10周年記念 インタビュー連載 vol.5 〜活動初期、エイジ(前編)〜
11月1日(金)に新宿紅布で開催される、Mr.ワリコメッツの10周年記念ワンマンライヴ『拾』。そしてワリコメッツ10年の歩みを探るべく始まったインタビュー連載企画もひとまずメンバーを一巡し、いよいよ本格的にバンドの歴史を紐解いていこうといったところ。そこで今回は、Mr.ワリコメッツの初期の活動について、ボーカルのエイジに話を聞いた。
(●インタビュアー ○エイジ)
*ヘッダー画像は、Mr.ワリコメッツの活動初期のもの。
●前回のインタビューの最後に、「初期の活動で印象に残っていることは何か?」を聞きました。その時答えてくれたのが、『キヨシローナイト』と『ロックンロール世紀』という、2つのイベントについてでした。そこでまずは、『キヨシローナイト』について聞きたいと思います。これは、いつ頃開催したイベントなんですか?
○えーっとねー、これ、キリにも聞く?(にじむ警戒感。それほど記憶が曖昧なのだと思われる。笑)
たぶんだけど、キヨシロー(=忌野清志郎。言わずと知れた日本のロック・スター)亡くなったのが2009年でしょ?
だから、2010年だと思う。
夏かなぁ。
分かんねぇ。
でもさぁ、それ(『キヨシローナイト』)がMr.ワリコメッツの初企画なんだよね。
●開催場所はどこですか?
○浅草クラウッド(=浅草KURAWOOD。残念ながら、2016年8月に閉店)だね。
●イベントのスタイルというか、内容というか、それはどんな感じでしたか?
○キヨシロー縛りですよ!
何バンドか出たんだけど、各バンド、2〜3曲はキヨシローのカバーをやってほしいかなぁ、みたいな。
●カバーはみなさん、結構やってくれましたか?
○えーっとね、ま、2曲ぐらいはやってくれたかな。
ワリコメッツは結構やったと思う。
●出演バンドはどんな顔ぶれだったのですか?
○ザ・チャンバーズ。
ザ・ブービーズ。
じゅんた。
確かクラウッドとの共同企画で、ワリコメッツがチャンバーズを呼んで、クラウッドがブービースとじゅんたを呼んだのかな?
で、この日のライヴ、ワリコメッツが何曲やったのかは覚えてないけど、何の曲をやったかは覚えているよ、キヨシロー(のカバー)はね。
えーっとねぇ、「ケムリ」。
「ひ〜のな〜いとっころにも〜」(口ずさむエイジ)でしょ。
それから、烏合の衆、「シュー」だね。
で、タイマーズ(=THE TIMERS)の「土木作業員ブルース」。
あと、「雨上がりの夜空に」かな。
結構やってるね、4曲か。
「雨上がり(=雨上がりの夜空に)」は、たぶん最後に、アンコールで。
●このイベントをやるきっかけや、誰がやろうと言い出したとか、その辺は覚えてますか?
○いや、“わー”(エイジがよく使う一人称。津軽弁。)だと思うんだけど。
キヨシロー亡くなって、やっぱりよりキヨシローを聴く機会が自分の中で増えて。
で、ワリコメッツはみんなキヨシロー好きだったから、やろうかって。
キリもすげぇ、タイマーズにハマってたし。
あと、なんかね、企画やるためにはコンセプトが必要だと思ったんだよね。
初めてだったし。
で、わりとみんなの共通点みたいな感じでやった方がいいのかなーと思って。
それで、キヨシローを好きなバンドを集めてやりたいなぁと思ったんだけど。
●バンドマンの横のつながりを作りたくてイベントを開催したりとかもあると思うんですが、その辺は?
○いやー、そういう感じではないね。
とにかく、企画やらねぇとダメだな!と思って。
それと、たぶん自分たちの中でのキヨシロー・ブームみたいなのが重なって。
●イベントの出来や感触はどうだったんですか?
○いや、もう全然覚えてない!
●楽しかったかどうか、くらいは?
○楽しかったのかなー?楽しかったはずだよ。
あと、とにかく練習した。
自分たちの曲より、キヨシローの曲を練習した。
その記憶がある。
難しかったからね。
腕もないわけだからさ。
●では、次に、初めてのミニ・アルバム『バキューンとガム』についてなんですが、これはいつ頃の発売でしたか?
○えーっとねぇ、いつだろう?
『バキューンとガム』が出たのは、、、たぶん、2011年だと思う。
だって、レコーディングの時に、震災があったから。
2011年の3月でしょ、震災。
ちょうどその時に、クラウッドでレコーディングしているから。
(レコーディングの日に)「地震あって大丈夫だった?」って話してたから。
●レコーディングはクラウッドですか!?ライヴハウスで録音したんですね!クラウッドでのレコーディングは何日間やりましたか?
○1日だけだね。
1日でオケ(=歌を除く、バンドの演奏)全部録った。
で、歌はあとから録った。
三宿にある、プライベートスタジオみたいなところで。
クラウッドのオーナーが構えている、レコーディング用のスタジオだったと思う。
マンションの一室みたいな場所だったなぁ。
●クラウッドには、だいぶお世話になっているんですね。
○そうなんだよね。
ま、だから、レコーディングはオケから歌まで含めて、全部で3日間くらいで録ってんのかな?
●発売はいつなんでしょうね?季節だったり、何か手がかりになりそうなことを覚えていませんか?
