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インゴ・スワン「リアル・ストーリー」(107)

その後、ウィリス・W・ハーモン博士がやって来た。彼は温かくしっかりとした手で一瞬の間私の手を握り、何も言わずにまっすぐに私の目を深く見つめた。それから彼は言った。

「まあ、何ということでしょう!」

私は少し動揺した。それが一体どういう意味なのか、私には全く見当もつかなかったからだ。

ハーモンは、電話を終えたパソフを見つけると、数人のスタッフが私に会いたいと言っているオフィスに私を連れて行くことを提案した。それから昼食にする。私はOKし、彼はすぐに電話をかけた。

ハーモン博士はSRIではHIS教育政策研究センターの事務局長だった。このセンターはSRIの傘下で保護されている大規模なプロジェクトだった。プロジェクトの主な目標は「制度変更の力の中での計画 Planning Amid Forces for Institutional Change」を研究することだった。大企業、国防総省、議会、誰もが「制度変更」が何なのかに関心を持っていた。ハーモン博士とそのスタッフは答えを出している最中だった。

簡単に言えば、ハーモンは SRI の「未来学研究」の責任者だった。そして 1972 年の時点で、未来学は全世界で最も重要かつ最大の研究の一つだった。

センターの建物自体は、SRI のガラスと機械でできた現代的な建物ではなく、2つの古い陸軍兵舎を結合したもので成り立っていた。第二次世界大戦中とその後間もなく、SRI の敷地は軍病院であり、地震の被災者を受け入れた時期もあった。

中に入ると、ハーモンは私を大きな会議室に直行させた。そこにはテーブルの周りに16人もの人が座っていた。彼は私に主席に座るように言い、全員が自己紹介をし、私に質問があると言った。私に? 私はびっくり仰天した。

ウィリスは、進行中のプロジェクト(年間 200 万ドル以上の資金提供)の一部は、超心理学や超能力が未来学のシナリオに組み入れられるか、組み入れるべきかを調査することだと説明した。

この言葉に私は驚愕し、椅子に座りそこねて尻餅をつきそうになった。

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