だ。

アスリートとしてのサッカー選手には”賞味期限”が少なからずある。

それでも、我々は、アスリートとしてリスペクトする彼らに、更なる夢を追い求める挑戦者の姿を期待し、応援し続けたい。

そのためには、競技以外の広い社会に対する知的好奇心も醸成しておくことは望ましい。

文武両道は「Beyond the dream (次の夢へ) 」の効果的な手段の一つであると確信している。

きっと彼らは「サッカーよりも夢中になれる何か」にいつか出会えるはずだ。

だからこそ、早稲田ユナイテッドはこれからも語り続ける。

”アスリートとしても、社会人としても一流へ”






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