○覚えてるのは、ナオさん(=Mr.ワリコメッツの初代ドラマー)があったかいコーヒーを飲みたくて買おうとした時、「もう販売機であったかいの、売ってねーのかよ(怒)」みたいなこと言ってたんだよ(笑)。
暑かったと思う。
すげぇ暑かったかもしんない。
だから、可能性があるとしたら、6、7、8月くらいかな。
●話を整理すると、まず震災の頃にオケを録って。
○たぶんね。
3月11日に震災があったでしょ?
で、その2日後とかそんな感じだったと思うよ、オケ録ってんの。
(街が)閑散としてたもん、マジで。
●それで、そのあと重ね録りを三宿のスタジオでしている時に、さっきのナオさんの発言があって。
○「もうあったかいコーヒーおいてねーのかよ」って(笑)。
だから、それがたぶん5月6月頃なんだと思う。
それで7月頃にレコーディング作業がぜんぶ終わって、リリースが8月だった感じかな。
●この時のレコーディングで苦労したことは覚えてますか?
○うーんとねぇ、「カラガラヨー」。
●それはなぜですか?
○ワリコメッツはレコーディングの時にクリック(=メトロノーム)を使わずにやるっていうね、変な意気込みがあったんだよ。
なんだけど、「カラガラヨー」はクリック使ってやったの。
クリック使って録音したの。
それでクリック使ってオケを録音して、「もう声入れていい?」って言って、歌をすぐ録音したら、歌えなかったの。
ノリが全然違ってさぁ。
「カラガラヨー」って食うところあるでしょ?
ああいうところが全然食ってないっていうか。
なんかねー、別モンに聞こえちゃって。
で、「カラガラヨー」録り直した。
クリックなしでやった。
●へぇー、そうなんですね。「カラガラヨー」って、『バキューンとガム』というミニアルバムの中で、一曲目にあって、勢いあってインパクトのある曲だと思うんですが、その裏ではそんな隠されたエピソードがあったんですね!他の曲はクリックを使わずに録ってるんですかね?
○たぶん。
なんで「カラガラヨー」だけクリック使ったんだろう?
●では、『バキューンとガム』というミニアルバムを録り終えたばかりの頃、「これいいじゃん!」と良い手応えを感じた曲はありますか?
○「バキューンとガム」!
●それはどういったところが?
○いや、“わー”がアコギ弾いてるから!
“わー”がアコギ弾いてて、楽しかったんだよね(笑)
●(笑)。たしかに、「バキューンとガム」のアコギ、カッコいいんですもんね!
○ね!
それで、なんだろうな。
やっぱ楽しいし、「オケだけでもずーっと聴いてられる」みたいな。
「歌いらねーんじゃね?」って思ったもん。
●では、『バキューンとガム』が完成して、レコ発イベントとかツアーはしましたか?
○ツアーはした。
レコ発はしてないと思うけど。
●ツアーはどちらに?
○えーっとねぇ、1番最初のうちらの遠征ツアーって北九州なの。
小倉。
キリが地元で、それでツアー組んでくれて。
いやー、その話はもう、すごい話だからね。
夜の9時とか10時くらいにレンタカー借りて出発したの。
北九州まで車で。
せまーい車で。
もうギリッギリで。
なんて車か忘れたけど、とにかく、ちっちゃかったのね。
そんで北九州に着いたのが昼前くらいだったかな。
10時とかそんな感じ。
で、キリが「小倉って言ったらここなんで!ぜひ食ってください!」って勧めてくれた「すけさんうどん(=資さんうどん)」っていううどん屋があって。
そこで美味しいうどんを食って。
そのあとキリの家に行って、「ちょっと仮眠とろう」ってことで、1時間か2時間くらい寝て。
そんで、小倉のライヴハウスに行ってリハーサルしたんだけど、うちら出番一発目だったからね!
●うわー、一発目ですか?お客さんは入ってましたか?
○もう覚えてないんだよねー。
入ってないんじゃないの。
●CDは売れましたか?
○いやー、売れた記憶もないな。
●売れてないことはないですよね、さすがに(汗)
○まぁ、キリのお友達が来てくれて、買ってくれたとは思うよ。
そんであっちゅー間に(ワリコメッツのライヴが)終わっちゃって、(他のバンドの)ライヴもぜんぶ終わって。
で、夜10時か11時くらいでしょ。
そしたら、キリが「是非、僕の友達が働いているバーに行きましょう」って言って。
ニューハーフバーだったんだけどね。
●ここはカットした方が、、、
○いいよ、全然。
ニューハーフの人、いなかったんだけどね、一人もいなかったんだけどね。
●ニューハーフのいないニューハーフバーですか?(笑)
○そう。
楽しみにしてたんだけどねぇ。
そんで、キリの家に行って、キリのお母さんがさぁ、おでん作ってくれてたんだよ。
で、キリが「僕のお母さんがおでん作ったんで、皆さん食べますか?」って言って。
●なんかいい話ですね。
○そう!
で、「食べたーい!」って言ったんだけど、みんな疲れて食べないでそのまんま寝ちゃったんだよね。
気の毒だったかもしんない。
それでまた、朝の6時とか7時くらいには起きないとダメなの。
それで、そのまま東京に帰った。
●え?他にはどこにも寄らなかったんですか?
○もうそこだけ。
●単発で北九州ですか!?
○そう。
だってさ、19時か20時くらいには車返さないとダメなわけじゃん。
だから北九州をめっちゃ朝早く出てんだよね。
「もう二度と車で行きたくねー」って思ったからね。
(後編に続く)
インタビュー : 2019.8.29(木) 新高円寺にて
(記憶に基づいて喋ってもらっているので、記憶違いによる誤りやメンバー間で情報が食い違う場合がございますが、インタビューのライヴ感を残すため、それらの訂正は行なっておりません。ご了承ください。)
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